使用可能な抗がん剤がなくなった、または選択肢が限られている方のがん治療の選択肢

がん治療において、抗がん剤が効かなくなった場合や、治療可能とされる薬が限られている場合、他にどのような選択肢があるのか不安に感じる方も多いでしょう。
しかし、治療の進歩により、抗がん剤以外にもさまざまな治療法が選択肢として存在します。
本記事では、抗がん剤が使えないもしくは選択肢が限られているのはどのような場合かについて触れた上で、その際における治療方法について詳しく解説します。

1. 抗がん剤の効果が見込めないもしくは選択が限られるケースの紹介

抗がん剤の効果が見込めないとされる原因は、薬剤耐性や抗がん剤の副作用、がんの種類が主に挙げられます。

原因 説明
薬剤耐性 がん細胞は、長期間同じ抗がん剤を使用すると耐性を持つことがあり、効果がなくなることがあります。(獲得耐性)
薬剤耐性についてより詳しく知りたい方はこちらも参照してみて下さい。
副作用が強すぎて治療を継続できない 重篤な副作用により、治療を継続できないことがあります。
特に肝機能や腎機能が低下している場合、強い薬が使用できず、例えば腎機能低下によりシスプラチンが使用できなくなるケースがあります。
がんの種類や進行度により使える薬がもともと少ない がんの種類や遺伝子変異により、治療の選択肢が限られる場合があります。
希少がんや膵臓がんでは治療法が少なく、進行がん・末期がんでは全身に広がるため抗がん剤の選択肢が減ります。

2. 抗がん剤以外の治療法

抗がん剤が使えなくなった場合でも、以下のような治療方法が考えられます。

治療法 説明
光免疫療法 がん細胞に集積する薬剤を投与し、特定の波長の光を照射することでがん細胞を攻撃する治療法。周囲の正常細胞への影響を抑えながら、がん細胞を選択的に破壊することが可能。
期待される効果:
・副作用が比較的少ない
・局所的な治療が可能
・他の治療と併用できる可能性がある
※当院では光免疫療法を導入しております。詳しくはこちらをご参考ください。
免疫療法 免疫力を活性化し、がん細胞を攻撃する治療法。抗がん剤とは異なる作用機序で効果が期待できる。
代表的な免疫療法:
・免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、キイトルーダ、ヤーボイ)
・がんワクチン
・CAR-T細胞療法
分子標的療法 がん細胞の特定の分子を狙い撃ちする治療法。遺伝子変異によって新たな薬が試せる可能性がある。
代表的な分子標的薬:
・EGFR阻害薬(肺がん):エルロチニブ、ゲフィチニブ
・ALK阻害薬(肺がん):アレクチニブ、クリゾチニブ
・BRAF阻害薬(メラノーマ):ベムラフェニブ
・HER2阻害薬(乳がん・胃がん):トラスツズマブ
臨床試験(治験) 現在の治療で効果がない場合、新しい治療薬の試験に参加することで治療の選択肢を広げることができる。
臨床試験の種類:
・新しい分子標的薬や免疫療法の試験
・既存の薬の新しい組み合わせの試験
・患者の遺伝子に基づいた個別化医療の試験
情報の探し方:
・国立がん研究センターの治験情報サイト
・大学病院や専門医への相談
・海外の治験データベース
放射線治療 手術や抗がん剤が適応できない場合でも、放射線によってがんを縮小させる治療法。
最新の放射線治療:
・陽子線治療・重粒子線治療
・定位放射線治療(SBRT)
・全脳照射
緩和ケア(QOL向上) 積極的な治療が難しい場合でも、生活の質(QOL)を維持・向上させるためのケア。
・痛みや症状の緩和
・精神的・社会的なサポート
・診断初期からの早期介入が有効

3. まとめ

抗がん剤の選択肢が限られている場合でも、以下の治療法を検討できます。

治療法 説明
光免疫療法 がん細胞を標的とする薬剤を投与し、特定の光を照射してがん細胞を破壊する治療法。副作用が比較的少なく、局所的な治療が可能。
免疫療法 免疫力を活性化し、がん細胞を攻撃する治療法。
代表例: オプジーボ(ニボルマブ)、CAR-T細胞療法
分子標的療法 がんの遺伝子変異を調べ、特定の分子を標的とする薬を使用する治療法。
新たな薬を試す可能性がある
臨床試験(治験) 現在の治療で効果がない場合、新しい治療薬の試験に参加することで治療の選択肢を広げることができる。
放射線治療 手術や抗がん剤が適応できない場合でも、放射線によってがんを縮小させる治療法。
代表例: 陽子線治療、重粒子線治療
緩和ケア がんと共に生きるための治療として、生活の質(QOL)を向上させるケア。

がん治療は日々進化しています。治療の選択肢が限られている場合でも、主治医や専門医と相談しながら、新たな可能性を探ることが大切です。患者一人ひとりに合った治療を見つけ、より良い生活を送るためのサポートを受けましょう。

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