皮膚がんステージⅣの解説と光免疫療法について
皮膚がんの概要
皮膚がんは、皮膚の細胞から発生する悪性腫瘍で、主に基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)に分類されます。
皮膚は身体の表面を覆う最大の臓器であり、紫外線や化学物質などの外部刺激に常にさらされています。
日本での罹患者数は年間約2万人と推定され、特に悪性黒色腫は約2千人程度とされています。
皮膚がんの原因は完全には解明されていませんが、長期間の紫外線曝露(日焼け、日光浴)、化学物質への接触、遺伝的要因、免疫抑制状態、慢性皮膚疾患(潰瘍や瘢痕)などがリスク因子と考えられています。
初期段階では小さなほくろやしこりとして現れることが多く、見た目で気づきやすい一方、進行するまで放置されるケースも少なくありません。
この記事では、皮膚がんステージⅣに関する情報と当院が提供している光免疫療法について解説します。
皮膚がんステージⅣの特徴
皮膚がんステージⅣとは、がん細胞が皮膚の局所を超えて広がり、リンパ節や遠隔臓器(肺、肝臓、脳、骨など)に転移した末期状態です。
診断時にステージⅣに達しているケースは、悪性黒色腫で特に多く、初期発見が難しい場合があります。
ステージⅣまで進行すると、皮膚の潰瘍化や出血、転移部位による痛み(骨痛、頭痛)、呼吸困難(肺転移)、神経症状(脳転移)、著しい体重減少や倦怠感などの重篤な症状が現れます。
また、リンパ節の腫れや皮膚表面の広範な変色・腫瘤形成も特徴的で、QOL(生活の質)に大きな影響を及ぼします。
特徴をまとめると以下の様になります。
- がん細胞がリンパ節や他の臓器に転移している。
- 皮膚の表面だけでなく、深部にもがん細胞が存在する。
- 他のステージと比べて予後が厳しい傾向にある。
- 症状としては、皮膚の潰瘍化や出血、痛みなどが現れることがある。
- 転移した臓器の機能低下や関連する症状が現れることもある。
皮膚がんステージⅣの治療法
ステージⅣでは根治が困難なため、治療の主な目的は症状の緩和と生存期間の延長に移ります。
化学療法によるがんの進行抑制、放射線療法による局所症状(痛み、出血)の緩和が主なアプローチとなります。
末期状態における手術は、局所症状の緩和や転移部位の管理で限定的かつ補助的に行われる場合がありますが、完全切除はほぼ不可能です。
また、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、キイトルーダなど)や分子標的治療薬が悪性黒色腫を中心に使用され、一定の効果が報告されています。
さらに、支持療法(緩和ケア)による全身状態の維持とQOLのサポートが重要な役割を果たします。
皮膚がんの治療の限界や課題
ステージⅣの皮膚がん治療では、手術による根治が困難、化学療法や免疫療法の効果が限定的かつ副作用が強い、放射線療法が転移全体をカバーできない、支持療法では進行を止められないといった課題があります。
特に悪性黒色腫では、転移速度が速く、治療への反応が患者ごとに異なるため、個別化された対応が必要です。
高齢者や体力の低下した患者では、積極的な治療が難しい場合もあり、早期発見と予防が鍵となります。
皮膚がんステージⅣの予後
皮膚がんステージⅣの5年生存率は、悪性黒色腫で約10~20%、基底細胞がんでデータが少なく推定困難、有棘細胞がんで40%未満であり、予後は非常に厳しいといえます。
予後を左右する要因として、転移の範囲や臓器機能の低下が挙げられます。
化学療法や免疫療法で生存期間を数ヵ月から数年延ばすケースもありますが、がんの根絶は困難です。
感染症や全身衰弱が合併すると急速に状態が悪化し、生存期間が短縮されることもあります。
光免疫療法の可能性
皮膚がんステージⅣにおける標準治療には、上記の様に課題や限界がありますが、光免疫療法が新たな希望となる可能性があります。
光免疫療法とは、特定の薬剤を投与後、レーザー光を照射することでがん細胞を破壊する治療法です。
この治療は、他の標準治療(化学療法、免疫療法)と組み合わせが可能であり、相乗効果も期待されます。
また、がん細胞に選択的に作用し、健康な細胞への影響が少ない特徴があり、皮膚がんのように表面に近い部位にも適用しやすい利点があります。
さらに、がんのステージや転移の有無に影響されにくいため、ステージⅣ(末期状態)の患者様にも適応可能な場合があります。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認いただけます。
まとめ
皮膚がんは、紫外線や遺伝的要因が関与し、初期段階で気づきやすいものの、進行するとステージⅣに至ることがあります。
ステージⅣでは、治療の主目的が生存期間の延長とQOLの維持となり、化学療法、放射線療法、免疫療法、支持療法が組み合わされますが、課題や限界も存在します。
光免疫療法は、皮膚がんステージⅣにおいても有効な治療法の一つとなる可能性があり、身体への負担や副作用が少ない特徴から、高齢者や体力の衰えた方にも適用が検討できます。
標準治療以外の選択肢を模索されている方は、当院まで一度ご相談ください。
光免疫療法の導入により、患者様の治療の幅が広がり、より良い生活を支えることが期待されます。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。