腹膜播種とは
腹膜播種（ふくまくはしゅ）とは、がん細胞が腹膜（腹腔を覆う薄い膜）に拡散し、多数の小さな腫瘍結節を形成する病態です。
この状態は、特に消化器系のがん（胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆道がんなど）で多く見られますが、卵巣がん、乳がん、肺がんなど、他の腫瘍でも発生する可能性があります。
腹膜播種は進行性のがんの特徴であり、腹水貯留や腸閉塞などの重篤な症状を引き起こすため、早期発見と適切な管理が重要です。
この記事では、腹膜播種の詳細と光免疫療法の可能性や課題について解説します。
腹膜播種の発生メカニズム
腹膜播種は、がん細胞が原発巣から剥離し、腹腔内に浮遊した後、腹膜表面に付着して増殖することで発生します。
それらは、以下の要因によって促進されます：
●直接浸潤：原発腫瘍が腹膜に隣接し、物理的に浸潤する。
●リンパ・血行性経路：がん細胞がリンパ管や血管を通じて腹膜に到達。
●術中播種：手術中にがん細胞が腹腔内に散布される。
腹膜に付着したがん細胞は、腹膜の微小環境（栄養豊富な腹水や炎症因子）を利用して急速に増殖し、散在性の結節を形成します。
これにより、腹腔内の臓器機能が障害され、症状が進行します。
腹膜播種と光免疫療法（自費診療）の概要
腹膜播種は、がん細胞が腹膜に広範囲に拡散した状態であり、外科的切除が困難な場合が多く、従来の治療効果が限定的となります。
一方、光免疫療法は、がん細胞に特異的な薬剤と近赤外光を組み合わせた革新的な治療法で、腹膜播種の管理に新たな可能性を提供します。
自費診療として提供される当院の光免疫療法は、腹膜播種を含む進行がんに対し、個別化されたアプローチが可能となります。
当院の光免疫療法については、以下をご確認ください。
腹膜播種の特性と課題
腹膜播種の主な特性と治療上の課題は以下のようなものが挙げられます。
●高頻度のがん種：消化器系（胃がん、大腸がん、膵臓がんなど）、卵巣がんで多く、進行期（ステージⅣ）に顕著。
●診断の困難性：初期は無症状で、CTやPETで小さな結節が検出されにくい。腹水貯留や腸閉塞が現れて初めて気づかれることが多い。
●治療の限界：外科的切除は広範囲の播種では非現実的。化学療法（全身投与）は腹膜の血流バリアにより薬剤到達が不十分で効果が限定的となる。
●症状の重篤化：腹水による腹部膨満、腸閉塞による消化障害、疼痛、栄養吸収不良がQOL（生活の質）を著しく低下させる。
これらの特性から、腹膜播種は予後が厳しく、従来の治療では十分な制御が難しい場合が多いのが現実です。
光免疫療法のメカニズムと効果
光免疫療法は、がん細胞に選択的に結合する抗体と光感受性薬剤を静脈投与し、特定の波長の近赤外光を照射することでがん細胞を破壊する治療法です。
そのメカニズムと効果は以下の通りとなります。
●選択的破壊：薬剤はがん細胞表面の特定抗原に結合し、照射された近赤外光により活性酸素種を生成。がん細胞の細胞膜を破壊し、選択的な壊死を誘導。
●免疫活性化：破壊されたがん細胞から放出される抗原が、体内免疫系（特にT細胞）を刺激し、遠隔のがん細胞に対する全身性の免疫応答を誘発する可能性がある。
●低侵襲性：正常細胞へのダメージが少なく、化学療法や放射線療法に比べ副作用（骨髄抑制、消化器障害など）が軽度な傾向にある。
●腹膜播種への適用：腹腔内に散在する小さな結節に対し、光ファイバーを用いた局所照射や腹腔内投与を組み合わせることで、効果的な治療が期待される。
光免疫療法は、全ての患者様に適応するわけではありませんが、標準治療が困難な腹膜播種に対して新たな希望を提供します。
現在、腹膜播種の治療法をお探しの方は、専門医との相談を通じて、光免疫療法を含む選択肢を検討することをお勧めします。
当院の光免疫療法も腹膜播種に適用可能な場合がありますので、お気軽にご相談ください。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
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