骨肉腫とは
骨肉腫は、主に小児の骨に発生する悪性腫瘍において、最も頻度の高い代表的な骨のがんです。
また、骨肉腫は肉腫の一種で、希少がんに分類されており、日本での年間発生はおよそ200〜300人です。
10代の青年期において発生しやすいといわれていますが、高齢者も一定の割合で発症することがあります。
骨肉腫の原因
骨肉腫の原因は、現状でははっきりしていませんが、幾つか要因として考えられる要素は発見されています。
①がんの治療
がん治療で放射線治療や化学療法(抗がん剤)の治療を受けることで、遺伝子異常等が無い場合でも骨肉腫等の二次がんを発症するリスクが高まることがあると考えられています。
ごく稀に、放射線治療を行った部分から骨肉腫が発生してしまうことがあり、放射線治療の回数とも相関があると考えられます。
②遺伝子の変異
骨肉腫の発症において、遺伝子変異が原因であると考えられています。
例を挙げると、遺伝性疾患であるLi-Fraumeni(リー・フラウメニ)症候群を患っていると、骨肉腫が発症しやすい傾向であると考えられています。
Li-Fraumeni症候群とは、“p53遺伝子(がん抑制遺伝子の一種)”の変異によって起こり、骨肉腫に限らず、あらゆるがんの発症につながるといわれている病気です。
またリスクとしては、年齢ごとに30歳までに5割、60歳までに9割以上といわれており、更に、Li-Fraumeni症候群は多発性の原発がんを生じるリスクも高いとされており、2種類のがんを発症するリスクはおよそ6割、3種類の場合はおよそ4割と考えられています。
③骨パジェット病
骨パジェット病とは新しい骨細胞の代謝異常によって異常をきたす病気で、罹患してしまった骨は脆くなって変形し、壊れやすくなります。
通常の骨肉腫は、若年での発症が多いですが、骨パジェット病が影響していると思われる骨肉腫は、50代から多く見られます。
日本では、米国より骨パジェット病の患者数は少ないとされていますが、骨パジェット病の患者のうち、およそ1%に骨肉腫が発生するとされています。
骨肉腫の症状
骨肉腫の主な症状は、痛みと腫れです。
特に大腿骨、すねの骨の膝に近い部分、肩に近い上腕骨に発生することが多いとされているため、これらの部位に痛みや腫れがある場合は気をつける必要があります。
(場合によっては、下肢において歩行障害や骨折につながる恐れもあります。)
しかし、これらの症状は、成長痛やスポーツ障害によって生じているものが多く、痛みや腫れ等の症状のみで骨肉腫かと不安視し過ぎることはありません。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。