肝臓がんステージⅣの詳細と光免疫療法
肝臓がんは、肝細胞または胆管細胞が異常に増殖することで発生する悪性腫瘍で、主に原発性肝がん(肝細胞がん:HCC、胆管細胞がん:CCC)と転移性肝がんに分けられます。
日本では、年間約3.5万人が肝臓がんと診断され、主な原因としては、B型・C型肝炎ウイルス、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などが挙げられます。
初期段階では、自覚症状がないことが多く、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
進行度はステージⅠからⅣに分類され、ステージⅣは最も進行した状態であり、根治が難しく予後が厳しいとされています。
そのため、早期発見と治療が生存率向上の鍵となります。
肝臓がんステージⅣの特徴
肝臓がんステージⅣは、がんが肝臓を超えて遠隔臓器(肺、骨、脳、腹膜)やリンパ節に転移した状態を指します。
さらに、ⅣAとⅣBに細分化され、以下のような違いがあります。
●ⅣA:がんが肝内血管に高度に浸潤、または隣接臓器(胃、腸)に及ぶが遠隔転移なし。
●ⅣB:遠隔転移を伴う。肺転移が最も多く(約40~50%)、次いで骨、脳。
症状は、黄疸、腹水による腹部膨張、体重減少、倦怠感、食欲不振、腹痛、吐き気が顕著に現れ、全身状態の悪化(悪液質)も進行します。
転移先では、肺転移による咳や呼吸困難、骨転移による骨痛などが現れます。
この段階では肝機能が著しく低下し、治療の選択肢が限られるのも特徴となります。
光免疫療法を含めた治療の選択肢
ステージⅣの治療は、根治を目指すのが難しいため、生存期間の延長とQOL向上が主な目的となります。
●化学療法:がんの進行を抑え、全身転移を管理。
●分子標的治療:がんの成長を制御し、血管新生を抑制。
●放射線療法:骨転移や局所症状の緩和に使用される。
●肝動脈塞栓術(TACE): 肝内病巣の縮小を試みるが、遠隔転移には効果なし。
●免疫療法:ニボルマブやペムブロリズマブで免疫を活性化し、長期効果を追求。
●支持療法・緩和ケア:腹水管理、疼痛緩和、栄養サポートでQOLを維持。
手術は基本的に適用外ですが、症状緩和を目的として稀に行われる場合があります。
また、光免疫療法についても肝臓がんステージⅣに対する有効な治療法の一つとなる可能性があります。
光免疫療法とは、光感受性薬剤を投与し、近赤外線でがん細胞を選択的に破壊します。
正常細胞へのダメージが少なく、ステージⅣの局所病巣や転移巣へ適用ができる場合があります。
そして、化学療法や免疫療法と併用することで、相乗効果も期待できます。
肝臓がんのステージとその詳細
肝臓がんの進行度はステージⅠからⅣに分類され、各ステージで特徴と治療法が異なります。
早期発見が難しい疾患ですが、適切な治療で予後改善が可能となります。
ステージ | 特徴 | 主な治療方法 |
---|---|---|
Ⅰ | がんが肝臓内に単発で限局、血管浸潤や転移なし。 | 手術(肝切除)、ラジオ波焼灼術(RFA)、光免疫療法 |
Ⅱ | がんが複数または血管に軽度浸潤、転移なし。 | 手術、肝動脈塞栓術、化学療法、光免疫療法 |
Ⅲ | がんが肝内血管や隣接臓器に広がるが、遠隔転移なし。 | 肝動脈塞栓術、化学療法、放射線療法、光免疫療法 |
Ⅳ | がんが肝臓外に広がり、遠隔臓器やリンパ節に転移。 | 化学療法、分子標的治療、免疫療法、放射線療法、光免疫療法 |
まとめ
肝臓がんステージⅣは、遠隔転移を伴う進行がんであり、5年生存率は約5~10%と予後が非常に厳しいです。
しかし、化学療法、分子標的治療、免疫療法の進歩で生存期間とQOL向上が期待できます。
また、光免疫療法は新たな選択肢として、肝臓がんステージⅣにも適用可能な場合があります。
肝炎リスクのある方や40歳以上の方は、定期的な超音波検査や血液検査(AFP値など)で早期発見を心がけましょう。
肝臓がんに対する光免疫療法に関しては、当院までお気軽に問い合わせください。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
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