咽頭がんとは
What is Pharyngeal cancer?
咽頭とは鼻の奥から食道に至るまでの食物や空気の通り道のことで上・中・下の3つの部位に分けられています。
そして咽頭がんは、咽頭に発生するがんで、それぞれ『上咽頭がん』、『中咽頭がん』、『下咽頭がん』に分かれていて、がんが発生する位置や性質が異なっています。
治療の面でも、その性質の差があらわれており、上咽頭がんは放射線治療が主体となるのに対して、中咽頭がんと下咽頭がんは早期では、経口腔的内視鏡切除や化学療法を併用した放射線治療が選択されることが多く、進行がんでは化学放射線治療または遊離皮弁を用いた再建手術を行われています。
咽頭の周りには多くのリンパ節があるため、頸部(首)のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。
咽頭がんにおける進行度は第Ⅰ期〜Ⅳ期の4段階に分けられており、通常第Ⅰ・Ⅱ期を早期がん、第Ⅲ・Ⅳ期を進行がんと呼びます。
病期は咽頭の腫瘍の大きさ(T)、頚部リンパ節転移(N)の大きさや数、肺や骨などの遠隔転移(M)の有無によって決定されます。
咽頭がんの原因
Causes of pharyngeal cancer
咽頭がんの原因は、がんの発生部位によって分類されます。 ここでは、発生部位ごとに分けて、各がんにおける原因について解説していきます。
(1)上咽頭がん
上咽頭がんの発がん因子としては、エプスタイン・バール・ウイルス(EBウイルス感染症)と呼ばれるウイルスが関連するものと、喫煙や過度の飲酒が関連するものがあります。
EBウイルスは、 ヘルペスウイルスの一種でヘルペスウイルス4型と呼ばれています。
殆どの場合、強い影響がないといわれていますが、時折、上咽頭がんや バーキットリンパ腫といったがんの発生要因になることがあります。
因みに、EBウイルスが原因となる場合の腫瘍の種類の大半は扁平上皮がんですが、他の頭頸部のがんと比較すると未分化なものが多く、若年層の発症がみられるケースも時折あります。
(2)中咽頭がん
①p16陰性がん(HPV非関連がん)
中咽頭がんの内のp16陰性がんの場合、主な原因として喫煙と飲酒が挙げられます。
②p16陽性がん(HPV関連がん)
中咽頭がんの内のp16陽性がんの場合、主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染で、特にHPV-16への感染の場合が挙げられます。
因みに、中咽頭がんのp16陽性がんはp16陰性がんと比較すると予後は良いとされています。
また、咽頭の周りにはリンパ節が多くあるので、頸部のリンパ節に転移しやすい特徴があります。
逆に中咽頭がんは、頸部リンパ節転移の原発巣として後に判明するケースもあることから頸部リンパ節転移がんの原因としても挙げられます。
(3)下咽頭がん
下咽頭がんの発がん因子としては、喫煙や飲酒が挙げられます。
また女性の場合は、慢性鉄欠乏性貧血が下咽頭がんの発がん因子になることもあります。
咽頭がんの症状
Symptoms of throat cancer
咽頭がんの症状は、がんの発生部位によって異なります。
ここでは、発生部位ごとに分けて、各がんにおける症状について解説していきます。
咽頭がんの症状は、がんが進行した際に大きく症状が分かれることが特徴的です。
(1)上咽頭がん
上咽頭がんは、自覚症状に乏しいため、早期発見が難しいケースが少なくありません。
また、上咽頭がんが進行した際には、がんの進行方向によって、耳鼻、脳、脳神経症状などをきたします。
例えば、耳の場合は、中耳炎、耳鳴りといった伝音難聴、鼻の場合は、鼻づまりや鼻からの出血といった鼻症状がみられます。
また、複視といった脳症状が出現することもあります。他にも首の腫れがみられることもあります。
(2)中咽頭がん
中咽頭がんは、自覚症状に乏しいため、早期発見が難しいケースが少なくないため、発見が遅れてしまうケースもあります。
また、中咽咽頭がんが進行した際には、嚥下障害、構音障害を発症します。
また、舌運動障害や耳への放散痛が生じたりします。
(3)下咽頭がん
下咽頭がんは、初期症状として、嚥下の際の異物感がみられます。
しかし、他の咽頭がんと同じく自覚症状に乏しいため、早期発見が難しいケースが少なくありません。
また、下咽頭がんが進行した際には、嗄声、嚥下障害、吐血が出現し、さらには頸部腫瘤がみられることもあります。
上記の症状が一つでもみられる場合は勿論、各症状が長期間続いていると感じる場合には、早期に耳鼻咽喉科の医療機関を受診するようにしてください。
咽頭がん情報記事監修者
Article supervisor
当該咽頭がんに関するページは院長 小林賢次監修にて作成しております。
氏名:小林賢次
経歴
- 1991年3月 京都大学法学部卒業
- 2000年3月 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
- 2000年5月 同愛記念病院 臨床検査科
- 2002年5月 NTT東日本関東病院病理診断部
- 2011年6月 新八重洲クリニック 院長
- 2019年1月~ 東京がんクリニック開院
出身大学
- 京都大学法学部卒業
- 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
当院へのご相談の流れ
Consultation process for our clinic
ご予約
当院は完全予約制のため、咽頭がんに関するお悩みで初めてご来院される患者様は、事前にお電話かメールにて予約をお願い致します。
※出来るだけ早めのご予約を頂けますとスムーズに日程調整が可能です。
メールでのご予約の際は、予約状況を確認した後、担当者よりお返事をさせて頂きます。
ご来院
当日は、予約時間の5分前を目安にご来院をお願い致します。
当院の場所が分かり難い場合には、お電話頂ければ当院スタッフが分かりやすくご案内させて頂きます。
また、診療情報提供書や血液検査データなどの資料をお持ちの場合には、持参して頂くようお願いします。
受付
初診時には、問診票を記入して頂きます。
咽頭がんに関するお悩みや過去現在の治療状況など、些細なことでもご記入ください。
●上咽頭がんの症状例
・中耳炎、耳鳴り等
・鼻づまり、血の混じった鼻汁
●中咽頭がんの症状状例
・喉が沁みる、喉の違和感等
・咽頭痛、飲み込むときの痛み
●咽頭がんの症状状例
・頸部腫瘤
・咽頭への違和感等
など
インフォームドコンセント
問診票を参考にしながら、医師と医療スタッフが患者様のお悩みや現在の状況をお伺いします。
正確な判断を行うためにも、質問には分かる範囲で正しい情報をお答え頂くようお願いします。
また、当院で行っている咽頭がんの治療法についても、メリット・デメリットを含めて分かりやすく説明致しますので、ご不明な点などありましたらご質問ください。
当クリニックの説明だけでは不安を感じる患者様は、「セカンドオピニオン」もご検討ください。
同意書の記入
当院での治療内容や効果、リスクなどをご理解して頂いた上で、当院で咽頭がん治療を受診される場合には、同意書にご記入をして頂きます。
また、治療に必要な費用についても事前に明瞭にご提示させて頂きます。
今後の前立腺がん治療計画について
当院では、一人ひとりの症状に合わせて、患者様に最も効果の期待できる治療法・日程にて咽頭がん治療を進めていきます。
患者様の生活スタイルに沿ったご来院スケジュールをご提案しますので、QOL(生活の質)を低下させることなく咽頭がん治療を行うことが可能です。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。