前立腺がんステージⅣについて
前立腺がんステージⅣは、がんが前立腺を超えて周辺組織やリンパ節、骨などの遠隔部位に転移した進行性の状態を指します。
この段階では、症状が顕著になり、治療はがんの進行抑制や症状の緩和、QOL（生活の質）の向上を目指すことが中心となります。
ステージⅣの前立腺がんの原因やリスク要因には、遺伝的要素、生活習慣、ホルモンバランスが関与しており、これらが複雑に絡み合って発症に至ります。
以下に、前立腺がんステージⅣの特徴と、標準治療以外の治療選択肢として光免疫療法を主軸に詳しく解説します。
ステージⅣ前立腺がんの特徴と原因
ステージⅣの前立腺がんは、TNM分類でT4（周辺臓器への浸潤）またはN1（リンパ節転移）、M1（遠隔転移）に分類されます。
骨転移が多く、腰痛や骨折リスクの増加、疲労感、尿路症状などが現れることがあります。
それらの原因としては、以下の要素が関与しています。
●遺伝的要素：BRCA1やBRCA2などの遺伝子変異が関与し、特に家族歴がある場合、リスクが高まります。遺伝子検査によりリスク評価が可能です。
●生活習慣：高脂肪食、肥満、運動不足、喫煙、過度なアルコール摂取がリスクを増大させます。これらは酸化ストレスを高め、DNA損傷を促進します。
●ホルモンバランス：テストステロンの過剰な活性は、がん細胞の増殖を促進する可能性があります。特にステージⅣでは、ホルモン抵抗性の症例も見られます。
標準治療以外の治療選択肢：光免疫療法
ステージⅣの前立腺がんに対する標準治療には、ホルモン療法（ADT：アンドロゲン除去療法）、化学療法（ドセタキセルやカバジタキセル）、放射線療法、骨転移に対するラジウム223療法などがあります。
しかし、これらの治療は副作用が強く、ホルモン抵抗性前立腺がん（CRPC）では効果が限定的な場合があります。
そこで、標準治療以外の選択肢として注目されるのが光免疫療法です。
光免疫療法とは
光免疫療法は、光感受性物質（薬剤）を点滴で体内に投与した後、レーザー光をがん細胞に照射することで、がん細胞を選択的に破壊する治療法です。
この治療法は、正常細胞へのダメージを抑えつつ、がん細胞を攻撃するという特徴があります。
特にステージⅣの前立腺がんでは、転移巣や局所進行がんに対して適用可能な場合があります。
光免疫療法の仕組み
１．標的薬剤の投与：光感受性を持つ薬剤を点滴投与します。EPR効果によって薬剤をがん細胞に集中的に届けます。
２．光照射：特定の波長のレーザーを体表面に照射します。がん細胞に集積した薬剤が反応し、がん細胞を攻撃します。
３．免疫活性化：破壊されたがん細胞が免疫系を刺激し、全身的な抗腫瘍免疫応答を誘発する可能性。
光免疫療法の利点
●高い選択性：正常組織への影響が少なく、副作用が軽減される。
●適応範囲：局所進行がんや一部の転移巣にも適用可能。
●QOLの向上：従来の化学療法や放射線療法に比べ、身体的負担が少ない。
●免疫効果：免疫系を活性化し、遠隔転移に対する追加効果が期待される。
当院の光免疫療法に関する詳細な情報は、以下ページをご覧ください。
その他の標準治療以外の選択肢
光免疫療法以外にも、ステージⅣ前立腺がんに対して以下のような治療が検討される場合があります。
●免疫チェックポイント阻害剤：PD-1/PD-L1阻害剤（例：ペムブロリズマブ）は、一部の遺伝子変異（MSI-HやTMB高値）を持つ患者様に有効。
●PARP阻害剤：BRCA変異陽性の患者に対し、オラパニブなどの薬剤がDNA修復を阻害し、がん細胞の増殖を抑制。
●標的療法：PSMA標的の放射性リガンド療法（例：Lu-177 PSMA）は、転移性CRPCに効果を示す。
●臨床試験：新たな分子標的薬や遺伝子療法の臨床試験への参加も選択肢の一つ。
まとめ
前立腺がんステージⅣは、転移を伴う進行性の疾患であり、遺伝的要素、生活習慣、ホルモンバランスがその発症に関与します。
標準治療（ホルモン療法、化学療法など）に加え、光免疫療法は選択性の高さと副作用の少なさから、QOLを重視する患者様にとって有望な選択肢といえます。
特に前立腺がんのがん細胞を標的とした光免疫療法は、ステージⅣの前立腺がんに対する新たな治療の可能性を秘めています。
光免疫療法は、標準治療と併用することで相乗効果も期待できる治療法となります。
早期発見と適切な治療選択が重要なため、当院の光免疫療法に関する情報は何でもお気軽にご相談ください。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。
