食道がんとは
What is esophageal cancer?
食道がんはどこにでもできる可能性がありますが、日本人の食道がんは約半数が食道の中央付近に生じ、次いで食道の下部に多くできる傾向にあります。
食道がんは、食道の内面を覆っている粘膜の表面からできます。
更に、食道がんは食道内に同時に複数発生してしまうケースもあります。
食道がんにおいて、食道の壁の粘膜内に留まるがんを早期食道がん、また粘膜下層までしか及んでいない癌を表在食道がん、それより深層まで及んでいる癌を進行食道がんと呼びます。
食道の粘膜から生じた癌は、肥大すると深層へ広がっていき、気管や大動脈等の周囲の臓器にまで直接広がっていき、この現象を浸潤といいます。
食道がんは、早期のステージで発見した場合(食道粘膜の表層までの浸潤)、5年生存率は75%以上とされていますが、遠隔転移を起こしてしまった(最も病状が進行した)場合は、5年生存率は2割程度しかありません。
加えて、食道がんは周囲に浸潤しやすく、大腸がんまたは胃がんと比較して早期に浸潤・転移を起こすと考えられています。
更に、周囲には食道・大動脈・心臓・気管といった重要臓器が存在しており、治療する上で困難です。
このため、食道がんを早い段階に見つける事が非常に重要なのですが、比較的早い段階で診断される割合は食道がん全体のおよそ3割しかないというのが現状です。
つまり、食道がんは、進行性であるケースが多く、なおかつ、進行した場合には治療することが大変難しいがんであると言えます。
食道がんのステージ
食道がんの病期はその広がりに対応して、ステージ0~4に分類され、この病期に従って治療方針を決定します。
- ステージ0:がんが粘膜内にとどまり、リンパ節転移や他臓器への転移を伴わない
- ステージ1:がんが粘膜下層部に停滞し、リンパ節や他臓器への転移を伴わない
- ステージ2:がんが粘膜下層を超えて、固有筋層や食道外膜まで達していた場合や、リンパ節転移を伴う
- ステージ3:がんが粘膜下層を超えて、固有筋層や食道外膜まで達していた場合や、リンパ節転移を伴う
- ステージ4a:遠方のリンパ節に転移を伴う
- ステージ4b:他臓器へ転移を伴う
食道がんの原因
ここでは、食道がんの危険因子について解説していきます。
日本での食道がんの発がん要因は、主に飲酒と喫煙です。特に飲酒及び喫煙は、食道がんの中の扁平上皮がんの主な発生要因と強く関連しており、両方の習慣がある方は、発がんリスクが高まります。
飲酒と喫煙と合わせて、食道がんの危険因子について詳しくみていきましょう。
(1)飲酒
一般的にエタノール(アルコール)は飲酒をした際に、肝臓で酸化されることでアセトアルデヒドが発生します。
アセトアルデヒドは、二日酔いの原因としても紹介されていますね。
実は、このアセトアルデヒドは発がん性を有した物質であり、特にアセトアルデヒドの分解に関わる酵素であるALDH(アルデヒド脱水素酵素)の活性が生来弱い人は、食道がんの発がんリスクが高まるといわれています。
日本人は、世界的にみてもお酒に弱い人種であり、このことは科学的にも証明されています。
日本人がアルコールに弱い原因は、アセトアルデヒドを分解する酵素である ALDH2が欠損していることが挙げられます。
ALDH2はアルデヒドが低濃度のときに働くアセトアルデヒドの分解に関わる酵素で、これらが早期に働きにくいため、アセトアルデヒドが体内に残りやすくなっているため、お酒に弱い体質になるのです。
またALDH2は遺伝によって決まるので、先天的な要素であり、日本人などのモンゴロイド特有のもので、黒人や白人には「ALDH2」不活性型は少ないといわれています。
特に日本人は、約44%がALDH2を持たない又はALDH2の働きが弱く、アセトアルデヒドが貯まりやすい体質でモンゴロイドの中でも非常に高い数値となっています。
また、お酒を飲んでいる内に耐性がついて飲めるようになったという場合もの中にアルデヒドが蓄積しやすく、食道がんの発がんリスクが高くなっているので要注意です。
(2)喫煙
喫煙についてもこのアセトアルデヒドが関係してきます。たばこ1本に含有されているカルボニル類にアセトアルデヒドも含まれているため、食道がんの発がんリスクが高まります。
食道がんの主な症状
食道がんの初期にみられる症状と進行期にみられる症状、更に転移の際等にみられる症状について解説していきます。
(1)初期の症状
食道がんは、他臓器のがんと同じように、発症が早期の段階は無症状のことが多く、患者様自身で自覚できるような特徴的な症状がほとんどありません。
そのため、食道がんの早期発見は、人間ドックによって内視鏡検査や上部消化管造影検査(バリウム食道透視検査)等、検診を受けた際に見つかるケースが多いです。
(2)進行期の症状
食道がんは、進行するといくつかの症状がみられるようになります。
がんが進行して食道の壁を越えて、まわりの食道や背骨、動脈を圧迫すると、疼痛を感じるようになります。
また、がんが進行して気管、気管支、食道まで浸潤すると、その刺激によって咳や血痰が生じ、嗄声が起こることもあります。
食事の際、嚥下時の違和感や酸味や辛味といった刺激の強い飲食物を摂取した際に、胸骨の裏側あたりに、沁みる感じや軽度の痛みを感じることがあります。
上記の症状が一つでもみられる場合は勿論、各症状が長期間続いていると感じる場合には、早期に医療機関を受診するようにしてください。
当院の食道がん治療法について
Our esophageal cancer treatment method
食道がん情報記事監修者
Article supervisor
当該食道がんに関するページは院長 小林賢次監修にて作成しております。
氏名:小林賢次
経歴
- 1991年3月 京都大学法学部卒業
- 2000年3月 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
- 2000年5月 同愛記念病院 臨床検査科
- 2002年5月 NTT東日本関東病院病理診断部
- 2011年6月 新八重洲クリニック 院長
- 2019年1月~ 東京がんクリニック開院
出身大学
- 京都大学法学部卒業
- 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
当院へのご相談の流れ
ご予約
当院は完全予約制となっておりますので、食道がんに関するお悩みでご来院される場合は、お電話またはメールにて予約をお願いします。
メールでのご予約の際は、予約状況を確認した後、担当者よりお返事をさせて頂きます。
ご来院
予約時間の5分前を目安にご来院をお願い致します。
当院の場所が分からない場合には、お電話頂ければスタッフがご案内させて頂きます。
また、診療情報提供書や血液検査データなどをお持ちの方は、持参して頂くようお願いします。
受付
初診時には、問診票を記入して頂きます。
食道がんに関するお悩みや治療状況など、気になる点は何でもご記入ください。
例
・食道が沁みる感じがする
・胸痛・背部痛
・せき
・声のかすれ
インフォームドコンセント
問診票を参考にしながら、医師と医療スタッフが患者様のお悩みや現在の状況をお伺いします。
個室でのカウンセリングとなりますので、安心して何でもご相談ください。
また、当院での食道がんに対する治療法なども分かりやすく説明致しますので、ご不明な点などありましたら、些細なことでもご質問ください。
当クリニックの説明だけでは納得できない場合には、他の病院・クリニックに意見を求める「セカンドオピニオン」もご検討ください。
同意書の記入
治療内容や効果、リスクなどをご理解して頂いた上で、当院で食道がん治療を受けられる場合には、同意書にご記入をして頂きます。
また、治療にかかる費用についても明瞭にご説明させて頂きます。
▶ がん治療における保険診療または自由診療とは?に関してはこちらを御参考ください。
今後の前立腺がん治療計画について
一人ひとりの症状に合わせて、患者様に最も効果の期待できる治療法・日程にて食道がん治療を行っていきます。
生活スタイルに沿ったご来院スケジュールなどをご提案しますので、無理なく治療を継続して頂けます。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。