光免疫療法は、光に反応する薬剤を点滴で投与し、がん細胞に集まった薬剤へ近赤外線を照射することで、がん細胞へのアプローチを目指す治療法です。
薬剤ががん細胞に集まりやすい性質を利用し、照射によって活性酸素を発生させることで、がん細胞を内側から攻撃することを目的としています。
東京がんクリニックでは、以下のようなお悩みをお持ちの方からのご相談も承っております。
- 再発・転移があり、治療の選択肢を探している方
- 標準治療との併用を検討されている方
- 抗がん剤治療の休薬中に相談先を探している方
- ご高齢などの理由で治療方針にお悩みの方
- 緩和ケアを勧められ、他の可能性も検討したい方
- ステージに関わらず、今後の治療について相談したい方
がん治療の選択肢の一つとして、光免疫療法についてもご相談ください。
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目次
胃がんに対する光免疫療法は標準治療として承認されていない

現在の保険適用は一部の頭頸部がんに限られる
光免疫療法は、光に反応する薬をがん細胞へ届け、レーザ光を当ててがん細胞を傷害する局所治療です。日本では「頭頸部アルミノックス治療」として、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに用いる薬と機器が承認されています。一方、2026年7月時点で胃がんは承認された適応に含まれず、保険診療として受けられる標準治療ではありません。「国内で承認された治療だから胃がんにも使える」と考えず、対象となるがんの種類と適応条件を確認する必要があります。
胃がんでは内視鏡治療・手術・薬物療法が中心となる
胃がんの標準治療は、がんの深さ、リンパ節や遠隔臓器への広がり、切除できるかどうかによって選びます。早期で条件を満たす場合は内視鏡治療、切除可能な進行がんでは手術、切除不能・再発胃がんでは薬物療法が中心です。出血や痛みには放射線治療などを組み合わせる場合があります。光免疫療法への関心があっても、効果と安全性が確立した治療を遅らせないことが重要です。治療全体の位置づけは胃がんの治療法で確認できます。
免疫チェックポイント阻害薬とは異なる治療である
「光免疫療法」という名称から、ニボルマブやペムブロリズマブなどの免疫チェックポイント阻害薬と同じ治療だと思われることがありますが、仕組みも実施方法も異なります。胃がんでは、免疫チェックポイント阻害薬を細胞障害性抗がん薬などと組み合わせる治療が、病状やバイオマーカーに応じて標準治療として用いられます。光免疫療法は薬を投与するだけではなく、標的へ光を届ける工程が必要な局所治療です。薬物療法の選び方は胃がんの抗がん剤治療も参考にしてください。
光線力学的療法とも薬剤や仕組みが異なる
光を使う治療には、光免疫療法のほかに光線力学的療法(PDT)があります。いずれも薬剤と光を組み合わせますが、用いる薬剤、光の波長、標的へ薬を集める仕組みが同一ではありません。胃がんを含む研究でPDTと免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせる試験があっても、それを光免疫療法の承認や有効性の根拠と読み替えることはできません。医療機関の説明を確認するときは、治療の正式名称、使用薬、機器、研究番号を控えましょう。
光免疫療法の仕組みと胃がんで研究される理由

抗体と光に反応する色素を組み合わせる
頭頸部がんで承認されている治療では、がん細胞表面のEGFRに結合する抗体と、レーザ光に反応する色素を組み合わせた薬を点滴します。その後、病変へ特定の波長の光を当て、薬が結合した細胞を傷害します。光が届く範囲に作用する局所治療であり、薬が全身へ回ることだけで離れた転移を一度に治療する方法ではありません。また、標的分子があることだけで効果が保証されるわけではなく、光を安全かつ十分に届けられるかも重要です。
胃の病変には内視鏡で光を届ける方法が研究される
胃は体の深い場所にあるため、体外から光を当てるだけでは病変へ十分な光を届けられません。研究では、内視鏡を使って胃の内側から病変へ光を照射する方法などが検討されます。ただし、腫瘍が胃壁の深くまで広がる場合、広い腹膜播種や複数の遠隔転移がある場合には、照射できる範囲だけを治療しても病気全体を制御できない可能性があります。局所病変と全身の病状を分けて考える必要があります。
胃がんを対象とした初期段階の試験が行われてきた
切除不能な進行・再発胃がんまたは食道がんを対象に、ASP-1929を用いる光免疫療法とニボルマブの併用について、安全性と有効性を調べる第Ib相医師主導治験が国内で行われ、参加募集は終了しています。初期段階の試験は、主に安全な投与方法や副作用、治療の反応を探索するもので、標準治療より優れていることを証明する最終段階の試験とは異なります。試験が実施されたという事実だけで、一般診療で有効性が確立したとは判断できません。
研究結果は対象人数と評価項目まで確認する
研究結果を見るときは、何人が参加したか、胃がん患者が何人含まれたか、比較する対照群があったか、腫瘍縮小だけでなく生存期間や生活の質が評価されたかを確認します。学会発表、症例報告、培養細胞や動物を用いた研究は、治療開発に必要な情報ですが、患者への効果を確定するものではありません。「奏効した患者がいた」という情報と、「標準治療より利益が大きいことが比較試験で確認された」という情報を区別しましょう。
胃がんの光免疫療法を検討するときの注意点

臨床試験か自由診療かを最初に確認する
胃がんへの光免疫療法を案内された場合は、国へ届け出た治験・臨床研究なのか、保険外の自由診療なのかを確認してください。治験や臨床研究では、対象条件、研究計画、説明と同意、安全性の報告、費用負担などが定められています。自由診療は「先進的」という意味ではなく、有効性や安全性が確立していない治療を含む場合があります。研究であればjRCTなどの登録番号、研究代表施設、募集状況、主な参加条件を確認しましょう。
期待できる利益だけでなく不利益も聞く
光免疫療法では、薬剤投与に伴う反応、照射部位の痛みや腫れ、出血、組織障害、光への過敏反応などが問題になる可能性があります。ただし、胃がんでの副作用の頻度や重症度は十分に確立していません。胃壁が傷害された場合に、潰瘍、出血、穿孔などが起こる可能性をどう監視するのか、緊急時にどの施設が対応するのかを確認してください。頭頸部がんで得られた安全性情報を、そのまま胃がんへ当てはめることはできません。
標準治療を中断する影響を確認する
研究へ参加するために薬物療法を休む必要がある場合、がんが進行するリスクや、再開できる条件を確認します。切除可能な胃がんで手術の時期を遅らせることや、切除不能・再発胃がんで有効な薬物療法を見送ることには不利益が生じる可能性があります。現在のステージ、治療目的、HER2、PD-L1、CLDN18.2、MSIまたはMMRなどの結果から、利用できる標準治療を整理したうえで比較してください。進行した胃がんの考え方は胃がんステージ4の治療選択肢でも解説しています。
費用・通院・治療後の支援まで確認する
保険外診療では、治療費だけでなく検査、入院、薬、合併症への対応にかかる費用を確認します。治験では研究に関係する費用の一部を依頼者が負担する場合がありますが、通常診療分や交通費などは本人負担になることがあります。遠方の施設へ通う場合は、治療前後の滞在、家族の付き添い、急な体調変化への連絡方法も重要です。高額な費用を払うことと、効果の確実性は比例しません。
納得して治療を選ぶために主治医へ確認したいこと

今の治療目的と標準治療の選択肢を整理する
最初に、治癒を目指す治療なのか、進行を抑えて生活を保つ治療なのか、症状を和らげる治療なのかを確認します。そのうえで、現在推奨される標準治療、期待できる利益、主な副作用、治療しない場合の見通しを聞きます。出血や痛みなど局所症状が問題の場合は、内視鏡処置、手術、薬物療法、放射線治療と比べて何が適するかも重要です。症状緩和の選択肢は胃がんの放射線治療で確認できます。
研究の目的と参加条件を具体的に聞く
臨床試験を提案されたら、試験の段階、主な目的、予定参加人数、割り付け方法、使用する薬と機器、検査回数、参加期間、中止基準を確認します。参加条件には、がんの場所や組織型、標的分子、過去の治療、臓器機能、全身状態などが含まれます。条件に合わないことは治療を拒まれたという意味ではなく、安全性と研究結果の信頼性を守るために必要な判断です。
セカンドオピニオンで情報を整理する
新しい治療を急いで決めるよう求められたと感じる場合や、説明内容を比較しにくい場合は、胃がんを専門とする医師へセカンドオピニオンを求める方法があります。病理報告書、内視鏡・CT画像、治療歴、バイオマーカー結果、紹介された治療の説明資料を準備すると相談しやすくなります。セカンドオピニオンは主治医との関係を損なうためのものではなく、選択肢と根拠を整理する機会です。
胃がんでの光免疫療法は研究段階と理解して判断する
胃がんへの光免疫療法は研究が行われているものの、2026年7月時点で標準治療として承認された治療ではありません。光を使う治療、免疫チェックポイント阻害薬、頭頸部がんで承認された光免疫療法を混同せず、正式名称と適応を確認することが大切です。臨床試験への参加を検討する場合も、研究段階、予想される利益とリスク、標準治療への影響、費用、緊急時の対応を確認し、ご自身と家族が納得できる形で判断しましょう。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。



