重粒子線治療

当該ページでは重粒子線治療に関して解説しております。現在重粒子線治療をお考えの患者様へ少しでもお役に立て頂けますと幸いです。
尚、当院では重粒子線治療は行っておりませんので、予めご了承ください。

重粒子線治療

放射線

がんの重粒子線治療とは

 放射線とは、運動エネルギーを有して、空間を飛びまわる小さな粒(素粒子)の流れ(線束)を指します。
 そして、放射線を出す物質を「放射性物質」、放射線を放出する能力を「放射能」といいます。(ここで一つ、有名な例を挙げておきます。ライトを想像して下さい。ライトから出る光が放射線で、ライトそのものが放射性物質、ライトの電池が放射能です。)
 放射線は、放射線の物理的性質から①電磁放射線と②粒子放射線 の2つに分類することができます。

電磁放射線(electromagnetic radiation)

 主な電磁放射線:γ線、X線
 電磁放射線は波長が非常に短い(=高エネルギーな)電磁波を指します。(高エネルギーになることは、プランク定数を用いたエネルギーの式からも言えます。)
 X線は、レントゲン検査といったように電磁放射線は、今日の医療現場に用いられています。(電磁放射線は電離作用を起こす性質から放射線治療にも用いられます。)

粒子放射線 (particle radiation)

 主な粒子放射線:α線、β線、陽子線、重粒子線etc
 粒子放射線は質量を持った粒子の運動により生じます。
 まさにこの重粒子線が、がんの放射線治療として用いられるのです。

粒子線と粒子線を用いた治療

がんの重粒子線治療とは2

 粒子線は高エネルギー粒子の流れ(ビーム)で、放射線の内の一つを指します。
 ここでの粒子は、原子を構成している電子や原子核のことを指します。
 粒子線には原子の種類分だけの種類があり、治療で使用される原子核は、水素原子核と炭素原子核です。

 水素原子核は原子核の構成要素である陽子のみで作られているので、水素原子核ビームは陽子線と呼ばれます。また、炭素原子核ビームを炭素イオン線といいます。

 また、陽子よりも重い原子核を用いた粒子線を重粒子線もしくは重イオン線と呼ぶことがあります。
 陽子線を他の粒子線と差別化している理由は、生物学的効果の違いに関係しています。(生物学的効果とは同じ線量における細胞殺傷率の違いのことを指します。)

重粒子線治療

がんの重粒子線治療とは3

 まず、重粒子線治療との違いを知って頂くために、放射線治療について触れておきます。

 従来の放射線治療で使用されるX線やγ線は、がん病巣に向けて体外から照射すると、体の表面付近で放射線量が最大(ピーク)となり、それ以降は次第に減少していき、体の深部にあるがん病巣に十分なダメージを与えることができずにエネルギーを放出しながら体を通り抜けます。
 また、がん病巣以外の正常細胞にもある程度ダメージを与えてしまうというデメリットもあります。

 がん治療における重粒子線については、重粒子線=炭素イオン線と考えて頂ければよいでしょう。
 重粒子線は、ヘリウム原子より重いものと定義されています。重粒子線治療では、陽子より12倍重い炭素粒子を用いている為、線量集中性と生物効果の両面において、がん治療に適した性質を有しています。

 重粒子線がん治療は、炭素イオンを、加速器で光速の約70%まで加速し、がん病巣に狙いを定めて照射する放射線治療法です。

重粒子線治療の特性

がんの重粒子線治療とは4

 1.重粒子線及び陽子線は、体の表面では放射線量が弱く、体内のがん病巣で高線量域(ブラッグピーク)を有するので、従来のX線よりもがん病巣にピンポイントでの照射が容易で、がん病巣にダメージを十分与えながら、周囲の正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能です。

 2.ピーク部分の生物効果(細胞致死作用)は、X線や陽子線より2~3倍大きいという性質がありますので、従来のX線に抵抗性を示すがんにも有効です。

 3.上記の1と2はがん治療に適したかたちで表現されます。 つまり、重粒子線の生物効果(細部致死効果)は体表面近くでは小さく、深くなるほど大きくなりピーク部分で最大になるという特徴があります。
 従って、重粒子線のピーク部分を病巣の位置とサイズに合わせてやれば、病巣は周囲の正常組織より物理的にも生物学的にも大きな線量(影響)を与えることが可能になるわけです。

重粒子線がん治療の強み

がんの重粒子線治療とは

 1.重粒子線及び陽子線は、体の表面では放射線量が弱く、体内のがん病巣で高線量域(ブラッグピーク)を有するので、従来のX線よりもがん病巣にピンポイントでの照射が容易で、がん病巣にダメージを十分与えながら、周囲の正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能です。

 2.ピーク部分の生物効果(細胞致死作用)は、X線や陽子線より2~3倍大きいという性質がありますので、従来のX線に抵抗性を示すがんにも有効です。

 3.上記の1と2はがん治療に適したかたちで表現されます。 つまり、重粒子線の生物効果(細部致死効果)は体表面近くでは小さく、深くなるほど大きくなりピーク部分で最大になるという特徴があります。
 従って、重粒子線のピーク部分を病巣の位置とサイズに合わせてやれば、病巣は周囲の正常組織より物理的にも生物学的にも大きな線量(影響)を与えることが可能になるわけです。

 重粒子線治療で述べたところと重複しますが、重粒子線治療ならではのポイントをまとめていきたいと思います。

がん病巣を集中的に照射できる

 従来から放射線治療に用いられるエックス線の場合、体の表面近くでその効果だ最大となり、エネルギーを出しながら体を通り抜けます。
 一方、重粒子線は、体のある一定の深さでエネルギーのピークを迎え、その前後では弱く抑えられるという特性があります。このピークになる深さをがん病巣の位置に合わせることで、がんだけを集中的に狙いうちすることができ、体の深いところにあるがんにも治療効果が期待できます。

副作用が少ない

 がん病巣だけを集中的に狙い打てるため、まわりの正常細胞へのダメージ(=副作用)を最小限に抑えることができます。

治療期間が短い

 重粒子線は、陽子線やγ線、X線と比べて、更に線量集中性が優れており、がん細胞を殺傷する能力が約2~3倍高く、一回の照射で得られる効果が大きいため、治療期間を短くすることができます。

通院治療が可能

 体を切らずに(外科療法無しで)済むため、通院のみでがん治療を行えます。
 また、高齢などで体力に不安がある方にも可能です。

難治性がんの治療が可能

 通常のがんは勿論、従来の放射線治療が効きにくいがん(骨肉腫等)や複雑な場所に位置するために手術が困難ながんにも治療でき、根治できる可能性が広がります。

土日祝も毎日電話対応しております

関連記事

最近の記事

  1. 4/20、4/21も電話、メール対応しております。

  2. 肺がん患者様のための緩和ケアの重要性

  3. 膵臓がんの緩和ケア「生活の質を改善するための戦略」

  4. 舌がんのきっかけと予防方法

  5. 骨肉腫のきっかけ「深く理解する」

  6. 皮膚がんのきっかけと予防「現代治療の選択肢」

  7. 前立腺がんのきっかけと現代治療について

  8. 卵巣がんのきっかけ「詳細な解説と現代治療の可能性」

  9. 胆管がんのきっかけと現代治療の選択肢

  10. 胆嚢がんのきっかけと現代治療の選択肢

PAGE TOP