乳がんのステージ（病期）について
乳がんは、乳房の細胞が異常に増殖することで発生するがんの一種です。
乳がんと診断されたら、まずどれぐらい進行しているかを診断する必要があります。
進行度を表すステージ（病期）は、しこりの大きさ、リンパ節の転移の有無、他の臓器への転移の有無によって決定され、それによって治療法や予後が異なります。
乳がんのステージ分類の詳細
乳がんのステージ分類について、がんの種類やしこりの大きさなどのポイントを紹介します。
１．非浸潤がん・浸潤がん
非浸潤がんとは、がん細胞が乳管内に限局している状態です。
浸潤がんとは、増殖したがん細胞が乳管の壁を破り、周りの組織にまで広がった状態です。浸潤がんになるとリンパ節や他の臓器への転移についても考える必要があります。
２．しこりの大きさ
局所的にがんがどれぐらいの大きさなのか、がんが発生してどれぐらいの時間が経過したか、全身への転移などを判断する目安となります。
３．腋窩リンパ節への転移
がん細胞は、わきの下（腋窩）などのリンパ節に転移することがわかっています。
腋窩リンパ節へのがんの転移の有無によって、他の臓器への転移を予測できます。
４．遠隔転移
遠隔転移とは、骨、肺、胸膜、肝臓、脳といった他の臓器への転移です。
遠隔転移が確認された場合、ステージⅣとなり治療方針を変更する必要がでてきます。
以下に、乳がんのステージ毎の状態について詳しく説明します。
ステージ0
- 状態: がん細胞は乳腺内に留まり、他の組織への浸潤なし
- 治療: 通常は手術と放射線療法が行われます。
ステージⅠ
- 状態: しこりは2cm以下で、他の組織への浸潤なし
- 治療: 手術、放射線療法、薬物療法などを組み合わせます。
ステージⅡA
- 状態:
①しこりは2cm以上で、腋窩リンパ節に転移がある
②しこりの大きさが2～5cm、腋窩リンパ節に転移なし - 治療: 手術、放射線療法、薬物療法などを組み合わせます。
ステージⅡB
- 状態:
①しこりの大きさが2～5cm、腋窩リンパ節に転移がある
②しこりの大きさが5cm以上、腋窩のリンパ節に転移なし - 治療: 手術、放射線療法、薬物療法などを組み合わせます。
ステージⅢA
- 状態:
①しこりの大きさが5cm以上、腋窩リンパ節または内胸リンパ節に転移がある
②しこりの大きさ5cm以下、転移した腋窩リンパ節が固定されている、または内胸リンパ節への転移がある - 治療: 手術、放射線療法、薬物療法などを組み合わせます。
ステージⅢB
- 状態:
①しこりの大きさを問わず、しこりが胸壁に固定されている、または皮膚にむくみや目に見えるこぶがある。リンパ節への転移なし、または腋窩リンパ節への転移がある、または内胸リンパ節への転移がある。
②しこりのない炎症性乳がん - 治療: 薬物療法を行った後、手術や放射線治療を行います。
ステージⅢC
- 状態:
しこりの大きさを問わず、腋窩リンパ節と内胸リンパ節の両方に転移がある、または鎖骨上のリンパ節まで転移がある - 治療: 薬物療法を行った後、手術や放射線治療を行います。
ステージⅣ（転移性乳がん）
- 状態: しこりの大きさやリンパ節への転移は問わず、他の臓器への転移がある
- 治療: 全身治療を行います。原発病巣については、手術、放射線療法、モーズ軟膏などの局所療法を行います。
光免疫療法と乳がん
乳がんのステージに関係なく、光免疫療法が適応される場合もあります。
光免疫療法は、特定の波長の光を用いてがん細胞を攻撃する治療法です。
この治療は、他の治療法と併用されることもあり、副作用が少ないとされています。
詳細は以下より、ご確認頂けます。
ステージと症状の関係
| ステージ | 主な症状 |
|---|---|
| ステージ0 | 通常は症状が出ない |
| ステージⅠ | 小さなしこりが 明白である場合もある |
| ステージⅡ | しこり、皮膚の変化、痛み |
| ステージⅢ | しこり、皮膚の変化、痛み、リンパ節の腫れ |
| ステージⅣ | 疲労、体重減少、他の臓器に関連する症状 |
乳がんのステージはがんの進行度を表し、治療法を決定したり予後を予測する重要な要素です。
早期発見、早期治療が重要であり、定期的な検診と自己検診が推奨されます。
特に高齢者や遺伝的な要素がある場合、定期的な医療チェックが必要です。
以上が乳がんのステージに関する基本的な情報です。
この情報は一般的なガイドラインであり、個々の症状や状態によっては異なる場合があります。
したがって、専門の医師の診断と治療が必要です。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。
