10代でも発症する乳がん
乳がんは、乳腺組織の異常な細胞増殖によって発生するがんの一種です。
40~60第の中高年女性で最も多く見られるがんとして知られていますが、極稀に10代の若い女性にも発症することがあります。
日本では、1年で約900人の10代女性が乳がんを発症していると推計されています。
若年女性では、遺伝的な要因や家族歴がある場合、特に乳がんのリスクが高まるといわれています。
発生率は低いですが、発症した場合、高齢女性に比べて進行が早く予後が悪い傾向にあるため、早期治療が重要となります。
10代の乳がんと間違えやすい病気
10代で乳がんを発症することは稀であり、乳腺線維腺腫などの他の病気であることがほとんどです。
乳腺線維腺腫は10~20代の若い女性に多く見られ、ゴムのような腫瘤が発生します。
乳がんと異なるのは、乳房内で滑らかに良く動くという点です。
また、腫瘤の大きさは3cm以下のことがほとんどです。
乳腺線維腺腫は良性の腫瘤であり、基本的には治療を行わず経過観察します。
10代の乳がんの特徴と診断
10代の乳がんは、ホルモン受容体陰性やHER2陽性など、攻撃的なタイプの乳がんであることが多いです。
進行が早いため、発見した時にはステージⅡ以降であることが多いのも特徴です。
また、皮膚の形状や色の変化などは起こり難いため、自己検診によって腫瘍(しこり)を発見することが一般的です。
医療機関における診断は、超音波検査(エコー検査)が推奨されます。
マンモグラフィーは、乳腺組織が発達している若い女性では、しこりの有無が分かりにくいことがあります。
日本では乳がん検診の対象年齢が40歳以上となっているため、これが若年女性の乳がん発見を遅らせてる原因の一つにもなっています。
10代の乳がん治療
10代の乳がん治療では、これから先に出産・妊娠を行う可能性があるため、治療後の生活の質や長期的な健康の維持を考慮する必要があります。
●手術
腫瘍と周囲の正常組織の一部を切除する乳房温存術や、乳房を全摘出する乳房切除術があります。
若年女性では、乳房切除術後に乳房再建手術を希望する患者が多いです。
乳房温存術を選択した場合、術後に放射線療法を行います。
●化学療法
化学療法(抗がん剤)は、ホルモン受容体陰性やHER2陽性の乳がんに対して効果的な治療法です。
化学療法の副作用として、卵巣機能の低下や早期の閉経が引き起こされることがあるため、妊娠できなくなる可能性があります。
●ホルモン療法
ホルモン受容体陽性の乳がんに対しては、ホルモン療法が選択されます。
使用する薬によっては、胎児に奇形が生じる可能性もあるため、ホルモン療法を行っている間の妊娠・出産は推奨されません。
また、がんの再発防止のために5~10年間服用を継続するため、治療後には妊娠・出産が自分の希望より遅くなってしまう可能性があります。
光免疫療法の詳細
光免疫療法は、がん細胞を特定し、光を照射することで細胞を破壊する治療法です。
この治療法は、特定の薬剤と光の組み合わせによってがん細胞を攻撃します。
10代の乳がんに対しても、光免疫療法は選択肢となる可能性があります。
また、光免疫療法は、他の治療法と組み合わせて使用されることもあり、相乗効果を期待できる可能性があります。
特に、手術や放射線療法が難しい場合や、再発・転移防止のための補完治療として利用されることがあります。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
10代の乳がん患者様へのサポート
10代の乳がん患者様は、心身ともに大きなストレスを感じることが多いです。
そのため、医療スタッフは十分な配慮とサポートが必要です。
治療方針や薬剤の選択についても、患者様の希望や年齢、体調を考慮し、最適な治療を提供することが求められます。
また、心理的なサポートやカウンセリングも重要であり、患者様の心のケアも忘れてはなりません。
家族や友人とのコミュニケーションも大切にし、サポート体制を整えることが大切です。
結論
10代の乳がんは、発生率は非常に低いですが発症すると、進行が早く攻撃的ながんのタイプであることが多いです。
そのため、早期発見・対処が重要であり、年齢や今後の生活も考慮に入れた治療法の選択が求められます。
光免疫療法についても、10代の乳がんに対する有効な治療の一つとなる可能性があります。
他の病気と勘違いしやすい10代の乳がんですが、疑わしい場合は早急に医療機関に相談に行きましょう。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。