間質性肺炎でみられる症状には、痰の少ない乾いた咳と、坂道や階段などでの息切れがあります。ただし、初期には自覚症状がほとんどなく、健診の画像検査などで指摘される場合もあります。咳の音や息切れの程度だけでは、間質性肺炎かどうかは分かりません。
気にしていただきたいのは、症状の長さに加えて「以前と比べて何が変わったか」です。急な息切れや強い呼吸困難がある場合は、この記事を読みながら様子を見ず、119番で救急車を呼んでください。
初期に気づくきっかけは、長引く空咳です

空咳とは、痰がほとんど出ない乾いた咳のことです。間質性肺炎の患者様にみられる症状の一つですが、空咳がある方すべてに間質性肺炎があるわけではありません。風邪のあとに残る咳や喘息など、ほかの原因でも咳が続くことがあります。
日本呼吸器学会の一般向け解説では、咳や痰が3週間以上続く場合に、病気が隠れていないか考える必要があるとされています。長引く咳は、内科や呼吸器内科で相談してください。この期間は、息苦しさが出ても3週間待ってよいという意味ではありません。症状が強い場合や悪化している場合は、期間にかかわらず早めの受診が必要です。
また、発熱がないことや、咳が軽いことだけでは間質性肺炎を否定できません。健診で肺の異常を指摘された場合は、体調がよくても結果に記載された再検査・精密検査の指示に従いましょう。
息切れは、いつもの階段や坂道での変化を伝えます

間質性肺炎では、肺胞の壁や周囲の組織に炎症や線維化が起こり、酸素を血液へ取り込みにくくなったり、肺が硬くなったりします。安静にしているときには気にならなくても、体を動かして酸素が必要になる場面で、息苦しさに気づくことがあります。
「最近は階段の途中で休むようになった」「いつもの坂道を以前の速さで歩けない」など、同じ動作での違いを伝えると、医師が経過を把握しやすくなります。普段の生活で気づいた範囲で十分です。症状を確かめるために、無理に階段を上ったり、息を止めたりする必要はありません。
息切れは、間質性肺炎以外の病気でも起こります。「年齢のせい」「運動不足」と決めつけず、以前はできた動作が負担になったときは相談してください。一方、息切れがあるという理由だけで間質性肺炎と考えることもできません。
急な悪化や薬の使用中に出た症状は、待たずに相談してください

突然息苦しくなった、安静にしていても強く苦しい、息苦しくて会話が難しい、意識がはっきりしないときは、119番で救急車を呼んでください。診断がついていない方も、すでに間質性肺炎と診断されている方も同じです。予約日まで待ったり、自分で車を運転して受診しようとしたりしないでください。
急激な悪化でなくても、数日など短い期間で息切れが増えている、普段より少ない動作で苦しくなる場合は、次の定期受診を待たず、かかりつけの医療機関へ連絡してください。間質性肺炎の急性増悪や感染症など、原因の確認と早い対応が必要になる場合があります。ご自宅で原因を見分けることはできません。
薬の使用中に新しく空咳・息切れ・発熱が出たり、症状が続いたりする場合も、処方元の医師や薬剤師へ速やかに連絡してください。処方薬に限らず、市販薬、漢方薬、健康食品でも薬剤性の肺障害が起こることがあります。薬が原因かは自己判断せず、使用したものと時期を伝え、その後の使用について指示を受けてください。
受診前には、症状の始まりと生活の変化を整理します

診察では、咳が始まった時期や息切れの変化に加えて、使用中の薬、これまでの病気、仕事や住まいの環境などを尋ねられることがあります。すべてを正確に思い出そうとするより、分かることを短くメモしておくと伝えやすくなります。
- いつから咳や息切れがあり、続いているのか、強くなっているのか。
- どの動作で苦しくなり、以前と比べて休憩が増えたか。
- 発熱や痰など、ほかに気づいた症状があるか。
- 薬を始めた・変えた時期と、症状が始まった時期。
- 粉じんを扱う仕事、カビや鳥に関連する環境など、生活上の心当たり。
お薬手帳、健診結果、すでに受けた検査の結果をお持ちの場合は、受診時に持参してください。資料集めのために受診を遅らせる必要はありません。緊急時は、症状への対応を優先します。
症状だけで決めず、診察と検査を組み合わせて確かめます

間質性肺炎が疑われる場合、医師は問診や診察に加え、胸部の画像、血液検査、呼吸機能検査などの情報を合わせて判断します。胸部CTは肺の変化を詳しく見る検査ですが、画像だけで原因や病型がすべて決まるとは限りません。必要な検査は、症状や診察結果によって異なります。
すでに診断を受けている方は、今回の症状が以前からのものか、新しく出たものかをお伝えください。特発性肺線維症(IPF)は間質性肺炎の一つであり、インターネットで見つけたIPFの経過を、間質性肺炎の患者様全員に当てはめることはできません。
当院への相談をお考えの場合も、まずは現在の診断や治療について主治医の説明を確認してください。当院の相談内容や治療の詳しい説明は、間質性肺炎の治療・相談案内にまとめています。新しい息苦しさや急な悪化は、相談予約とは別に、速やかな受診が必要です。
参考文献
- 神奈川県立循環器呼吸器病センター「間質性肺炎」
- 難病情報センター「特発性間質性肺炎」一般利用者向け解説
- 難病情報センター「特発性間質性肺炎」診断・治療指針
- 日本呼吸器学会「Q2 せきとたんが3週間以上続きます」
- 厚生労働省・PMDA「重篤副作用疾患別対応マニュアル 間質性肺炎」患者向け
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。



