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甲状腺がんステージⅣと標準治療以外の治療選択肢について

甲状腺がんステージⅣについて

日本では、甲状腺がんは比較的稀ながんといえますが、進行性の場合は治療が難しく、深刻な疾患の一つです。
2021年の国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(※1)によると、年間約1万8千人が新たに甲状腺がんと診断されています
甲状腺がんには、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんなどがあり、特に未分化がんは転移リスクが高く、予後が不良なことで知られています。

甲状腺がんステージⅣは、がんが甲状腺を超えて頸部リンパ節、肺、骨、肝臓、脳などの遠隔部位に転移した進行性の状態を指します。
この段階では、症状が顕著になり、治療はがんの進行抑制、症状の緩和、QOL(生活の質)の向上を目指すことが中心となります。
甲状腺がんの原因やリスク要因には、放射線曝露、遺伝的要素、ヨウ素欠乏などが関与しており、これらが複雑に絡み合って発症に至ります。
以下に、甲状腺がんステージⅣの特徴と、標準治療以外の治療選択肢として光免疫療法を主軸に詳しく解説します。
(※1: 国立がん研究センター「甲状腺がん統計」

ステージⅣ甲状腺がんの特徴と原因

ステージⅣの甲状腺がんは、TNM分類でT4(甲状腺外への浸潤)またはN1b(頸部リンパ節転移)、M1(遠隔転移)に分類されます。
肺転移、骨転移、脳転移が多く、頸部のしこり、声のかすれ(反回神経麻痺)、呼吸困難、嚥下困難、骨痛、体重減少、倦怠感などの症状が現れることがあります。
原因としては、以下の要素が挙げられます。

●生活習慣と環境要因:放射線曝露、特に小児期の頭頸部への放射線治療や放射性降下物への曝露は、乳頭がんや濾胞がんの主要なリスク要因です。チェルノブイリ事故後の地域で発症率の上昇が報告されています。ヨウ素欠乏や過剰摂取も一部の甲状腺がんに関連します。
●遺伝的要素:RET、BRAF、RASなどの遺伝子変異が乳頭がんや髄様がんに関与します。家族性髄様甲状腺がんや多発性内分泌腫瘍症候群(MEN2A、MEN2B)は発症リスクを高めます。TP53やPIK3CA変異は未分化がんで見られることがあります。
●その他:甲状腺炎(例:橋本病)や甲状腺結節の既往歴、女性ホルモン(エストロゲン)の影響もリスク要因として挙げられます。女性に発症率が高い傾向があります。

甲状腺がんの標準治療について

ステージⅣの甲状腺がんに対する標準治療は、がんの進行を抑え、症状を緩和し、QOLを維持することを目的としています。
主な標準治療は以下の通りです。

●全身化学療法
・ドキソルビシン:未分化がんや進行性甲状腺がんに使用されるが、効果は限定的。心毒性や骨髄抑制が主な副作用。
・シスプラチン+ドキソルビシン:進行性疾患や化学療法抵抗性の場合に併用される。
・パクリタキセル:一部の進行性甲状腺がんに使用される。

●分子標的薬
・ソラフェニブ:VEGF受容体を標的とし、進行性分化甲状腺がんに有効。手足症候群や高血圧が副作用。
・レンバチニブ:多キナーゼ阻害剤で、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化甲状腺がんに使用される。
・カボザンチニブ:髄様甲状腺がんや進行性疾患に有効。

●免疫チェックポイント阻害剤
・ペムブロリズマブ:PD-L1発現陽性の甲状腺がんや未分化がんに使用される。免疫関連副作用(皮膚炎、肺炎、甲状腺炎など)に注意が必要。
・ニボルマブ:化学療法抵抗性の進行性甲状腺がんに検討される。

●放射性ヨウ素療法(RAI):分化甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん)でヨウ素取り込み能が残存する場合に使用。遠隔転移の制御に有効だが、未分化がんには効果が乏しい。
●放射線療法:骨転移や脳転移による疼痛や神経症状の緩和に使用。定位放射線療法(SBRT)は限局的転移巣に適用される。
●外科療法:ステージⅣでは甲状腺全摘術やリンパ節郭清が症状緩和や局所制御を目的に行われる場合がある。転移巣の切除も稀に検討される。
●緩和ケア:呼吸困難、疼痛、嚥下困難への対応が重要。気管ステントや疼痛管理によりQOL向上が期待される。

標準治療以外の治療選択肢:光免疫療法

標準治療は副作用が強く、進行性の甲状腺がんでは効果が限定的な場合があります。
そこで、標準治療以外の選択肢として注目されるのが光免疫療法です。

光免疫療法とは

光免疫療法は、がん細胞に特異的に結合する抗体に光感受性物質を結合させた薬剤を投与し、特定の波長の光を照射することでがん細胞を選択的に破壊する革新的な治療法です。
この治療法には、正常細胞へのダメージを最小限に抑えつつ、がん細胞を効果的に攻撃するという特徴があります。
特にステージⅣの甲状腺がんでは、頸部の腫瘍や浅い転移巣、局所進行がんに対して適用可能な場合があります。

光免疫療法の仕組み
1.標的薬剤の投与:甲状腺がん細胞表面の特定の抗原(例:EGFR、TSHR)に結合する抗体-光感受性物質複合体を静脈内投与。
2.光照射:近赤外光を頸部表面や内視鏡を用いて照射し、薬剤が結合したがん細胞を活性化。光により活性酸素が発生し、がん細胞を破壊。
3.免疫活性化:破壊されたがん細胞が免疫系を刺激し、全身的な抗腫瘍免疫応答を誘発する可能性。

光免疫療法の利点
●高い選択性:正常な甲状腺組織や周辺組織への影響が少なく、副作用が軽減される。
●適応範囲:頸部の腫瘍や局所進行がんに特に有効で、表在性の転移巣にも適用可能。
●QOLの向上:従来の化学療法や放射線療法に比べ、身体的負担が少ない。
●免疫効果:免疫系を活性化し、遠隔転移に対する追加効果が期待される。

当院の光免疫療法に関する詳細な情報は、以下よりご確認いただけます。

その他の標準治療以外の選択肢

光免疫療法以外にも、ステージⅣ甲状腺がんに対して以下の治療が検討される場合があります。
これらは甲状腺がん特有の分子特性や進行状況に基づいて選択されます。

免疫チェックポイント阻害剤:ペムブロリズマブやニボルマブ単剤療法は、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)や高腫瘍変異負荷(TMB-H)の患者様に有効。未分化がんではTMB-Hが比較的多く、効果が期待される。
遺伝子療法:RETやBRAF変異を標的としたCAR-T細胞療法や、オンコリティックウイルス療法が臨床試験中。
サイトカイン療法:インターフェロン-αやインターロイキン-2(IL-2)は、免疫応答を高め、一部の進行性甲状腺がんで検討される。
臨床試験:新たな分子標的薬(例:PI3K阻害剤)、がんワクチン、バイスペシフィック抗体などが臨床試験で有望視されている。ステージⅣの患者様にとって、臨床試験は最新治療へのアクセスを提供する重要な選択肢となる。

まとめ

甲状腺がんステージⅣは、転移を伴う進行性の疾患であり、放射線曝露、遺伝的要素、ヨウ素欠乏がその発症に関与します。
標準治療(化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤、放射性ヨウ素療法、放射線療法、緩和ケア)に加え、光免疫療法は選択性の高さと副作用の少なさから、QOLを重視する患者様にとって有望な選択肢といえます。
特に甲状腺がん特異的抗原を標的とした光免疫療法は、ステージⅣの甲状腺がんに対する新たな治療の可能性を秘めています。
そして、光免疫療法は標準治療と併用することで相乗効果も期待できる治療法でもあります。
甲状腺がんは早期発見と適切な治療選択が重要なため、当院の光免疫療法を適用可能かどうかはお気軽にご相談ください。

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