当院がDWIBSを採用している理由
DWIBS(Diffusion-Weighted Whole-Body Imaging with Background Body Signal Suppression)は、MRIの一種で、がんの進行度や活性を評価するのに特に有用です。
この技術は、体内の水分子の拡數を観察することで、がん細胞の活動レベルや拡がりを高精度で捉えます。
特に、リンパ節転移や遠隔転移の評価、さらには治療効果のモニタリングにも用いられます。
これにより、がんの「勢い」をリアルタイムで評価することが可能です。
以下にDWIBS(ドゥイブス)の説明を記述します。
DWIBS(ドゥイブス)とは
DWIBS(Diffusion-Weighted Whole-Body Imaging with Background Body Signal Suppression)
DWIBSは、MRI(磁気共鳴画像法)の一種であり、特にがん診断や病変のステージング(進行度評価)に有用です。
DWIBSは、体内の水分子の拡散を観察することで、異常な組織や病変を高精度で検出することができます。
DWIBS法の信号と従来の画像法を重ね合わせたFusion画像により、一見して活動性の病変の広がりが評価できます。
基本原理
DWIBSは、拡散加重イメージング(DWI)と呼ばれるMRIの技術を基にしています。
DWIは、水分子のランダムな運動(拡散)を測定することで、組織の微細構造に関する情報を提供します。
DWIBSは、このDWIを全身レベルで適用し、背景の体信号を抑制することで、病変や腫瘍をより明瞭に視覚化します。
背景信号の抑制
通常のMRIでは、骨や筋肉、脂肪などの健康な組織も画像に映りますが、DWIBSではこれらの「背景」信号を抑制します。
これにより、病変や腫瘍が非常に鮮明に表示され、診断の精度が向上します。
用途
DWIBSは主にがん診断に使用されますが、その他にも多くの医療分野での応用があります。
例えば、炎症性疾患、神経系の疾患、血管疾患などでもDWIBSは有用です。
がん診断での利点
- 早期発見: DWIBSは非常に高感度であり、早期のがんも検出可能です。
- ステージング: 腫瘍だけでなく、リンパ節転移や遠隔転移も評価できます。
- 治療効果のモニタリング: 治療前後の病変の大きさや数を比較することで、治療の効果を評価できます。
制限と課題
DWIBSは非常に高度な技術であり、専門的な知識と経験が必要です。
また、高価な装置が必要であり、全ての医療施設で利用可能なわけではありません。
メリットとデメリット
メリット
- 高感度で高精度: DWIBSは非常に高感度であり、微小な病変や早期のがんも検出可能です。これにより、早期診断と早期治療が可能になります。
- 全身スキャンが可能: DWIBSは全身のスキャンが可能であり、一度の検査で多くの情報を得られます。これにより、リンパ節転移や遠隔転移も評価できます。
- 非侵襲的: DWIBSは非侵襲的な検査方法であり、体に負担をかけずに高精度な画像が得られます。
- 被ばくリスクがない: DWIBSはMRI技術を使用しているため、X線やCTスキャンのような放射線被ばくのリスクがありません。これは特に長期的な健康に配慮する場合や、小児・妊婦に対する検査で大きなメリットとなります。
- 背景信号の抑制: 通常のMRIでは健康な組織も画像に映りますが、DWIBSでは背景の体信号を抑制することで、病変や腫瘍が非常に鮮明に表示されます。
- 治療効果のモニタリング: DWIBSは治療前後の病変の大きさや数を比較することで、治療の効果を評価できます。
- 多様な用途: がん診断だけでなく、炎症性疾患、神経系の疾患、血管疾患などでも有用です。
デメリット
- 専門的な知識と経験が必要: DWIBSの解釈は専門的な知識と経験が必要であり、訓練された医師や技師が少ない場合、その有用性は制限されます。
- 装置の可用性: 高度なMRI装置が必要なため、全ての医療施設で利用可能なわけではありません。
まとめ
DWIBSは、がんやその他の疾患の診断において多くのメリットを持つ先進的なMRI技術です。
特に、放射線被ばくのリスクがない点は、長期的な健康管理や特定の患者群(例:小児、妊婦)にとって大きな利点となります。
しかし、専門的な知識と設備など、いくつかのデメリットも存在します。
これらの課題を解決するためには、さらなる研究と技術開発が必要です。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。