進行した大腸がん（ステージⅣ・末期）の症状と治療法「完治と余命延長を目指す」
大腸がんは、日本を含む多くの国でがん死因の上位に位置し、ステージⅣや末期（以下、ステージⅣと総称）に進行すると治療が難しくなります。
早期発見が難しい疾患ですが、進行した症状を理解し、適切な治療を選択することで、完治や余命延長、QOL向上が期待できます。
当ページでは、ステージⅣ大腸がんの症状、治療法、そして光免疫療法の有効性についても詳しく解説します。
進行した大腸がん（ステージⅣ・末期）の症状
ステージⅣの大腸がんは、がんが大腸を超えて肝臓、肺、骨などの遠隔臓器やリンパ節に転移した状態です。
早期発見・治療が非常に重要であり、そのためには症状の理解が不可欠です。
以下に、代表的な症状とその詳細を表形式でまとめます。
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 腹痛や腹部の膨満感 | がんが腸を圧迫・閉塞することで、持続的な腹痛や膨満感が生じます。転移による腹水が原因の場合もあります。 |
| 便の変化 | 腸の狭窄により便が細くなったり、下痢と便秘が交互に起こることがあります。腸閉塞が進行すると排便が困難になる場合もあります。 |
| 便や下血の中に血が混ざる | がんによる腸壁の潰瘍や出血で、便に鮮血や黒色便（メレナ）がみられることがあります。貧血を伴う場合も多いです。 |
| 体重減少や食欲不振 | がんによる栄養吸収障害や全身の代謝亢進により、体重が急激に減少し、食欲不振が顕著になります。 |
| 疲労や息切れ | 貧血や転移による肺機能低下が原因で、強い疲労感や息切れが現れます。全身状態の悪化を反映します。 |
| 黄疸 | 肝転移や胆道圧迫により、皮膚や目の白目が黄色くなる黄疸が現れることがあります。肝機能低下の兆候です。 |
ステージⅣ・末期大腸がんの治療法
ステージⅣ大腸がんの治療は、完治を目指す場合と余命延長・QOL向上を目指す場合に分けられますが、患者様の全身状態、転移の範囲、遺伝子変異の有無に基づき、以下の多様な治療法が選択・組み合わせられます。
| 治療法 | 詳細 |
|---|---|
| 手術 | 転移が限定的（例：肝臓や肺の単発・少数転移）の場合、原発巣と転移巣の切除が検討されます。肝転移では部分肝切除、肺転移では肺葉切除が行われることがあり、5年生存率を20～40%に向上させる可能性があります。腸閉塞や出血の緩和を目的とした姑息的手術（バイパス手術やステント留置）も選択肢です。 |
| 化学療法 | 全身治療の中心で、FOLFOXやFOLFIRIが標準レジメンとなります。分子標的薬を併用することで、腫瘍縮小や進行抑制効果が高まります。RAS/BRAF遺伝子変異の有無に応じて薬剤が選択され、生存期間の中央値は2～3年に延長可能となることがあります。副作用管理（末梢神経障害、下痢など）が重要です。 |
| 放射線療法 | 骨転移による疼痛緩和や脳転移の局所制御に使用されます。定位放射線療法（SBRT）は、肝転移や肺転移の少数病変に高い精度で照射し、局所制御率を向上させます。原発巣による出血や閉塞の緩和にも役立つ場合があります。 |
| 光免疫療法 | がん細胞に集積する薬剤に近赤外線を照射し、選択的にがん細胞を破壊する治療法です。大腸がんステージⅣでは、局所再発巣やリンパ節転移、限定的な肝転移に適用可能で、化学療法や分子標的薬との併用で相乗効果が期待されます。副作用が少なく、治療時間が短いため、QOL維持に寄与します。 |
| 免疫療法 | MSI-H（マイクロサテライト不安定性高値）やdMMR（ミスマッチ修復欠損）を示す大腸がん（約5%）では、PD-1阻害剤が有効であり、長期的な腫瘍制御が期待されます。遺伝子検査に基づく適応判定が必須となります。 |
| 局所療法 | 肝転移や肺転移に対し、ラジオ波焼灼療法（RFA）、マイクロ波凝固療法（MWA）、動脈化学塞栓療法（TACE）が選択される場合があります。これらは手術が困難な患者様に適用され、局所制御や症状緩和に有効です。肝動脈注入化学療法（HAIC）は、肝転移の集学的治療として研究されています。 |
| 遺伝子標的療法 | BRAF V600E変異（約5～10%）を持つ患者様には、BRAF阻害剤とEGFR阻害剤の併用が有効です。HER2陽性やNTRK融合遺伝子を持つ稀な症例では、それぞれトラスツズマブやラロトレクチニブが適応となります。 |
| 臨床試験 | 新薬や治療法の開発が進んでおり、CAR-T細胞療法や新たな分子標的薬の臨床試験が進行中です。標準治療に抵抗性を示す患者様には、臨床試験への参加が新たな希望となる場合があります。 |
| 緩和ケア | 痛み、腸閉塞、栄養障害、心理的負担の管理を通じてQOLを維持します。栄養サポート（経腸栄養や静脈栄養）、ステント留置、疼痛管理（オピオイドや神経ブロック）が含まれ、早期から他の治療と並行して行われます。 |
光免疫療法の有効性
光免疫療法は、ステージⅣ大腸がんにおいて有望な治療選択肢として注目されています。
がん細胞に特異的に結合する薬剤を投与し、特定波長の光を照射することで、がん細胞をピンポイントで破壊します。
光照射により、腸内の原発巣、リンパ節転移、限定的な肝転移などに適用可能です。
また、化学療法や分子標的薬との併用で生存期間の延長が期待されます。
副作用が少なく、正常組織へのダメージを抑えられるため、QOLを維持しながら治療を継続できる点が大きな利点です。
しかし、転移の範囲や部位によっては適応が限られるため、専門医の評価が必要となります。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
総括
進行した大腸がん（ステージⅣ・末期）は、腹痛、便の変化、体重減少、黄疸などの症状が特徴で、早期発見が難しい疾患です。
しかし、手術、化学療法、免疫療法、光免疫療法、局所療法などの多様な治療により、完治が難しい場合でも余命延長やQOL向上が期待できます。
光免疫療法は、副作用が少なく、局所制御や再発予防に有効な選択肢として注目されています。
症状の早期認識と、専門医との連携による個別化された治療計画が、患者様の健康と生活の質の向上に不可欠です。
当院の光免疫療法は化学療法などと併用可能なため、大腸がん治療を受けられている方でも一度ご相談ください。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。
