ステージⅡ卵巣がんの総合的な理解「診断、治療、予後」

卵巣がんのステージⅡとは

卵巣がんは、進行度によってⅠ期~Ⅳ期に大きく分類されます。
その中でも、ステージⅡ期とは、「骨盤内(小骨盤腔)に進展する、あるいは原発性腹膜がん」という状態です。
また、ステージⅡ期は、以下のようにⅡA期とⅡB期に細分化されます。

●ⅡA期:進展ならびに・あるいは転移が子宮ならびに・あるいは卵管ならびに・あるいは卵巣に及ぶもの。
●ⅡB期:他の骨盤部腹腔内臓器に進展するもの。

この記事では、ステージⅡ期の卵巣がんにおける症状や治療、予後などを解説します。

卵巣がんステージⅡの症状

卵巣がんは、初期の段階ではほとんど自覚症状が現れないという特徴があります。
そのため、約半数がステージⅢ期やⅣ期という進行がんで発見されます。
ステージⅡの卵巣がんでは、自覚症状を感じない人が多いですが、以下のような症状が出ることがあります。

症状 詳細
下腹部の違和感や痛み 腫瘍が大きくなったり腹膜に腹水が溜まると、周りの臓器や神経を圧迫し、下腹部の違和感や痛みを感じることがあります。
進行して腫瘍が大きくなるほど、腹部の変化に気付きやすくなります。
頻尿・便秘 卵巣腫瘍によって腸や膀胱が圧迫され、少量で頻繁な排尿が見られたり便秘がみられることがあります。
生理痛・月経異常 生理痛が酷い場合や月経異常が現れた場合、卵巣がんのステージⅠB期以降まで進行している可能性があります。
体重増減 腫瘍が大きくなったり腹水の貯留により体重が増加したり、全身性炎症反応によって体重が減少したり、短期間で体重の変化がみられることがあります。
消化器の不調 腹水が貯留する段階まで進行すると、周りの臓器を圧迫し食欲不振、吐き気などが生じることがあります。

診断

卵巣がんは有効な検査方法が定められていないため、様々な検査によって総合的に判定されます。
最終的には、手術による病理検査によって進行度などが決定されます。
診断方法は、基本的にステージによる手順の大きな変化はありません。

診断手法 詳細
内診・触診 目的: 医師が患者の身体を触診し、腫瘍の有無、卵巣の腫れ・炎症などを調べる検査です。
手順: 腟と腹部を挟むような形で触り、卵巣の範囲を確認します。下腹部の左右どちらか一方にでもしこりが認められる場合、卵巣がんが疑われます。
超音波検査 目的: 卵巣がんの有無・大きさ、状態などを調べるために行います。
手順: 腹部、または腟の中から超音波を当て、反射波を画像化します。この検査によって、腫瘍の大きさや位置、形状が観察されます。
CT・MRI検査 目的: CTでは、遠隔の臓器への転移の把握、MRI検査では、がんの大きさ・形、良性・悪性の推定を行います。
手順: CTではX線を用いて断層画像を生成し、MRIでは磁場と無線信号を利用して高解像度の画像を得ます。卵巣がんが疑われた場合に行う精密検査です。
血液検査 目的: 主にがんの診断補助や、診断後の治療効果の確認などに用いられます。
手順: 採血が行われ、血液中の特定の物質やマーカー(CA-125など)の濃度が検査されます。これらの値が異常である場合、卵巣がんが疑われます。ただし、がんの有無は腫瘍マーカーの値のみでは確定されません。
病理検査 目的: 進行度、組織型や異型度(グレード)を病理検査によって確定させます。
手順: 画像検査のみでは確定診断ができないため、初回手術時に卵巣を摘出し病理検査を行います。

治療法

初回手術時に行う病理検査によって、卵巣がんのステージⅡだと確定した場合、手術と化学療法の組み合わせが基本的な治療となります。

治療法 説明
手術 手術の目的: がんを可能な限り摘出することを目的とします。
手順: 両側の卵巣と卵管、子宮、大網を摘出します。さらに、通常は後腹膜リンパ節郭清も行います。これらの手術は基本術式と呼ばれます。
化学療法 化学療法の目的: 抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃し、がんの再発防止や拡がりを抑制します。術前化学療法の場合は、腫瘍の縮小化を図ります。
治療スケジュール: 通常は手術後に行われますが、手術が適用できないと判断された場合は、手術前に化学療法を行って、その後手術が適用できることがあります。
放射線療法 放射線療法の目的: 主に卵巣がんの辛い症状を緩和する目的で行います。
治療の形態: 再発した卵巣がんに対して行い、がん細胞に放射線を当てることで死に至らしめる治療です。

光免疫療法

光免疫療法は、がん細胞に選択的に集積させた後、特定の光を照射する事によって、がん細胞を攻撃します。
がん細胞を選択的に攻撃するため、正常細胞への影響が少なく、副作用が低減できる利点があります。
ステージⅡ期の卵巣がんに対しても有効な治療法となる可能性があるため、お気軽にご相談ください。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。

卵巣がんステージⅡ期の予後

予後要因 詳細
生存率 卵巣がんステージⅡ期の5年生存率は約75%です。ステージⅢ以降の進行がんになると生存率が下がるため、ステージⅡまでの発見・治療が望ましいです。
治療効果 卵巣がんの治療は手術と化学療法の組み合わせが基本ですが、根治的治療である手術においては、がんを取り切れたほど予後が良いという報告があります。
再発のリスク 卵巣がんは再発リスクが高いがんであり、半数以上が再発してしまうといわれています。再発後は、治療効果も低く生存期間も短くなる傾向にあるため、注意が必要です。
継続的なフォローアップ 治療後の定期的なフォローアップは重要です。これにより、患者の健康状態やがんの再発の早期発見が可能となります。
心理的・社会的サポート がんの治療と予後には精神的な影響も大きいです。患者は治療後にも適切なサポートが必要です。心理的なカウンセリングやサポートグループへの参加は、患者の心理的な健康を促進し、治療後の生活の質を向上させる役立つ手段です。
生活スタイルの管理 生活スタイルの管理も予後に影響を与える要素です。健康的な食事、適度な運動、喫煙や過度のアルコール摂取の制限などは、がんの予後を改善する助けとなります。

まとめ

卵巣がんのステージⅡ期は、自覚症状に乏しく別の異常で検査をした時に発見されることが多いです。
下腹部に違和感がある、ひどい生理痛があるといった場合は、早めに婦人科に相談してください。
ステージⅡ期での治療は、手術と化学療法が基本となりますが、光免疫療法も有効な治療となる可能性があります。
また、ステージⅡ期では治療後の5年生存率は高いですが、卵巣がん自体が再発しやすいがんのため、定期的に検査を受ける必要があります。
卵巣がん治療でお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。

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