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異常遺伝子化を防ぐ「アンチセンス治療」
Antisense Therapy
アンチセンス治療とは?
当院で行っている光免疫療法をはじめ、近年さまざまながん治療が知られるようになってきましたが、
「アンチセンス治療」はまだ耳にする機会が少ない治療の一つかもしれません。
アンチセンス治療は、がんの発生や進行に関わると考えられているRNA(センスRNA)を検査で確認し、
そのセンスRNAが異常な働きを示す前にアンチセンスRNAを投与することで、
がん関連遺伝子の発現に働きかけることを目指す治療です。
がんは、DNAとともに遺伝やタンパク質合成を担うRNAの機能異常が関与するとされています。
アンチセンス治療では、こうした仕組みに着目し、遺伝子レベルでのアプローチを行います。
アンチセンスRNAについて
アンチセンスRNAとは、特定の機能を持つRNA(センスRNA)の働きに干渉することで、
その機能を調整しようとするRNAの総称です。
遺伝子は、二本鎖の核酸からなる「設計図」のような存在であり、
そこからタンパク質をつくる情報が読み出されます。
このうち、タンパク質の情報をもつものが「mRNA(センスRNA)」、
それと相補的な塩基配列をもつものが「アンチセンスRNA」と呼ばれます。
アンチセンスRNAはノンコーディングRNA(ncRNA)の一種であり、
センスRNAに結合することで、その働き方に影響を与えると考えられています。
アンチセンス治療の仕組み
アンチセンス治療の大まかな流れは、次のようにイメージされています。
(1)アンチセンスRNAを体内へ投与
患者様のがんの状態に合わせて設計されたアンチセンスRNA(オリゴ核酸)を体内に投与します。
これにより、異常な働きをもつと考えられるセンスRNAと先に結合し、
がん関連遺伝子の発現を抑えることを目指します。
(2)がん細胞への働きかけ
アンチセンスRNAの効果は、一定期間体内で持続するとされています。
そのあいだ、がん細胞に関わるRNAの働き方に影響を与えることで、
がん細胞の増殖を抑えたり、アポトーシス(細胞死)へ導いたりする可能性が検討されています。
大きな腫瘍がある場合には、がん細胞が短期間で壊れることで、
崩壊症候群と呼ばれる状態が生じる可能性も指摘されています。
治療方法
アンチセンス治療は、事前の検査結果をもとにアンチセンスRNAを設計し、
一定の回数・間隔で投与していく治療です。
具体的な内容は、がんの種類や進行度、これまでの治療歴などを踏まえて医師が検討します。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 診察・検査 | 現在の病状や既往歴、画像検査・血液検査の結果などを確認し、アンチセンス治療の適応を検討します。 |
| ターゲットとなるRNAの解析 | がんの性質や検査結果をもとに、どのセンスRNAに対してアンチセンスRNAを設計するかを検討します。 |
| アンチセンスRNA(オリゴ核酸)の作製 | アンチセンスRNAを合成し、作製します(一定の期間を要する場合があります) |
| 投与スケジュールの決定 | 通院回数や投与間隔など、患者様の体調や生活背景も考慮しながら治療計画を立てます。 |
| アンチセンスRNAの投与 | 決められた方法・回数でアンチセンスRNAを投与します。投与時には体調を確認しながら慎重に進めます。 |
| 経過観察・フォロー | 投与後の症状や検査結果を確認しながら、以後の治療継続や他治療との組み合わせなどを検討します。 |
アンチセンス治療の回数や期間は患者様ごとに異なります。
実際の治療内容については、診察のなかで医師とご相談のうえ決定していきます。
東京がんクリニックでのアンチセンス治療
アンチセンス治療は、事前の検査やアンチセンスRNAの作製など、いくつかの準備を経て行う治療です。
まずは、現在の治療状況やお困りごとを伺いながら、アンチセンス治療が検討可能かどうかを確認します。
当クリニックでは、アンチセンス治療に限らず、がんの種類や状態に応じて複数の治療法を組み合わせて考えることを大切にしています。
東京でアンチセンス治療について相談できる医療機関をお探しの方は、一度ご相談いただければと思います。
治療費用
| 治療の種類 | 費用(税込) |
| アンチセンス治療(通院2回) | 330,000円 |
| アンチセンス治療(通院4回) | 660,000円 |
| アンチセンス治療(通院8回) | 1,320,000円 |
その他の治療費用詳細はこちら
リスクと副作用等
| リスクと副作用 |
アンチセンス治療では、頭痛や発疹などの軽度な症状がみられる場合があります。 これまでの報告では重大な副作用は多くないとされていますが、すべての方に当てはまるわけではありません。 体調の変化が気になる場合には、速やかに医師へお申し出いただくことが大切です。 当治療は保険適用外の自由診療であり、治療費は全額自己負担となります。 |
| 未承認医薬品等であることの明示 |
本治療で使用する未承認医薬品等は、現時点で医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものです。 日本では、医師の責任において未承認医薬品等を使用することが認められています。 |
| 入手経路の明示 | 現在、国内販売代理店を通じて入手しています。 |
| 国内の承認医薬品の有無 | 本治療に用いるものと同等の性能を有する国内承認医薬品はありません。 |
| 諸外国における安全性情報 | 諸外国における安全性等に関する十分な情報は、現時点では得られていません。 |


