抗がん剤に関するよくあるご質問
副作用が出る時期や治療効果の確認方法、しびれ・痛みへの対応について解説します。
はじめにお読みください
当院には、抗がん剤治療中の患者様やご家族から、治療の副作用や今後の治療選択について多くのご相談が寄せられています。このページでは、一般的な医学情報として、よくあるご質問にお答えします。
当院では抗がん剤の処方・投与は行っていません。薬剤の変更・減量・休薬や、抗がん剤治療中に生じた体調変化への対応は、治療内容を把握している医療機関の担当医が、がんの種類、使用薬剤、投与量、検査結果などを踏まえて判断します。治療を自己判断で変更・中断せず、症状がある場合は担当医・看護師・薬剤師へお伝えください。
「抗がん剤」という言葉について
一般には、細胞障害性抗がん薬だけでなく、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などを含めて「抗がん剤」と呼ぶことがあります。作用や副作用は薬の種類によって大きく異なるため、このページでは主に細胞障害性抗がん薬について解説し、必要に応じて薬物療法全体にも触れています。
治療の負担と効果について
抗がん剤の仕組みと、効果をどのように確認するかを説明します。
Q
抗がん剤治療はどのくらいしんどいですか?
治療中の負担は、使用する薬剤と組み合わせ、投与量、治療間隔、がんの状態、年齢、肝臓・腎臓の機能、治療前の体力などによって大きく異なります。吐き気、だるさ、食欲低下、口内炎、下痢・便秘、脱毛、しびれなどが起こる場合がありますが、すべての症状がすべての患者様に現れるわけではありません。
現在は、制吐薬などの支持療法や投与量・日程の調整によって、症状を予防・軽減しながら外来で治療を続けるケースも増えています。不安や気分の落ち込み、眠れないなどの精神的な負担も相談の対象です。治療前に「起こりやすい症状」「出やすい時期」「連絡が必要な基準」を確認しておくことが大切です。
Q
抗がん剤は副作用がなくても効果がありますか?
副作用が少ない、あるいは自覚できる副作用がない場合でも、抗がん剤が効いている可能性はあります。副作用の強さと治療効果は同じものではなく、「副作用が強いほどよく効いている」「副作用がないから効いていない」とは判断できません。
治療効果は、診察、症状の変化、血液検査、CT・MRI・PETなどの画像検査を組み合わせて評価します。副作用の有無だけで治療効果を判断しないことが重要です。
Q
抗がん剤が効いているかどうかは、どのように判断しますか?
一定の治療期間後に、CTやMRIなどで病変の大きさ・数・新しい病変の有無を確認し、診察所見や症状、血液検査と合わせて評価します。腫瘍マーカーを確認する場合もありますが、炎症などでも変動するため、通常は腫瘍マーカーだけで効果を判断しません。
治療の目的によっても評価の意味は異なります。病変の縮小だけでなく、増大せず安定していることや、痛みなどの症状が軽くなることが治療効果と考えられる場合もあります。
Q
抗がん剤が効く仕組みは?
細胞障害性抗がん薬は、DNAの合成や複製、細胞分裂など、細胞が増える仕組みの一部を妨げることで、がん細胞を傷害します。増殖が活発ながん細胞に作用する一方、骨髄、消化管粘膜、毛根など正常な細胞にも影響することがあり、これが副作用の一因になります。
分子標的薬は、がんの増殖に関わる特定の分子を標的とします。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞にかかったブレーキを外すことで、免疫ががん細胞を攻撃しやすくします。同じ「抗がん剤」と呼ばれていても、薬によって作用の仕組みは異なります。
副作用の種類と現れる時期
副作用ごとに発現時期が異なるため、数日目だけで一律には判断できません。
アレルギー反応など
息苦しさ、発疹、血圧低下などが急に現れる場合があります。
吐き気・だるさなど
急性・遅発性の吐き気、食欲低下、倦怠感などがみられます。
骨髄抑制など
白血球・血小板・赤血球の減少や口内炎などに注意します。
脱毛・しびれなど
薬剤や治療回数によって、徐々に現れる症状があります。
※上記は細胞障害性抗がん薬における一般的な目安です。薬剤・投与法・患者様の状態によって大きく異なります。
Q
抗がん剤の副作用は何日目がつらいですか?
「2〜3日目が必ずピーク」とは限りません。吐き気は投与開始後すぐに現れる場合と、24時間以降に現れる場合があります。だるさや食欲低下も数日続くことがあります。一方、白血球や血小板の減少は投与後1〜2週間前後、脱毛は2〜3週間前後からみられるなど、症状によって時期が異なります。
同じ薬剤でも治療回数や患者様の状態によって変わります。ご自身が受ける治療について、担当医や薬剤師から具体的な時期の説明を受け、体温・食事量・排便・症状を記録しておくと相談しやすくなります。
Q
抗がん剤の副作用にはどのようなものがありますか?
細胞障害性抗がん薬では、吐き気・嘔吐、食欲低下、口内炎、下痢、便秘、脱毛、倦怠感のほか、白血球・好中球減少による感染リスク、血小板減少による出血傾向、貧血などがみられることがあります。
薬剤によっては、手足のしびれ、手足症候群、皮膚・爪の変化、肝機能・腎機能障害、心機能への影響、肺障害など、特徴的な副作用があります。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬には、細胞障害性抗がん薬とは異なる副作用があるため、使用薬剤ごとの説明を確認する必要があります。
Q
抗がん剤の副作用はどれくらいで出ますか?
アレルギー反応のように投与中から現れるもの、吐き気のように数時間〜数日で現れるもの、骨髄抑制や口内炎のように1〜2週間前後で現れるもの、脱毛・しびれ・臓器への影響のように数週間から治療を重ねる中で現れるものがあります。
投与終了後しばらくして現れる副作用もあります。症状の発現時期や強さは薬剤ごとに異なるため、処方された説明書や治療手帳を確認し、いつもと違う症状があれば早めに治療施設へ連絡してください。
Q
抗がん剤が体から抜けるまで、どのくらいかかりますか?
一律に「何日で抜ける」とは言えません。薬剤にはそれぞれ半減期や代謝物があり、肝臓・腎臓の機能、投与量、併用薬などによって体内に残る時間が異なります。数時間で血中濃度が大きく低下する薬もあれば、作用や代謝物が長く残る薬もあります。
また、薬の血中濃度が下がる時期と、副作用が治まる時期は同じではありません。骨髄や末梢神経などへの影響は、薬の大部分が排泄された後も続くことがあります。排泄物の取り扱い、飲酒、妊娠・授乳、ほかの薬との併用については、使用薬剤ごとに担当医・薬剤師へ確認してください。
Q
抗がん剤治療で気をつけることは?
使用する薬の名前、起こりやすい副作用、連絡が必要な症状、緊急連絡先を確認してください。毎日の体温や体調を記録し、発熱、息苦しさ、強い下痢・嘔吐、出血、しびれなど、治療前にはなかった変化を早めに伝えることが大切です。
市販薬、漢方薬、サプリメント、健康食品は抗がん剤の作用に影響する場合があります。使用前に担当医・薬剤師へ相談してください。食事制限や飲酒の可否は薬剤によって異なるため、自己判断で一律に制限するのではなく、個別に確認しましょう。
Q
抗がん剤の副作用を和らげるには?
副作用ごとに対処法が異なります。吐き気には制吐薬、便秘・下痢には症状に応じた薬、口内炎には口腔ケア、感染リスクが高い場合には白血球を増やす薬など、副作用の予防・軽減を支える支持療法があります。症状が強い場合は、治療効果とのバランスを考えながら投与量や日程を調整することもあります。
無理のない運動、休養、食べやすい食品や水分の確保なども大切です。ただし、温熱・冷却、マッサージ、鍼灸、サプリメントなどは、病状や薬剤によって適さないことがあります。実施前に治療施設へ相談してください。
Q
抗がん剤の副作用が起こる理由は何ですか?
細胞障害性抗がん薬は、がん細胞の増殖を妨げる一方で、骨髄、消化管粘膜、毛根など、分裂が活発な正常細胞にも影響するため、骨髄抑制、口内炎、下痢、脱毛などが起こることがあります。
ただし、すべての副作用がこの仕組みだけで起こるわけではありません。薬剤が末梢神経、心臓、腎臓、肺などに特有の影響を及ぼす場合や、免疫チェックポイント阻害薬によって免疫反応が過剰になる場合もあります。
しびれ・足の痛み・がん性疼痛
原因を確認し、早い段階で治療施設へ伝えることが重要です。
ボタンが留めにくい、物を落とす、つまずく、箸が使いにくいなど、日常生活への影響も重要な情報です。症状を早めに共有することで、投与量・日程の調整や安全対策を検討しやすくなります。
Q
抗がん剤によるしびれを改善する方法は?
抗がん剤による末梢神経障害には、すべての患者様に有効な予防法・治療法が確立されているわけではありません。まず症状の強さと生活への影響を評価し、必要に応じて抗がん剤の減量、延期、変更、休薬などを担当医が検討します。
痛みを伴う末梢神経障害では、デュロキセチンに一定の根拠がありますが、効果は限定的で副作用にも注意が必要です。プレガバリンなどの薬が症状に応じて用いられることもありますが、効果には個人差があります。運動療法・リハビリテーション・鍼灸なども選択肢になる場合がありますが、自己判断で行わず担当医へ相談してください。
ビタミンB群などのサプリメントを一律に推奨できる十分な根拠はなく、過剰摂取がしびれの原因になるものもあります。使用前に必ず医師・薬剤師へ確認してください。
Q
抗がん剤による末梢神経障害はどれくらいで治りますか?
回復までの期間は、薬剤、累積投与量、症状の程度、糖尿病などの既往によって異なります。治療終了後に数週間〜数カ月かけて軽くなる場合がありますが、数カ月から1年以上続くことや、一部の症状が残ることもあります。
オキサリプラチンなどでは、治療終了後もしばらく症状が強くなる場合があります。転倒ややけどを防ぐ工夫を行い、症状が悪化する、力が入りにくい、歩きにくいなどの変化があれば早めに担当医へ伝えてください。
Q
抗がん剤による足の痛みの対処法は?
足の痛みの原因を確認することが先です。末梢神経障害、手足症候群、筋肉痛・関節痛、むくみ、感染、血栓、がんそのものによる痛みなどで対応が異なります。痛みの場所、左右差、腫れ・赤み・熱感、しびれ、歩きにくさ、発熱の有無を治療施設へ伝えてください。
原因に応じて鎮痛薬、神経障害性疼痛に対する薬、スキンケア、リハビリテーション、抗がん剤の調整などを検討します。感覚が低下していると、温熱・冷却でやけどや凍傷を起こすおそれがあるため、自己判断で強く温めたり冷やしたりしないでください。
Q
抗がん剤治療で足が痛くなるのはなぜですか?
原因の一つは末梢神経障害です。タキサン系、白金製剤、ビンカアルカロイド系などでは、足先のしびれ、焼けるような痛み、冷たさに対する過敏、感覚低下などが起こることがあります。
ただし、足の痛みがすべて末梢神経障害とは限りません。手足症候群、筋肉痛・関節痛、血栓、感染、骨転移などが原因の場合もあります。片脚だけが急に腫れる、赤く熱を持つ、息苦しさがある場合は、速やかに治療施設へ連絡してください。
Q
がん性疼痛はどのような痛みですか?
がんによる痛みには、骨や組織に生じる鈍い痛み・ズキズキする痛み、内臓から生じる場所を特定しにくい痛み、神経の圧迫・障害による焼けるような痛み・電気が走るような痛みなどがあります。複数の種類が重なることもあります。
痛みは必ずしもがんの進行だけで起こるものではなく、手術や薬物療法などの治療、がん以外の病気、不安・不眠などで悪化する場合もあります。痛みは我慢せず、強さ、場所、性質、続く時間、生活への影響を医療者へ伝えることが大切です。
Q
抗がん剤で体が痛くなるのはなぜですか?
薬剤による筋肉痛・関節痛、末梢神経障害、手足症候群のほか、白血球を増やす薬による骨痛などが原因になることがあります。感染症、血栓、がんそのもの、別の病気による痛みが重なっている可能性もあります。
「抗がん剤だから仕方がない」と決めつけず、発熱、腫れ、息苦しさ、発疹、手足の動かしにくさなどを伴う場合や、急に強くなった場合は速やかに治療施設へ相談してください。
治療が効かない場合と治療選択
治療目的と現在の状態を確認し、次の選択肢を整理します。
Q
抗がん剤が効かなくなったら、どうしたらよいですか?
まず、画像検査や症状、血液検査などから本当に病気が進行しているのかを担当医と確認します。そのうえで、別の薬剤や治療レジメンへの変更、手術、放射線治療、遺伝子・バイオマーカー検査に基づく治療、臨床試験、症状を和らげる治療などを検討します。
次の治療は、がんの種類・性質、これまでの治療、臓器機能、体力、期待できる効果と副作用、患者様の希望によって変わります。「効かなくなった=治療方法が全くない」とは限りません。担当医に治療目的と選択肢を確認し、必要に応じてセカンドオピニオンを利用することもできます。
Q
抗がん剤が効かない理由は何ですか?
治療開始時から反応しにくい場合と、最初は効果があっても途中から効きにくくなる場合があります。がん細胞の中に薬が効きやすい細胞と効きにくい細胞が混在していること、薬の標的となる分子の変化、薬を細胞外へ排出する仕組み、DNA修復機能の変化など、さまざまな薬剤耐性の仕組みが関係します。
十分な投与量を続けにくいほど副作用が強い場合や、肝臓・腎臓の機能などによって治療内容の調整が必要な場合もあります。効かなかった理由を一つに決めつけず、病理診断や遺伝子・バイオマーカー、これまでの治療経過を踏まえて次の治療を検討します。
Q
副作用の少ないがん治療法はありますか?
すべての患者様にとって「最も副作用が少ない治療法」があるわけではありません。手術、放射線治療、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬には、それぞれ異なる効果と副作用があります。分子標的薬や免疫療法も、重い副作用が起こる場合があります。
治療は副作用の少なさだけではなく、がんの種類・進行度・遺伝子やバイオマーカー、治療目的、全身状態、患者様の希望を踏まえて選びます。治療のメリットとリスク、症状を軽減する方法を担当医と確認することが大切です。
抗がん剤治療中に当院の治療を検討される方へ
当院では抗がん剤の処方・投与は行っていません。抗がん剤治療中に生じた体調変化については、治療内容を把握している担当医・医療機関へご相談ください。一方、現在受けている治療との関係を確認しながら、当院の光免疫療法について相談したいという患者様からのご相談を承っています。
ご相談時には、抗がん剤の名称・投与日程、直近の血液検査、画像検査、治療経過などを確認し、現在の治療との関係や実施時期を個別に検討します。標準治療を自己判断で中断せず、まずは現在の状況をお聞かせください。
参考情報・医学的根拠
本ページは、以下の公的情報・診療ガイドラインを参考に作成しています。
- 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「さまざまな症状への対応」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「感染しやすい・白血球減少」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「しびれ」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「痛み」
- National Cancer Institute「Chemotherapy to Treat Cancer」
- ASCO Guideline Update: Prevention and Management of Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy
医学情報確認日:2026年8月17日


