目次
1. 甲状腺がんとは
甲状腺がんは、首の前側に位置する甲状腺に発生する悪性腫瘍です。
代表的な種類には乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんなどがあり、それぞれ性質や進行の速さが異なります。
多くの場合、早期に発見されると治癒が期待できますが、進行して遠隔転移を伴うと、治療が難しくなることがあります。
2. ステージ4とは
甲状腺がんのステージ4(IV期)とは、がんが甲状腺を超えて広がり、他の臓器にも転移している状態を指します。
肺や骨、脳などへの転移がみられることがあり、特に肺転移は比較的多く、胸水が現れる要因にもなり得ます。
ステージ | 特徴 |
---|---|
IVA期 | 局所で進行し、周囲の組織に浸潤している |
IVB期 | 首周辺の主要な血管や構造物に浸潤 |
IVC期 | 遠隔転移(肺、骨、脳など)がある |
3. 胸水とは
胸水とは、肺と胸壁の間(胸腔)に液体が異常に溜まった状態を指します。
通常、胸腔内にはごく少量の液体が存在しますが、病的に液体が増えると、呼吸困難や胸痛、咳などの症状が出現します。
甲状腺がんが進行して肺や胸膜に転移すると、胸水が発生することがあります。
この場合、胸水にはがん細胞(悪性胸水)が含まれている可能性もあり、病状はかなり進行していると考えられます。
4. 胸水による症状
胸水が溜まると、以下のような症状が見られます。
症状 |
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息切れ |
呼吸困難 |
胸の痛みや圧迫感 |
慢性的な咳 |
疲労感 |
症状の程度は胸水の量や溜まる速度によって異なります。
5. 治療の難しさ
甲状腺がんがステージ4に進行し、かつ胸水が認められる場合、標準的な外科手術や放射線治療、内分泌療法の効果が限定的になることが多いです。
特に未分化がんのように進行が早いタイプでは、早期に全身への治療アプローチが求められます。
しかし、胸水が多量に存在している場合、呼吸状態の悪化により全身状態が不安定になることもあり、積極的な治療が難しくなるケースもあります。
6. 胸水に対する対応
胸水に対する対応策には以下のものがあります。
対応策 |
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胸腔穿刺:胸水を抜き、呼吸を楽にする |
胸腔ドレナージ:持続的に胸水を排出するためにチューブを留置 |
胸膜癒着術:胸膜に薬剤を注入し、胸水の再発を防ぐ |
対症療法:呼吸困難に対する酸素投与や痛みに対する鎮痛薬の使用 |
しかし、これらは根治的治療ではなく、症状を和らげることが主な目的となります。
7. 甲状腺がん(ステージ4)胸水患者様における治療選択肢
このような状況では、がんの進行抑制と症状緩和を目的とした治療が中心になります。
治療方法 |
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分子標的治療薬(例:レンバチニブ、ソラフェニブ) |
放射性ヨウ素治療(分化型がんの場合) |
化学療法(未分化がんの場合) |
緩和ケア |
ただし、薬剤の効果が得られにくかったり、副作用のリスクが高かったりする場合もあり、患者様一人ひとりの全身状態に応じた慎重な判断が必要です。
8. 光免疫療法という選択肢
進行した甲状腺がんに対して、光免疫療法という治療アプローチも選択肢となります。
光免疫療法とは、特定の薬剤をがん細胞に集積させ、近赤外線の光を照射することでがん細胞のみを破壊する方法です。
正常な細胞への影響を抑えつつ、標的となるがん細胞を選択的に攻撃する特徴があります。
標準治療が難しいケースや、局所制御が求められる症例に対して、身体への負担が少ない選択肢となる可能性があります。
以下より当院の光免疫療法に関してご確認頂けます。
9. まとめ
甲状腺がんがステージ4まで進行し、胸水が現れている場合、標準治療だけでは対応が難しいことが多くなります。
胸水による呼吸障害が重症化すると、全身状態の悪化にもつながるため、速やかな症状緩和と、病状に応じた治療選択が求められます。
従来の治療に加え、光免疫療法のような選択肢も登場しており、個別の状況に応じて柔軟に治療戦略を考えることが大切です。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
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