直腸がん(ステージ4)と副腎転移の概要
直腸がんは大腸のうち、肛門に近い部位に発生するがんです。
進行するとリンパ節や肝臓、肺などへの転移が起こることがあり、遠隔転移が認められた場合はステージ4と診断されます。
副腎は腎臓の上にあるホルモン分泌器官で、血流が豊富なことからまれに転移が生じることがあります。
副腎転移が確認された場合でも、全身状態や他の転移部位の有無に応じて治療方針が検討されます。
副腎転移の診断方法と注意点
副腎への転移が疑われる際は、CT、MRI、PET-CTといった画像診断によって病変の確認が行われます。
画像上の大きさや形状、周囲臓器との関係などから転移の可能性が評価されます。
また、血液検査による腫瘍マーカーの測定や、必要に応じて副腎の生検が実施されることもあります。
ただし、副腎は出血しやすい部位であるため、侵襲的検査については慎重に検討される傾向があります。
標準治療を中心とした対応
副腎転移を伴うステージ4の直腸がんでは、がんの進行を抑えるとともに、生活の質(QOL)を保つことが重要とされています。
以下のような治療法が選択肢となり得ます。
治療法 | 説明 |
---|---|
化学療法 | FOLFOXやFOLFIRIなどのレジメンを使用し、全身に対してがんの進行を抑える治療が行われます。 |
分子標的治療 | EGFR阻害薬やVEGF阻害薬など、がん細胞の特定の分子に作用する薬剤を用います。 |
放射線治療 | 副腎を含む局所に症状がある場合、または疼痛の緩和を目的として照射されることがあります。 |
外科的切除 | 副腎転移が単独で、他の遠隔転移が制御されている場合に限り、摘出手術が検討されることもあります。 |
選択肢としての光免疫療法
現在の標準治療に加えて、光免疫療法という治療選択肢があります。
この治療法は、がん細胞に集積する光感受性物質に、近赤外線を照射することでがん細胞を選択的に破壊することを目指すものです。
副作用が比較的少ないとされ、局所への影響も限定的になる可能性があります。
以下より当院の光免疫療法に関する詳細をご確認頂けます。
まとめ
直腸がんステージ4で副腎転移がある場合、化学療法や分子標的治療を中心とした標準治療が基本とされます。
治療によって進行を抑えながら、生活の質を保つことが目指されます。
副腎転移が単独で認められる場合には、外科的切除や放射線治療が選択されることもあります。
また、標準治療が難しい場面では、光免疫療法のような選択肢が加わる可能性もあります。
いずれの場合も、患者様と医療者が連携して治療方針を検討し、ご本人にとって納得のいく道を選ぶことが大切です。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。