膵臓がんステージ4とは
膵臓がんのステージ4とは、膵臓からがん細胞が遠隔の臓器へ転移している状態を指します。
転移先としては肝臓や肺が一般的ですが、副腎に転移することもあります。
この段階では手術による根治は難しいと考えられることが多く、化学療法を中心とした全身的な治療が検討されます。
病状や全身状態に応じて、延命と症状緩和を目的とした治療が選択されることになります。
副腎転移の特徴
副腎は腎臓の上部に位置する内分泌器官であり、ストレスや代謝に関与するホルモンを分泌しています。
副腎への転移は比較的まれではあるものの、膵臓がんが血流を介して全身に広がる過程で確認されることがあります。
副腎転移は無症状で経過することもありますが、腫瘍の増大によって副腎機能の低下や腰背部の違和感などが見られる可能性もあります。
診断には画像検査やホルモン検査が用いられ、必要に応じて緩和的な介入が行われる場合もあります。
治療の全体像と選択肢
膵臓がんステージ4で副腎転移がある場合には、複数の治療選択肢を組み合わせて検討することが重要です。
全身状態、年齢、合併症、生活環境などを踏まえて、無理のない治療が目指されます。
治療法 | 概要 |
---|---|
化学療法 | 膵臓がんに対して推奨されている治療法です。FOLFIRINOXやゲムシタビン+ナブパクリタキセルなどが候補とされており、がんの進行を抑えることを目的とします。副作用が強く出ることもあるため、治療可否は全身状態を見ながら判断されます。 |
分子標的薬 | 特定の遺伝子変異がある場合には分子標的薬が検討されることがあります。たとえばBRCA遺伝子に異常が見つかった場合にはPARP阻害薬などが候補となる場合があります。すべての患者様に適用されるわけではないため、事前の検査が必要です。 |
放射線治療 | 副腎に限局した病変がある場合、疼痛緩和や局所制御を目的として照射が検討されることがあります。進行抑制や生活の質向上を目指す選択肢の一つとして活用される場合があります。 |
支持療法 | がんに伴う体調不良や疼痛、栄養管理、精神的な不安などに対応するための医療が行われます。治療と並行して実施されることが多く、患者様がより良い生活を送れるよう支援する目的で提供されます。 |
治療の個別化と生活の質
治療方針の決定にあたっては、がんの進行度だけでなく、患者様の生活背景や希望も重視されます。
副作用が少なく、通院負担を軽減できる方法が選ばれることもあります。
緩和ケアは末期に限定されるものではなく、がんの治療と並行して早期から導入されることもあり、精神的・身体的なサポートを得る手段として活用されます。
選択肢としての光免疫療法
現在の標準治療に加えて、光免疫療法という治療選択肢があります。
この治療法は、がん細胞に集積する光感受性物質に、近赤外線を照射することでがん細胞を選択的に破壊することを目指すものです。
副作用が比較的少ないとされ、局所への影響も限定的になる可能性があります。
以下より当院の光免疫療法に関する詳細をご確認頂けます。
まとめ
膵臓がんステージ4で副腎転移がある患者様においては、標準的な治療法のほかにも多様な方針が検討されます。
治療の主な目的は延命と症状緩和であり、がんの進行を抑えつつ、患者様の生活の質を損なわないように配慮されることが重視されます。
状態に応じては、光免疫療法のような手段が選択肢に加わる場合もあります。
医療チームとの丁寧な話し合いの中で、納得のいく治療方針を共有していくことが望まれます。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。