乳がん治療の進化「放射線治療から光免疫療法まで」

乳がんの放射線治療について

乳がんと診断された場合、進行度やサブタイプに基づいて治療計画が立てられます。
今回は、乳がんの治療にも用いられる放射線治療について詳細な説明を行います。
放射線治療の基本的な概念、適応症、治療プロセス、副作用、およびその他の関連情報について以下に記載します。

基本的な概念

放射線治療は、がん細胞に高エネルギーのX線やガンマ線や電子線を照射することで、がん細胞を死滅させたり小さくする治療法です。
原則として、乳房温存術後には、残った乳房に対して放射線治療を行います。
乳房切除術を行った場合は、リンパ節への転移が認められれば放射線治療を行うことがあります。
これらの放射線治療は、乳がんの再発リスクを低減させる目的があります。

適応症

  • 初期段階の乳がんで、乳房温存術後の補完治療として
  • 進行した乳がんに対して、照射して縮小させる術前療法
  • 再発した乳がんによる症状の緩和
  • 他の治療法が効果を示さない場合

治療プロセス

  • 計画: 放射線治療は高度に個別化された治療であり、まずはCTや病理検査の結果から線量を計算して治療計画を立てます。
  • 定位: 患者様は治療台に横たわり、放射線が正確に照射されるように乳房に消えにくいインクで目印の線を付けます。
  • 照射: 高エネルギーの放射線が照射されます。通常は1日1回、週5回で計25回放射線を照射するのが一般的です。放射線を照射する時間は1回に1~3分程度です。

副作用

放射線治療の副作用は、急性期副作用と晩期副作用に大きく分けられます。
急性期副作用は治療中から終了後まもなく現れる副作用であり、晩期副作用は照射が終わった後数カ月~数年して現れる副作用です。

  • 急性期副作用:皮膚の赤みやかゆみ、倦怠感
  • 晩期副作用:乳房の腫れや硬さ、肺炎、食道の炎症、心臓への影響

放射線治療のメリットとデメリット

メリット

  • 非侵襲性: 放射線治療は手術とは異なり、体に切開を加えることなく治療が行えます。
  • 短期間での治療: 通常、数週間の治療で終了することが多いです。
  • 入院不要: 通常、通院して治療を受けることが多いです。
  • 再発リスクの低減: 手術後の補完治療として用いることで、再発リスクを低減することが期待されます。
  • 局所的な治療: 放射線は特定の部位に限定して照射できるため、必要な範囲だけを効果的に治療できます。
  • 他の治療法との併用: 化学療法やホルモン療法と併用することが一般的で、相乗効果が期待されます。

デメリット

  • 急性期副作用: 一時的に皮膚の赤み、かゆみ、疲労感などの副作用が出ることがあります。
  • 長期的な影響(晩期副作用): 稀に、放射線治療が肺や心臓に影響を与える可能性があります。
  • 限定的な適応: 妊娠中や授乳中、または特定の健康状態にある人は、放射線治療が適用できない場合があります。
  • 費用: 高度な技術と設備が必要なため、治療費用が高くなる可能性があります。
  • 時間的制約: 治療は通常、数週間にわたって繰り返されるため、通院が必要です。

乳がんの光免疫療法について

光免疫療法は乳がん治療の選択肢となり得る可能性があります。
この治療法は、特定の光に反応する薬剤と、その薬剤を活性化するための特定波長の光を組み合わせて使用します。
光免疫療法は、標準治療が困難な場合、または再発を防ぐ補完治療として適応される事もあります。

光免疫療法の推奨理由

  • 標的指向: 光免疫療法は、がん細胞に特化した治療であり、健康な細胞への影響が少ないです。
  • 非侵襲性: 体に切開を加えることなく治療が行えます。
  • 副作用の少なさ: 一般的に、光免疫療法は他の治療法に比べて副作用が少ないとされています。

まとめ

乳がんの治療には多様な選択肢があり、進行度(ステージ)や悪性度、サブタイプによって治療法や治療の順序が異なります。
その中で、放射線治療は一般的かつ効果的な方法の一つです。
しかし、副作用や適応条件、費用なども考慮する必要があります。
また、光免疫療法も治療の選択肢となり得る可能性があります。
どの治療法が最も適しているかは、患者様の健康状態やがんの進行度、そして医師との綿密な相談によって決まります。

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