男性にも発症する乳がん
乳がんは、一般的に女性がかかる病気というイメージを持たれていますが、男性にも発症する病気です。
女性の場合では、生涯を通じて8人に1人が乳がんを発症するといわれていますが、男性は1000人に1人でありかなり稀な病気となります。
しかし、近年では乳がんを発症する患者数が増加傾向であり、それは男性の乳がん患者数においても例外ではありません。
また、男性乳がんは年齢関係なく発生する可能性がありますが、特に60代以降から罹患率が高くなることが分かっています。
男性乳がんは、発見時には進行してしまっている場合も多いため、早期発見・治療が重要となります。
この記事では、男性の乳がんに関する詳細を解説します。
自覚症状に乏しい男性乳がん
男性乳がんの自覚症状は少ないのが一般的であり、発見時には進行してしまっている場合が多いです。
それには、男性の乳がんに対する認知が低いため、セルフチェックや乳がん検診などを行う人が少ないことも関係しています。
自覚症状としては、乳頭近くにしこり(腫瘤)の発生、乳頭から血液や体液の分泌、乳頭の変形、皮膚の潰瘍、腋窩リンパ節のしこりなどが挙げられます。
これらの症状は女性の乳がんと同様であり、男性乳がん特有の症状はほとんどありません。
男性乳がんの原因
男性の乳がんの具体的な原因は明確には分かっていませんが、遺伝的要因やホルモンの影響、放射線への曝露などが関与していると考えられています。
特に、家族歴や遺伝子変異(BRCA1、BRCA2など)がある場合、発症リスクが高まることが分かっています。
また、肝硬変やクラインフェルター症候群(遺伝性疾患)などによって、体内の女性ホルモン量が増えた場合も、乳がんの発症リスクが高まります。
その他にも、肥満や過度なアルコール摂取といった生活面におけるリスク要因も考えられます。
遺伝子変異、ホルモンバランス、生活環境など多くの要因が男性の乳がんのリスクを増加させる可能性があります。
検査・診断
男性乳がんの検査方法は、基本的に女性と同じあり、マンモグラフィーや超音波検査を最初に行います。
検査結果に異常が検知された場合、組織を針で採取する針生検が行われ、その結果を基に確定診断が下されます。
また、針生検では、ホルモン受容体やHER2の発現といった、治療法の選択で必要な情報も調べることができます。
病気の範囲を調べるために、追加でCT検査などの高度な画像検査を行われることもあります。
治療方法と光免疫療法
治療についても、男性と女性の乳がんで大きな違いはありません。
男性は乳腺の組織が薄く、周辺組織への浸潤も女性より進みやすい傾向にあります。
そのため、早期治療を行わないとステージ(病期)が進行しやすいといえます。
主な治療法としては、手術、放射線療法、薬物療法が挙げられます。
腫瘍が切除可能な場合、手術が優先して行われ、術後に放射線療法を行います。
また、病状に応じて術前又は術後に薬物療法(抗がん剤・ホルモン療法)を行うこともあります。
腫瘍が切除出来ない場合、がんの進行を遅らせたり、症状の緩和を目的とする薬物療法を中心に行っていきます。
光免疫療法
光免疫療法は、がん細胞に選択的に集積し作用するため、健康な細胞へのダメージが少ないという利点があります。
男性乳がんに対しても、効果的な治療法となる可能性があります。
副作用が少ない治療法のため、年齢やがんの進行度に影響を受けず治療を受けることができます。
標準治療と組み合わせることも可能なため、現在受けている治療だけでは完治が難しい患者様はご検討ください。
男性乳がんの生存率
男性の乳がんは、乳がん全体約1%と少ない割合ですが、女性の乳がんと比較して死亡率が高いことが報告されています。
報告によると、”全生存率は男性45.8%、女性60.4%、3年生存率は86.4%、91.7%、5年生存率は77.6%、86.4%と、全ての病期を通じて男性患者の方が死亡率が高かった。”とされています。
臨床特徴の違いや不十分な治療によって、死亡率の違いの大半を説明することが出来ますが、不明な点はまだ多いです。
予防と生活習慣
男性の乳がんの予防には、健康的な生活習慣の維持が重要です。
適度な運動、バランスの良い食事、禁煙、アルコールの摂取制限などが推奨されています。
また、定期的なセルフチェックや検診を行い、異常を早期に発見することも大切です。
ストレスの管理や十分な休息も、乳がんの予防に役立つとされています。
まとめ
男性の乳がんは、罹患率は低いものの、発見時には進行をしている場合も多く、女性と比較して死亡率も高いことが分かっています。
症状や治療法は、女性の乳がんと大きな違いはありませんが、早期発見・治療が最も重要となります。
特に、家族歴がある方や60代以上の方は、男性であっても乳がんに罹るリスクが高くなるため、定期的なセルフチェックや検診が大切です。
光免疫療法は男性の乳がんに対しても、有効な治療法となる可能性があります。
標準治療だけでは完治が難しい状況の患者様も、諦めず一度ご相談ください。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。