副腎転移とは
肺がんは進行すると、血液やリンパの流れを介して他の臓器に転移することがあります。
副腎はその転移先のひとつであり、ステージ4に分類される要因のひとつとなります。
副腎は腎臓の上に位置し、ホルモンの分泌などを担う重要な臓器です。
副腎に転移が起きても症状が出ないことが多いですが、進行に伴い倦怠感や低血圧、体重減少などが現れることがあります。
副腎転移を伴う肺がんの治療方針
副腎転移がある場合、根治を目指す手術が難しいことが多く、全身治療が基本となります。
他の臓器にも転移があることが多いため、全身への作用を考慮した治療が求められます。
治療法 | 概要 |
---|---|
化学療法 | 複数の抗がん剤を用いてがんの増殖を抑制する治療法。副作用の管理が重要です。 |
免疫療法 | 免疫チェックポイント阻害薬などを用いて、がん細胞への免疫反応を促進します。 |
分子標的治療 | EGFR変異やALK融合遺伝子などに対応する薬剤を使用し、がん細胞の機能を阻害します。 |
放射線治療 | 副腎に局所的に照射し、腫瘍の縮小や症状の緩和を図る場合があります。 |
治療選択は、遺伝子変異の有無、全身状態、年齢、症状の程度などを総合的に評価した上で決定されます。
副腎摘出術が検討される場合
副腎への転移が単発であり、他の転移が明らかでない場合には、手術による摘出が選択されることがあります。
片側の副腎のみであれば、もう一方が機能を代償するため、術後の副腎機能は維持される可能性があります。
ただし、肺がんの性質上、全身的な再発のリスクがあるため、術後も全身治療を継続する必要があります。
副腎機能不全への対応
副腎転移により副腎皮質の機能が低下すると、アジソン病のような状態になることがあります。
症状としては、強い倦怠感、食欲不振、低血圧、体重減少などが見られることがあります。
そのような場合は、副腎ホルモンの補充療法が行われ、日常生活の安定が図られます。
選択肢としての光免疫療法
標準治療が難しい場合の一部において、光免疫療法という手段が検討出来る可能性があります。
この治療法は、がん細胞に集積する光感受性物質に、近赤外線を照射することでがん細胞を選択的に破壊することを目指すものです。
副作用が比較的少ないとされ、局所への影響も限定的になる可能性があります。
以下より当院の光免疫療法に関する詳細をご確認頂けます。
まとめ
肺がんがステージ4に進行し、副腎への転移が認められた場合には、全身治療を中心とした多角的なアプローチが求められます。
化学療法、免疫療法、分子標的治療を軸に、副腎摘出や放射線治療が補助的に用いられることもあります。
患者様一人ひとりの状態や希望に寄り添いながら、適切な治療方針を構築していくことが大切です。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。