前立腺がんの余命宣告と諦めない治療

TREATMENT OVERVIEW 治療概要

光感受性物質と光照射による反応を利用した治療

当院の光免疫療法は、光に反応する薬剤を点滴で投与し、病変部に光を照射することで生じる光化学反応を利用し、がん細胞へのアプローチを目指す治療法です。

病変の位置や深さ、これまでの治療内容、全身状態などによって、治療の検討内容は異なります。当院では画像や検査資料を確認し、患者様の現在のご状況に応じて適応を個別に判断しています。

CONSULTATION CASES

このようなご相談を承っています

  • 再発・転移があり、現在の治療とあわせて別の選択肢も検討したい

  • 手術・薬物療法・放射線治療など、標準治療との組み合わせを相談したい

  • 副作用や体力面に不安があり、今後の治療方針を整理したい

  • ご高齢や持病、全身状態を踏まえて治療の可能性を相談したい

  • 緩和ケアを含む説明を受け、ほかの選択肢についても情報を得たい

  • 患者様ご本人に代わり、ご家族や身近な方から相談したい

治療の適応について

光免疫療法は、すべての患者様に適応となる治療ではありません。現在受けている治療や治療スケジュールも確認しながら、患者様のご状況に応じて検討します。

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前立腺がんで「余命」について説明を受けると、示された数字が確定した期限のように感じられるかもしれません。しかし、余命は、同じような状態の患者様の治療成績、検査結果、全身状態などをもとにした推定です。前立腺がんにはゆっくり進行するものがある一方、早い段階から転移するものもあります。病期だけでなく、PSA、グリソンスコアやGrade Group、転移部位、ホルモン療法への反応によっても経過は異なります。本記事では、前立腺がんの予後を左右する要素と、今後の治療を考えるときに確認したいポイントについて解説します。

余命は個人の生存期間を確定する数字ではありません。

前立腺がんでは、ホルモン療法に加えて、男性ホルモンの働きをより強く抑える薬剤、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、放射性医薬品など、病状に応じた治療があります。治療への反応によって見通しが変わるため、最初に示された数字だけで今後の可能性を判断しないことが大切です。

前立腺がんの予後を左右する主な要素

前立腺がんの予後は、ステージだけでは決まりません。病理検査、PSA、画像検査、治療への反応、全身状態などを総合して判断します。

確認する要素 予後や治療方針との関係
病期 がんが前立腺内にとどまっているか、周囲組織、リンパ節、骨、内臓などへ広がっているかを確認します。
PSA 診断、リスク分類、治療効果、再発の確認に用います。ただし、PSAだけで病状や余命を判断することはできません。
グリソンスコア・Grade Group がん細胞の形や配列から悪性度を評価します。数値が高いほど、増殖や転移の可能性が高い傾向があります。
転移部位と病変量 骨、リンパ節、肺、肝臓など、転移した場所や病変数によって治療の組み立てが変わります。
ホルモン療法への反応 男性ホルモンを抑える治療によってPSAや病変がどの程度抑えられるかは、その後の治療方針に関係します。
症状の有無 排尿障害、骨の痛み、神経症状などがある場合は、がんへの治療と症状への治療を並行して行います。
遺伝子変化 BRCA1、BRCA2などの遺伝子変化が確認された場合は、分子標的薬などを検討できることがあります。
全身状態 年齢だけでなく、日常生活の状況、臓器機能、持病、体力などを確認して治療を選択します。

グリソンスコアとGrade Groupとは

前立腺生検や手術で採取した組織を顕微鏡で調べ、がん細胞の悪性度を評価します。前立腺がんでは、特徴的な組織パターンを数値化したグリソンスコアと、それを5段階に整理したGrade Groupが用いられます。

Grade Group グリソンスコアの目安 考え方
1 6以下 比較的おとなしい性質を示すことが多く、条件によっては監視療法を検討します。
2 3+4=7 低悪性度の成分が主体ですが、治療の必要性はPSAや病期なども含めて判断します。
3 4+3=7 より悪性度の高い成分が多く、Grade Group 2とは再発リスクの考え方が異なります。
4 8 悪性度が高いグループで、病期に応じた積極的な治療を検討します。
5 9~10 増殖や転移の可能性が高いグループで、複数の治療を組み合わせることがあります。

同じPSA値やステージであっても、Grade Groupによって再発リスクや治療方針が異なります。余命や見通しについて確認するときは、自分のGrade Groupも主治医へ尋ねてください。

病期とリスク分類による治療の違い

前立腺がんでは、TNM分類による病期に加えて、PSA、グリソンスコアやGrade Group、腫瘍の広がりを組み合わせたリスク分類を使用します。

状態 特徴 主な治療の方向性
限局がん がんが前立腺内にとどまっている状態です。 リスク分類に応じて、監視療法、手術、放射線治療などを検討します。
局所進行がん がんが前立腺の外や精嚢など周囲の組織へ広がっている状態です。 放射線治療とホルモン療法の併用、手術を含む集学的治療などを検討します。
リンパ節転移 骨盤内や離れたリンパ節へ転移している状態です。 ホルモン療法を中心に、薬物療法や放射線治療を組み合わせます。
遠隔転移 骨、肺、肝臓などへ転移している状態です。 全身に作用する薬物療法を中心に、病変や症状に応じて放射線治療などを組み合わせます。

遠隔転移のある前立腺がんでも、ホルモン療法によって病状を長期間抑えられる場合があります。転移の範囲が限られている場合には、前立腺への放射線治療や転移病変への局所治療を検討することもあります。

予後を判断するために行われる検査

PSA検査

PSAは前立腺から作られるタンパク質で、前立腺がんの診断や治療後の経過観察に用いられます。治療によってPSAが低下しているか、その後上昇していないかを確認することで、治療反応や再発の可能性を評価します。

ただし、PSAは前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇します。また、まれな神経内分泌がんなどでは、病変が進行していてもPSAが大きく上昇しない場合があります。PSAだけではなく、画像検査や症状を合わせて判断する必要があります。

前立腺生検

MRIや超音波を参考に前立腺の組織を採取し、がんの有無、グリソンスコア、Grade Groupなどを確認します。治療方針を決めるためには、病理診断が重要です。

画像検査

MRIでは、前立腺内の病変と周囲への広がりを確認します。CT、骨シンチグラフィ、全身MRIなどでは、リンパ節や骨、内臓への転移を調べます。医療機関や病状によっては、PSMAを利用した画像検査が検討されることもあります。

遺伝子検査

進行した前立腺がんでは、BRCA1、BRCA2など、DNA修復に関係する遺伝子の変化を調べることがあります。検査結果によっては、PARP阻害薬などの分子標的薬が治療候補になります。

生まれつきの遺伝子変化が確認された場合は、本人の治療だけでなく、血縁者の健康管理にも関係するため、遺伝カウンセリングを利用できます。

前立腺がんに対する主な標準治療

監視療法

低リスクで、すぐに治療を始めなくても病状へ影響する可能性が低いと判断された場合には、監視療法を選択することがあります。PSA、MRI、診察、必要に応じた再生検で状態を確認し、進行の兆候が見られた段階で治療を開始します。

手術

前立腺内にとどまるがんなどでは、前立腺と精嚢を切除する前立腺全摘除術を検討します。開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術などがあり、病状や医療機関の体制に応じて選択します。

放射線治療

放射線治療には、身体の外から照射する外部照射と、前立腺内に放射線源を配置する組織内照射があります。病期やリスク分類に応じて、ホルモン療法を組み合わせることがあります。

骨転移による痛みや脊椎転移による神経症状を抑える目的でも放射線治療を使用します。

ホルモン療法

前立腺がんの多くは、男性ホルモンの働きを利用して増殖します。ホルモン療法では、男性ホルモンの量を減らす、またはがん細胞での働きを抑えることで病状をコントロールします。

転移のある前立腺がんでは、従来のアンドロゲン除去療法に加えて、男性ホルモンの作用をより強く抑える薬剤や細胞障害性抗がん薬を早い段階から組み合わせることがあります。

去勢抵抗性前立腺がんの治療

男性ホルモンが十分に抑えられているにもかかわらず、PSAの上昇や病変の進行が見られる状態を去勢抵抗性前立腺がんと呼びます。この場合も、ホルモン療法を継続しながら、別のホルモン関連薬、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、放射性医薬品などを検討できます。

治療の順番は、これまで使用した薬剤、遺伝子検査の結果、骨や内臓への転移、症状、全身状態などを踏まえて決定します。

骨転移がある場合の治療

前立腺がんは骨へ転移することがあります。骨転移があっても、すぐに強い痛みが出るとは限りません。画像検査で転移の場所を確認し、ホルモン療法やその他の薬物療法に加えて、症状に応じた治療を組み合わせます。

治療 目的
薬物療法 前立腺がん全体を抑え、骨病変の進行をコントロールします。
放射線治療 骨転移による痛みを和らげ、脊髄圧迫などを防ぐ目的で行います。
骨に関連する薬剤 病的骨折や脊髄圧迫などの骨関連事象を抑える目的で使用することがあります。
整形外科的治療 骨折の危険が高い場合や骨折が起きた場合に、固定術などを検討します。

生存率や余命の数字をどう受け止めるか

用語 意味と注意点
生存率 診断から一定期間が経過したときに生存している人の割合です。集団の統計であり、個人の生存期間を示すものではありません。
相対生存率 がん以外の死亡の影響を調整し、同じ性別や年齢の一般集団と比較した指標です。
生存期間中央値 対象となった患者様の半数が生存していた期間です。その期間を過ぎると治療できなくなるという意味ではありません。
余命の推定 病状、治療への反応、全身状態などから示される見通しです。治療経過に応じて見直されます。

前立腺がんでは、限局がんと遠隔転移のあるがんで統計の意味が大きく異なります。また、転移がある場合でも、診断時からホルモン療法が効きにくい状態と、長期間治療が効いた後に去勢抵抗性となった状態では、治療歴が異なります。数字を見るときは、どのような患者様を対象にした統計なのかを確認してください。

余命を伝えられたときに確認したいこと

  • どの検査結果や身体状態をもとにした見通しなのか
  • PSA、グリソンスコア、Grade Group、病期はどうなっているか
  • 転移している場所と病変の量はどの程度か
  • ホルモン療法が効いている状態か、去勢抵抗性の状態か
  • 現在の治療目的が、治癒、再発予防、病状の抑制、症状の緩和のどれに当たるか
  • 治療効果は、いつ、どのような検査で確認するのか
  • 遺伝子検査によって治療候補が見つかる可能性があるか
  • 現在の治療が効かなくなった場合に、次の選択肢があるか

治療方針に迷う場合は、病理結果、PSAの推移、画像データ、これまでの治療内容を持参し、セカンドオピニオンを利用できます。現在の主治医との関係を保ちながら、治療の順番や局所治療の可能性について別の医師へ確認する方法です。

治療を続けるための体調管理

ホルモン療法を長期間行うと、筋力や骨密度、体重、血糖値などが変化することがあります。無理のない運動、栄養管理、骨密度の確認などについて主治医へ相談してください。

排尿の問題、痛み、睡眠、不安などについても、早めに医療者へ伝えることが大切です。緩和ケアは治療を終える段階だけに行うものではなく、症状を整えながらがん治療を続けるために利用できます。

当院で行う光免疫療法について

当院では、自由診療として、ICGを含むリポソーム製剤と光照射を組み合わせる光免疫療法を行っています。原則として1クール6回の治療を計画し、病変の位置やこれまでの治療内容を確認しながら進めます。

前立腺は骨盤内の深い位置にあり、膀胱、直腸、尿道などに囲まれています。そのため、前立腺の原発巣、前立腺摘除後の局所再発、リンパ節転移、骨転移、内臓転移などについて、CT、MRI、PETなどの画像を確認し、光を届ける経路と照射対象を個別に検討します。

標準治療を受けている患者様については、現在の治療を大切にしながら、手術、放射線治療、ホルモン療法、抗がん剤治療、分子標的薬などとの予定を調整します。標準治療を自己判断で中断せず、主治医から説明された治療計画を当院にもお知らせください。

適応の判断では、病理検査の結果、PSAの推移、病変の位置と深さ、光を照射する経路、現在の治療内容、臓器機能、全身状態などを確認します。患者様が治療で優先したいことも伺いながら、治療計画をご提案します。

当院へ相談する際に準備したい資料

  • 診療情報提供書やこれまでの経過が分かる資料
  • 前立腺生検や手術後の病理検査結果
  • PSAの推移が分かる検査結果
  • 遺伝子検査を受けている場合はその結果
  • CT、MRI、骨シンチグラフィ、PETなどの画像データ
  • 手術、放射線治療、薬物療法などの治療歴
  • 現在使用している薬と持病の情報
  • 治療で優先したいことや確認したいことのメモ

資料がすべてそろっていなくてもご相談いただけます。お手元にある資料から確認を始め、不足している検査や画像撮影が必要な場合には、提携先の医療機関で対応できるかを含めてご案内します。

早めの医療機関受診が必要な症状

  • 急に尿が出なくなり、下腹部の張りや痛みがある
  • 高熱、悪寒、排尿時の強い痛みがある
  • 背中や腰の強い痛みに加えて、脚のしびれや力の入りにくさがある
  • 歩きにくい、尿や便を我慢できないなどの症状が急に現れた
  • 転倒や軽い動作の後に、骨の強い痛みが続く
  • 片脚が急に腫れ、痛みや息苦しさを伴う
  • 抗がん剤治療中に発熱した
  • 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い

これらの症状がある場合は、通常の診察予約を待たず、主治医や治療中の医療機関へ連絡してください。夜間や休日で連絡がつかない場合は、救急医療機関への受診を検討してください。

まとめ

前立腺がんの余命や生存率は、患者様個人の経過を確定する数字ではありません。病期、PSA、グリソンスコアやGrade Group、転移部位、ホルモン療法への反応、遺伝子変化、全身状態などによって見通しは変化します。

遠隔転移や去勢抵抗性の状態でも、複数の薬物療法、放射線治療、骨転移への治療などを検討できる場合があります。余命について説明を受けたときは、推定の前提と今後の治療候補を確認し、必要に応じてセカンドオピニオンを利用してください。当院の光免疫療法についても、現在の標準治療や病変の状態を確認したうえでご相談いただけます。

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