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ステージ4・末期がんと診断された方へ
諦めない治療選択のために
「もう打つ手がない」「標準治療は難しい」と言われた時、多くの患者様とご家族が深い絶望と不安を感じられます。しかし、医療は日々進歩しており、状況によっては新たな選択肢が見つかることもあります。当院では、進行がんの患者様に対して、一人ひとりの病状と体力、そして今後の生活で大切にされたいことに向き合いながら、可能性を探る診療を行っています。
ステージ4と診断された時、本当に知るべきこと
「ステージ4=終わり」ではありません
ステージ4という診断は、がんが他の臓器に転移している状態を示しますが、これは「治療の可能性がない」ことを意味するわけではありません。実際に、ステージ4の患者様でも
- 適切な治療により、がんの進行を長期間コントロールできるケースがあります
- 治療法の選択肢が増えたことで、以前よりも良好な経過をたどる可能性が広がっています
- QOL(生活の質)を維持しながら、大切な時間を過ごすための選択肢があります
- 複数の治療を組み合わせることで、より良い結果を目指せる可能性があります
しかし同時に、ステージ4の治療には以下のような現実的な課題もあります。これらを理解した上で、ご自身に合った治療を選ぶことが重要です。
- 標準的な化学療法や放射線治療が、体力的・医学的に適応できないと判断される
- 複数の段階を経た治療を行ってきたが、効果が得られなくなってきている
- 治療による副作用が強く、継続が困難になっている
- 高齢や併存疾患により、強い治療が行えない
- 症状緩和だけでなく、積極的治療の可能性も探りたいが、選択肢が見えない
ステージ4の方が治療を選ぶ際の重要な視点
進行がんの治療選択では、以下の3つの視点をバランスよく考えることが大切です。
これらの視点は、患者様ごとに優先順位が異なります
当院では、「この治療が唯一の答え」という押し付けではなく、あなたの状況と想いに合わせた選択肢を一緒に考えます。時には、複数の治療を段階的に組み合わせることで、より良い結果を目指すこともあります。
当院で対応可能な治療アプローチ
1. 光免疫療法
当院が力を入れている治療法です。特定の波長の光を利用してがん細胞に作用する新しいアプローチで、従来の治療が難しい場合でも選択肢となることがあります。
このような方に検討いただいています
- 標準的な化学療法の効果が不十分、または副作用で継続困難な方
- 体力的に強い化学療法は難しいが、積極的治療を希望される方
- 腫瘍による症状(痛み・出血・圧迫症状など)の改善を目指したい方
- 手術や放射線治療が困難な部位にがんがある方
- 複数の治療を組み合わせて、より良い効果を目指したい方
特徴: 体への負担が比較的少ない、入院不要のケースが多い、他の治療との併用が可能な場合があります
2. 標準治療の見直しと調整
「標準治療は終了」と言われた場合でも、投与方法の工夫や他の治療法の検討により、治療継続の可能性を探ることができる場合があります。個々の状況に応じて、最適なアプローチを一緒に考えていきます。
3. 支持療法・症状マネジメントとの並行
積極的治療と並行して、痛みや不快な症状をコントロールすることで、治療の継続可能性が高まり、生活の質の向上が期待できます。
- 疼痛管理(痛みのコントロール)
- 栄養サポート(食事が取れない、体重が減少している方への対応)
- 腹水・胸水の管理
- 貧血や感染症の予防・治療
4. 複合的アプローチ
一つの治療だけでなく、複数の治療法を戦略的に組み合わせることで、相乗効果を目指すこともあります。例えば
- 光免疫療法で腫瘍に働きかけながら、低用量化学療法で全身のがん細胞の増殖を抑える
- 免疫力を高めるサポート療法と併用することで、治療効果の向上を図る
- 症状緩和を優先しながら、可能な範囲で腫瘍への治療も行う
実際の診療で大切にしていること
ケース1: 70代男性・肺がんステージ4(多発転移)
状況: 化学療法を複数の段階まで実施したが効果不十分。体力低下もあり、次の化学療法は困難と判断された。しかし、ご本人は「できることがあれば続けたい」という強い希望。
全身状態と臓器機能を詳細に評価した上で、光免疫療法による治療を提案。同時に栄養サポートと症状緩和を並行。治療の負担を最小限にしながら、ご本人が大切にしている「孫の成長を見守る時間」を確保することを最優先に。
ケース2: 60代女性・乳がん再発(骨・肝転移)
状況: 術後5年で再発。ホルモン療法、化学療法を経て選択肢が限られてきた。痛みもあり、生活の質の低下を感じている。家族との旅行など、やりたいことがまだある。
まず疼痛管理を最優先で実施し、生活の質を改善。その上で、体への負担が少ない光免疫療法と低用量化学療法の併用を検討。治療スケジュールも「家族との時間」を優先できるよう調整。
ケース3: 80代男性・大腸がんステージ4(肝転移)
状況: 高齢と心疾患の既往があり、標準的な化学療法は適応困難。しかし、腫瘍からの出血が続いており、何らかの対応が必要。
体への負担を考慮し、光免疫療法を実施。出血のコントロールを優先し、ご本人が望む「自宅での穏やかな生活」を実現することを目標に設定。
ケース3: 50代女性・膵臓がんステージ4(肝転移・腹膜播種)
状況: 複数の抗がん剤治療を行ったが、いずれも効果が続かず。主治医からは「これ以上の標準治療は難しい」と告げられた。痛みと腹水があり、日常生活にも支障が出ている。まだ働き盛りで、「何もせずに諦めたくない」という強い想い。
「もう治療法がない」と言われた絶望の中で来院された患者様でした。まず腹水と疼痛管理を徹底的に行い、QOLを改善。その上で、光免疫療法の適応について慎重に検討。従来の治療とは異なるメカニズムでの治療の可能性をご説明し、ご本人・ご家族と十分に話し合った上で治療を開始。「まだできることがある」という希望を持っていただけたことで、精神的にも前向きになられました。現在も症状コントロールを行いながら、治療を継続中です。
これらのケースから分かるように、ステージ4であっても、その方の状況・体力・価値観に応じた治療の形があります。大切なのは「諦めること」でも「無理をすること」でもなく、「今の自分にとって最適なバランスを見つけること」です。
他院で「もう治療法がない」と言われた方へ
なぜ「治療法がない」と言われるのか
主治医が「治療法がない」と告げる背景には、いくつかの理由があります:
- その病院で提供できる治療の選択肢が尽きた → 他の医療機関では別の選択肢がある場合も
- 標準治療のエビデンスがある選択肢が尽きた → 新しい治療法や臨床研究への参加可能性は別
- 強い副作用を伴う治療が体力的に困難 → より負担の少ない治療法なら可能な場合も
- 費用対効果の観点から推奨できない → 自費診療なら選択肢がある場合も
つまり、「その病院での標準的な治療法がない」ことと「全ての治療の可能性がない」ことは、必ずしも同じではありません。
当院では、セカンドオピニオンとして、あるいは新たな治療の場として、多くの患者様を受け入れています。もちろん、医学的に本当に治療が困難なケースもありますが、それでも「できること」を一緒に探していきます。
まずは現状を整理させてください
初回相談では、以下のような情報をお伺いします:
- これまでの治療経過(どんな治療を、いつ、どのくらいの期間行ったか)
- 現在の症状と体力の状態
- 直近の検査データ(可能であれば画像診断や血液検査の結果)
- ご本人とご家族が今後の治療に何を望んでいるか
- 日常生活の状況(ADL)、サポート体制
これらを総合的に評価した上で、可能な選択肢を具体的にお示しします。「できません」で終わらせず、「では何ができるか」を一緒に考えます。
ご家族の方へ
患者様ご本人だけでなく、支えるご家族も大きな不安と葛藤を抱えていらっしゃることと思います。
- 「もっと何かできることはないか」という想い: 医療の選択肢を探すことは大切ですが、同時に、ご本人の意思を尊重することも重要です。当院では、ご家族とご本人の間で意見が異なる場合も、丁寧に対話を重ねます。
- 「本人にどこまで伝えるべきか」という悩み: 病状や予後について、どこまで正直に伝えるかは難しい問題です。ご家族のお気持ちも含めて、一緒に考えさせてください。
- 「介護と治療の両立」の難しさ: 通院の付き添い、体調管理、日常生活のサポートなど、ご家族の負担も考慮した治療計画を一緒に考えます。
ご家族だけでのご相談も可能です。「本人を連れてくる前に、まず話を聞きたい」というご要望にも対応いたします。
まずは現状を一緒に整理することから始めましょう
「本当に自分に合う治療法はないのか」「今後どう過ごしていくべきか」
不安や迷いを一人で抱え込まず、まずはお話を聞かせてください。
医学的な視点だけでなく、あなたの想いや価値観を大切にしながら、
これからの道を一緒に考えていきます。
相談時間: 初回は60分程度を確保し、じっくりお話を伺います
ご準備いただくもの: 診療情報提供書、検査結果、お薬手帳(可能な範囲で)
医療の現場では日々新しい治療法が生まれ、これまで難しいとされていた状況でも、可能性を見出せるケースが増えています。
当院は、どんな状況の患者様に対しても、まず真摯に向き合うことから始めます。「治せます」という安易な約束はできません。けれども、医学的に検討できる選択肢があれば誠実にお伝えし、症状を和らげる方法があれば全力で取り組みます。
そして何より大切にしているのは、患者様ご自身が「これで良かった」と思える選択をしていただくことです。積極的な治療を続けることも、穏やかに過ごすことを優先することも、どちらも尊重されるべき選択です。
他院で「もう治療法がない」と言われた方も、どうぞ諦めずにご相談ください。
今は治療を受けるか迷っている方も、まずはお話を聞かせてください。
一人で悩まず、一緒に考えていきましょう。あなたの想いに寄り添いながら、今できることを探していきます。



【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。



