直腸がん(ステージ4)肝転移とは
直腸がんは大腸がんの一種であり、大腸のうち肛門に近い部分で発生する悪性腫瘍です。
がんが進行しステージ4に分類される場合、原発巣から離れた臓器、特に肝臓や肺などへの遠隔転移が確認されます。
直腸がんにおいて最も転移しやすい臓器が肝臓であり、肝臓への転移は「肝転移」と呼ばれます。
この状態になると、治療の目的はがんの根治よりも延命やQOL(生活の質)の維持・向上へとシフトすることが一般的です。
肝転移の特徴と治療の難しさ
肝臓は血液の流れが豊富な臓器であり、大腸からの血流が門脈を通じて直接流れ込むため、がん細胞が到達しやすい環境にあります。
そのため、直腸がんでは特に肝転移の頻度が高く、ステージ4の多くの患者様で見られます。
肝転移が単発または限られた数であれば、外科的切除(肝切除)が検討されることもあります。
しかしながら、多発性であったり、重要な血管近傍に存在したりする場合には切除が困難となるケースも少なくありません。
また、他の臓器にも転移がある場合や、全身状態が良好でない患者様では外科手術そのものが適応外となることもあります。
標準治療の内容と限界
直腸がんのステージ4に対する標準治療は、化学療法(抗がん剤治療)が中心です。
FOLFOXやFOLFIRIなどが用いられ、分子標的薬と併用されることもあります。
RAS遺伝子変異がない場合にはEGFR阻害薬の使用が検討されます。
こうした治療は一部の患者様には有効ですが、副作用が強く、体力の低下や肝機能障害がある患者様では継続が困難になることもあります。
また、化学療法によって一時的にがんの縮小が見られても、長期的に見ると再増悪するケースもあり、必ずしも長期生存が期待できるとは限りません。
切除不能な肝転移への対処法
肝転移が多発している、もしくは位置的に切除できない場合は、化学療法の他に局所療法が選択肢になります。
たとえば、肝動脈化学塞栓療法(TACE)やラジオ波焼灼術(RFA)などの方法があり、がん病巣を局所的に狙うことで症状の軽減や一部の延命効果が期待されます。
ただし、これらの治療もすべての患者様に適応できるわけではなく、病状やがんの進行度、患者様の体調を総合的に判断する必要があります。
選択肢としての光免疫療法
光免疫療法は、がん細胞に集まりやすい特殊な薬剤を投与し、そこに特定の波長の光を照射することでがん細胞だけを攻撃する治療法です。
正常細胞への影響を抑えつつ、がん細胞を標的にできる点が特長です。
全身状態が不安定な患者様でも、局所的な照射が可能な場合には、比較的体への負担が少ない治療として検討されることがあります。
ただし、肝転移がある場合には、光の照射が可能な病変かどうか、また照射機器が届く位置にあるかといった条件を慎重に確認する必要があります。
病変の位置や深さによっては治療が難しいケースもあるため、適用可否については医師による詳細な判断が求められます。
以下より、当院の光免疫療法の詳細に関してご確認頂けます。
治療選択の際に大切なこと
ステージ4の直腸がん、特に肝転移がある場合、患者様の全身状態、がんの広がり、治療への反応などを総合的に判断しながら治療方針を決定していくことが重要です。
標準治療に加え、光免疫療法のような治療選択肢も含めて、複数の手段を組み合わせることで、生活の質の向上や生存期間の延長が期待できる可能性があります。
ご本人やご家族が納得したうえで治療を進めていくためにも、主治医との綿密な相談を重ねることが大切です。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
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