胆嚢がんステージ4と副腎転移の概要
胆嚢がんは比較的発見されにくいがんのひとつとされており、進行してから見つかることが多いとされています。
ステージ4はがんが遠隔転移をきたした状態であり、複数の臓器に波及していることもあります。
副腎はホルモンを分泌する臓器で、血流が豊富なため、転移の受け皿となることがあります。
胆嚢がんからの副腎転移は頻度としては高くないとされますが、進行例では無視できない所見となる場合があります。
副腎転移の症状と診断
副腎への転移は初期には無症状であることが多く、他の部位の検査中に偶発的に見つかることもあります。
症状が出現する場合は、副腎の腫瘤が大きくなり周囲の組織を圧迫したり、両側性の転移で副腎機能が低下したりすることによる症状が考えられます。
倦怠感、食欲不振、低血圧、色素沈着などのアジソン病様の症状が現れる場合もあります。
診断には以下の検査が用いられることがあります。
検査の種類 | 内容 |
---|---|
CT・MRI | 副腎の腫瘤や他の臓器への転移の確認 |
PET-CT | がんの全身的な広がりの評価 |
ホルモン検査 | 副腎皮質機能の評価 |
腫瘤の性状や患者様の病状によっては、副腎の生検が行われることもありますが、侵襲性の高い検査となるため慎重に検討されます。
治療方針と標準治療の役割
胆嚢がんが副腎に転移している場合、治療は全身的な対応が求められる段階と考えられます。
こうした進行例では、外科的切除の適応は限られることもありますが、まずは標準的な化学療法による治療が検討されます。
現在、胆道がんに対する代表的な化学療法として、以下のようなレジメンが用いられることがあります。
治療法 | 内容 |
---|---|
GC療法 | ゲムシタビン+シスプラチンの併用療法 |
GCS療法 | GC療法にS-1を加えた三剤併用療法 |
これらの治療法は、がんの進行を抑える効果が期待されており、胆道がんの治療における重要な選択肢とされています。
患者様の体力や副作用の程度に応じて、治療の継続や変更を判断することになります。
標準治療が続けられない場合には、症状緩和を目的とした治療や他の選択肢を検討することがあります。
副腎転移が単独で確認された場合、放射線治療(SBRTなど)が考慮されることもあります。
また、副腎機能が低下している場合には、副腎皮質ホルモンの補充療法が必要となるケースもあります。
選択肢としての光免疫療法
現在の標準治療に加えて、光免疫療法という治療選択肢があります。
この治療法は、がん細胞に集積する光感受性物質に、近赤外線を照射することでがん細胞を選択的に破壊することを目指すものです。
副作用が比較的少ないとされ、局所への影響も限定的になる可能性があります。
以下より当院の光免疫療法に関する詳細をご確認頂けます。
まとめ
胆嚢がんステージ4で副腎転移が認められた場合、治療の方向性は個別の病状や全身状態に応じて多様に検討されます。
標準的な化学療法は重要な柱となりますが、体調や副作用の状況によって他の治療法も併せて考慮されることがあります。
治療の選択肢のひとつとして、光免疫療法のようなアプローチが提案されることもありますが、すべての症例に適応されるわけではないため、医師との丁寧な相談が大切です。
治療の選択肢が広がってきている中で、患者様とご家族が納得できるかたちで治療方針を決めていくことが重要とされています。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。