卵巣がんとは
卵巣がんは、子宮の両側に位置する卵巣に発生するがんです。
(卵巣にできる腫瘍には良性の腫瘍と悪性の腫瘍が存在し、約8割は良性とされています。また、良性と悪性(卵巣がん)の中間の悪性度である境界悪性腫瘍と呼ばれるものも存在します。『卵巣腫瘍』とは、これらの良性、境界悪性、悪性(がん)の全てを含んだものであり、決して『腫瘍=悪性』ではありません。)
一般的に、卵巣の腫瘍はその発生する場所によって大きく分けられ、「表層上皮性・間質性」、「性索間質性」、「胚細胞性」などの種類があります。最も多いのは、卵巣の表層を覆う細胞に由来する「表層上皮性・間質性腫瘍」で、この上皮性のがんは卵巣がん全体の9割を占めています。
また、卵巣にできる悪性腫瘍を年代で着目してみると、若い世代(10-20才代)を中心に発生する『卵巣胚細胞腫瘍』と中高年女性(40-60才代)を中心に発生する『上皮性卵巣がん』になります。
前者は、頻度はかなり低く、弱年発症という性格から子宮温存を求められるなど、後者とは治療体系が全く異なる疾患であるといえます。(このページ内では、卵巣がんの大多数を占める『上皮性卵巣がん』に焦点を当てて記載します。)
更に年齢を細分化してみた卵巣がんの罹患率は、40歳代から増加し、50~60歳代がピークですが、卵巣がんの死亡率は、50歳以降増加して高齢になるほど高くなります。
卵巣がんの主な種類
卵巣がんは、主に『漿液性腺がん』、『粘液性腺がん』、『類内膜腺がん』、『明細胞腺がん』に分類され、各々が異なった性質をもっています。
また漿液性腺がんの中には、卵巣発生かどうか判断出来ないが、お腹全体に広がるタイプの腹膜がんと呼ばれているものも含まれます。
漿液性腺がん(Serous adenocarcinoma)
漿液性腺がんは、進行が早くて腹水や腹部膨満感等の症状が短期間ではっきりと現れるため、比較的診断が容易です。
また漿液性腺がんは、細胞の分化度(活発に増殖しているか)によって、ハイグレードとローグレードに分類されます。
ハイグレードの漿液性がんは、卵巣がんの中で最も発生頻度の高い組織型である事で知られており、その半数程度が卵子を受け取る卵管采とから発生すると考えられています。
漿液性腺がんは、化学療法に対する感受性が高く、抗がん剤治療による効果に期待が見込まれています。
明細胞腺がん(Clear cell adenocarcinoma)
明細胞腺がんは、子宮内膜症が少しずつがん化することにより発生します。明細胞腺がんは、ステージⅠの早期段階で診断されることが多いですが、悪性度の高いタイプの卵巣がんであるため、手術と化学療法を組み合わせた治療が必要です。
しかし、漿液性腺がんとは異なり抗がん剤の効果が見込めないので、治療法としては手術で完全にがんを摘出できるかがカギになります。
明細胞腺がんは、後腹膜や尿管などの周辺臓器と高度に癒着していることがあります。
類内膜腺がん(Endometrioid adenocarcinoma)
類内膜腺がんは、明細胞腺がんと同じく、子宮内膜症に関連するがんです。
類内膜腺がんの殆どは、ローグレードであることが多く、進行はゆっくりで予後も比較的に良好なケースが多いとされています。比較的抗がん剤が効きやすいタイプの卵巣がんです。
粘液性腺がん(Mucinous adenocarcinoma)
粘液性腺がんは、腸型粘液性境界悪性腫瘍という良性腫瘍と悪性腫瘍の中間的な組織像を示す卵巣腫瘍と併存していることが多いタイプの卵巣がんです。
良性粘液性腫瘍を母地として発生すると考えられています。粘液性腺がんは、進行例が少なく、自覚症状としても「最近太ったかもしれない」と誤解して、腫瘍がかなり大きくなるまで放置してしまう患者さんが少なくないとされています。
卵巣がんの原因
ここでは、卵巣がんの危険因子について解説していきます。
卵巣がんにおいて、上皮性卵巣がんは50~75歳に多くみられ、早発初経や高齢出産、晩期の閉経、肥満がリスク因子として挙げられます。
また、胚細胞腫瘍は10~20代にみられ、妊娠中や分娩後に発見されることがあります。
更に、遺伝因子も考えられ、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome:HBOC syndrome,HBOC )やリンチ症候群(HNPCC)のような遺伝性腫瘍もある場合、また家族まわりに関連臓器にがんがみられる場合も遺伝性のがんの原因として挙げられます。
卵巣がんの主な症状
卵巣がんの症状 卵巣がんの初期にみられる症状と進行期にみられる症状について解説していきます。
(1)初期の症状
卵巣がんは、他臓器がんよりも初期症状が現れないことが多いので、患者様自身で自覚できるような特徴的な症状がほとんどありません。
更に、卵巣がんは子宮頚がんとは異なり、有効な検診手段が確立していないため、早期発見は難しいとされています。
ただし、性索間質性腫瘍のなかでホルモン産生腫瘍については、ホルモンによる特徴が比較的早期の段階でみられるとされています。
(2)進行期の症状
卵巣がんで自覚症状が現れた際には、既にがんが進行しており、およそ4割以上がステージ3と診断されます。
卵巣がんは、腫瘍が小さい場合においても婦人科検診等で早期に発見されることもありますが、卵巣が腫れている状態であっても、かなり大きくなるまで無症状のことが多いため、進行してから発見されることが多いです。そのため、がん検診検査などを受けて、少しでも早い段階で発見出来る事が重要と言えます。
卵巣が大きくなると腹壁から自分の手で腫瘍を触れたり、あるいは腫瘍による圧迫症状がみられるようになります。
また腹水を伴うと、その量に応じた腹部の腫大と腹部膨満感が出現します。
腹水が増量し胸水も認められるようになると、呼吸苦が出現します。
胸腹水は良性卵巣腫瘍でも発生しますが、悪性の場合により多くみられます。
卵巣腫瘍は悪性、良性に関わらず、捻れたり(卵巣腫瘍茎捻転)、破裂したりすることがあり、この場合は激痛を伴います。
卵巣がんは上記の症状が一つでもみられる場合には、早期に医療機関を受診するようにしてください。
また定期検診を心掛け、早期発見できるようにすることが理想です。
当院での卵巣がんの治療法について
卵巣がん情報記事監修者
Article supervisor
当該卵巣がんに関するページは院長 小林賢次監修にて作成しております。
氏名:小林賢次
経歴
- 1991年3月 京都大学法学部卒業
- 2000年3月 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
- 2000年5月 同愛記念病院 臨床検査科
- 2002年5月 NTT東日本関東病院病理診断部
- 2011年6月 新八重洲クリニック 院長
- 2019年1月~ 東京がんクリニック開院
出身大学
- 京都大学法学部卒業
- 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
当院へのご相談の流れ
Consultation process for our clinic
ご予約
卵巣がんでお悩みの方はまずはお電話・メールにて予約をお願い致します。
メールでお問い合わせ頂いた際は担当者より、お返事させて頂きますが、お急ぎの方はお電話にてご予約の程お願い致します。
ご来院
当院は完全予約制となっております。患者様ごとにお時間を調整し、治療に当たって頂いておりまりますので、ご予約の5分前にはご来院をお願い致します。
また、診療情報提供書や血液検査データなどをお持ちの方は、持参して頂くようお願いします。
受付
始めてご来院頂いた際には、問診票をご記入いただきます。
現在の状況やどのようなお悩みでもご記入頂ければと思います。
例
・腫瘍による圧迫症状
・腹部の腫大と腹部膨満感
・呼吸苦
など
インフォームドコンセント
問診票を元に医師、医療スタッフにて、インフォームドコンセントを行い、更に現在の詳細や、最適な治療方法などをご説明させていただきます。
当院の説明だけでは納得できない場合には、他の病院・クリニックに意見を求める「セカンドオピニオン」もご検討ください。
同意書の記入
当院で卵巣がんに関しての治療方法ややそれに伴うリスクの程度に関してご納得頂けましたら、同意書にサインをしていただきます。
ご料金や治療方法の疑問点に関しては何度でもご質問下さい。
今後の甲状腺がん治療計画について
卵巣がんの今後の治療計画を立案し、患者様に無理のない治療行程を組ませていただきます。
治療を進める上でご要望などございましたら、ご相談下さい。
甲状腺がん治療のお問合せはこちら
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。