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食道がん(ステージ4)リンパ節転移とは
食道がんは、進行にともないリンパ節や他の臓器に広がることがあります。
ステージ4は、がんが遠隔転移を起こしているか、広範囲のリンパ節に転移している状態を含みます。
その中でも、遠隔臓器には転移がなく、リンパ節転移が主体の場合は、治療の可能性が残されていることもあります。
ただし、進行度が高いため、外科手術による根治的な治療が困難と判断されるケースも多く見られます。
リンパ節転移による影響と治療の課題
食道がんは、頸部、縦隔、腹部など、複数領域のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。
リンパ節が腫れることで、気道や食道を圧迫し、嚥下困難や呼吸のしづらさを引き起こすこともあります。
また、転移の範囲が広がると、局所治療だけでは対応が難しく、全身治療の必要性が高まると考えられています。
ステージ4に対する標準的な治療
ステージ4の患者様に対しては、主に化学療法が中心となることが一般的です。
シスプラチンや5-FUなどを組み合わせた抗がん剤治療が行われる場合があり、全身に広がったがん細胞を抑えることを目的としています。
近年では、免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブなど)が使用される場面もあり、適応となる症例もあります。
ただし、副作用や体への負担を考慮する必要があり、患者様の全身状態によっては治療法の見直しが求められることもあります。
生活の質を重視した医療の選択
進行がんの治療では、延命だけでなく、患者様の生活の質(QOL)をいかに保つかも大切な視点です。
嚥下が難しい場合には、食道ステントの挿入や経管栄養の検討が行われることがあります。
また、痛みや息苦しさといった症状への対応には、緩和医療の導入も有効とされています。
治療の方向性は、医師からの提案に加え、患者様やご家族のご希望を反映しながら、柔軟に検討されることが望ましいです。
選択肢としての光免疫療法
標準治療以外の補助的な選択肢として、光免疫療法という方法が一部の医療機関で提供されています。
この治療は、がん細胞に集まりやすい薬剤を投与した後、近赤外線の光を照射することで、がん細胞だけを狙って破壊するという仕組みです。
正常な組織へのダメージが抑えられる点が特徴であり利点の一つです。
治療内容や費用面も含め、主治医との相談を通じて、慎重に検討することが推奨されます。
当院の光免疫療法に関する情報は以下よりご確認頂けます。
治療方針を決める際の主な要素
以下のような複数の視点から、治療の方向性を検討することが多いです。
検討項目 | 具体的な内容 |
---|---|
全身状態 | 活動度(パフォーマンスステータス)、臓器機能 |
転移の範囲 | リンパ節の数、位置、他臓器転移の有無 |
患者様の意思 | 治療継続への意欲、QOL重視の希望 |
治療施設の設備 | 実施可能な治療法、緩和ケアチームの有無 |
ご家族の支援体制 | 在宅療養の可否、通院のサポート |
まとめ
食道がんステージ4でリンパ節転移がある場合、治療には全身への配慮が必要とされます。
化学療法や放射線療法が基本となる一方で、症状の緩和や生活の質の維持を目的とした支援も重要です。
光免疫療法のような補助的な治療法が検討されることもありますが、適応や提供施設に限りがあるため、慎重な選択が求められます。
治療を進める中では、患者様の希望や体調、ご家族の状況を踏まえながら、医療者との対話を重ねることが何より大切です。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。