甲状腺がん(ステージ4)肝転移の概要
ステージ4に分類される場合、がんが遠隔臓器まで転移しており、治療が難しくなります。
肝臓への転移は比較的稀ですが、血流が豊富な臓器であるため、がん細胞が流れ着きやすく、進行がんではみられることもあります。
肝転移による症状と影響
初期には症状が出にくい一方で、進行すると様々な身体的不調が現れます。
症状 | 説明 |
---|---|
右上腹部の痛み | 肝臓の腫れや圧迫によって痛みが出ることがあります。 |
黄疸 | 胆道が圧迫されることで皮膚や白目が黄色くなることがあります。 |
倦怠感・食欲不振 | 体全体のだるさや、食事が進まない状態が続くことがあります。 |
標準治療が難しい理由
肝転移を伴う甲状腺がんでは、従来の治療法だけでは対応が難しいケースが増えます。
課題 | 内容 |
---|---|
放射性ヨウ素無効 | RAIに反応しない「RAI難治性」のケースでは代替治療が求められます。 |
手術適応外 | 多発転移や肝臓の広範囲な病変により、外科切除が不可能になることがあります。 |
薬剤耐性 | 分子標的薬による治療中に耐性が生じ、効果が薄れる場合もあります。 |
生活の質(QOL)を重視した治療の重要性
ステージ4で肝転移がある場合、完治を目指す治療が難しいこともあります。
そのため、延命だけでなく生活の質を保つことが重要になります。
体調や副作用に配慮した薬剤の選定や、痛み・消化器症状の緩和を目的とした支持療法も組み合わせて検討されます。
また、治療方針の決定にあたっては、患者様とご家族の意向を大切にしながら、柔軟な対応が求められます。
選択肢として「光免疫療法」
この治療は、がん細胞に集まりやすい特殊な薬剤を点滴で投与し、特定の波長のレーザーを当てることでがん細胞のみを破壊します。
正常な細胞への影響が抑えられ、副作用が比較的軽いことが特徴です。
局所的な光照射が必要なため、肝転移の病変位置や大きさによっては適応可能と判断されるケースもあります。
当院では、治療前に適応を慎重に判断し、患者様の状態に応じた提案を行っています。
当院の光免疫療法の詳細は以下よりをご確認ください。
まとめ
甲状腺がん(ステージ4)で肝転移がある患者様にとって、標準治療が難しいケースも少なくありません。
治療効果や副作用を踏まえて、患者様の生活全体を見据えた治療方針が必要です。
RAI抵抗性や手術不能の場合には、分子標的薬の継続だけでなく、緩和ケアや光免疫療法といった選択肢も検討されます。
医療チームとの連携を通じて、納得できる治療を進めることが、心の安定にもつながります。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
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