手遅れと言われた膵臓がん治療の選択肢
膵臓がんは、初期症状が乏しく発見が遅れがちなため、「手遅れ」と診断されるケースが多いがんです。
しかし、医療技術の進歩により、進行した膵臓がんや転移が確認された場合でも、治療の選択肢が広がっています。
本記事では、手遅れとされる膵臓がんの治療選択肢と、光免疫療法の有効性について詳しく解説します。
膵臓がんが「手遅れ」とされる理由
膵臓がんが手遅れとされる主な理由は、膵臓の解剖学的特徴とがんの進行速度にあります。
膵臓は腹部の奥深くに位置し、重要な血管や臓器に囲まれているため、がんが周囲に浸潤すると手術が困難になります。
また、膵臓がんは肝臓、肺、骨などへの転移が早く、診断時にすでにステージⅣ（遠隔転移あり）である場合が多いです。
この段階では、局所治療だけでは十分な効果が得られず、全身的な治療が必要となります。
しかし、近年の治療法の進化により、進行がんでも生存期間の延長や生活の質（QOL）の向上が期待できるようになっています。
手遅れと言われた膵臓がんの治療選択肢
手遅れと診断された膵臓がん（主にステージⅣ）に対する治療は、がんの進行度や患者様の状態に応じて以下のような方法が選択されます。
- 化学療法：FOLFIRINOXやゲムシタビン＋ナブパクリタキセルなどの強力なレジメンが標準治療として使用されます。これにより、腫瘍の進行抑制や生存期間の延長が期待されます。ただし、副作用が強い場合もあるため、患者様の全身状態に応じた調整が必要となります。
- 放射線療法：転移巣や原発巣による痛みや閉塞症状の緩和を目的に、放射線が用いられることがあります。定位放射線療法など、精度の高い照射も選択肢の一つです。
- 光免疫療法：がん細胞に集積する薬剤に近赤外線を照射し、がん細胞を選択的に破壊する治療法です。進行した膵臓がんや転移巣に対して、局所制御や症状緩和に有効であると期待されています。副作用が少なく、治療時間が短い点が特徴です。
- 緩和ケア：痛みや消化器症状の管理、栄養サポート、心理的ケアを組み合わせ、QOLの維持・向上が図られます。緩和ケアは他の治療と並行して行われることが一般的です。
- 分子標的薬・免疫療法：特定の遺伝子変異（例：BRCA変異）を持つ患者様にはPARP阻害剤が有効な場合があります。また、免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験も進行中です。
これらの治療は、患者様の状態に応じて単独または組み合わせて行われます。
以下より、当院の光免疫療法の詳細を確認して頂けます。
光免疫療法の有効性
光免疫療法は、手遅れとされる膵臓がんにおいても有望な治療選択肢として注目されています。
この治療は、がん細胞に特異的に結合する薬剤を投与し、特定波長の光を照射することで、がん細胞をピンポイントで破壊します。
膵臓がんは深部に位置するため光の到達が課題ですが、内視鏡やカテーテルを用いた光照射技術の進歩により、適応範囲が広がっています。
また、化学療法との併用でさらなる効果が期待されています。
光免疫療法の最大の利点は、副作用が少なく正常組織へのダメージを抑えられる点で、QOLを維持しながら治療を継続できる可能性があります。
ただし、すべての患者様に適応するわけではなく、がんの位置や転移の状態に応じた専門医の評価が必要です。
光免疫療法と緩和ケアの融合
光免疫療法は、末期膵臓がん患者様の治療と緩和ケアを同時に実現する新たな選択肢です。
がん細胞を直接攻撃するだけでなく、痛みや腫れなどの症状軽減にも寄与します。
光感受性薬剤を活性化させる特定の波長の光を用いることで、健康な組織への影響を最小限に抑え、治療効果とQOL向上の両立が可能です。
このアプローチは、患者様がより快適で活動的な生活を続けられるよう支援し、家族との時間を充実させる手助けとなります。
まとめ
手遅れと言われた膵臓がん（ステージⅣ）でも、化学療法、放射線療法、光免疫療法などの治療選択肢により、生存期間の延長やQOL向上が期待できます。
光免疫療法は、副作用が少なく、治療と緩和ケアの両方に有効な新しいアプローチとして注目されています。
診断後は、専門医と十分に相談し、患者様の状態に最適な治療計画を立てることが重要です。
また、緩和ケアや心理的サポートを組み合わせることで、患者さんとご家族の生活の質を高めることができます。
当院の光免疫療法は、膵臓がん治療中の方（標準治療）でも受けて頂ける可能性がありますので、お気軽にご相談ください。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。
