大腸がんとは
What is colorectal cancer?
大腸がんは、大腸(結腸・直腸・肛門)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
日本人はS状結腸と直腸にがんが生じやすく、肛門にはできにくいといわれています。
大腸がんは高齢の方ほど高く、男女比では男性に多く見られる傾向にあります。
大腸がんの分類は、粘膜内に生じているがんを粘膜内がん(mがん)、粘膜下層までに生じているがんを粘膜下層浸潤がん(smがん)といい、この二つの総称を大腸早期がんといい、一方で、固有筋層より深く浸潤したものは全て進行がんと呼ばれています。
がんが粘膜内に留まっている状態では、リンパ節への転移は起こる心配は無く、粘膜下層に留まっている場合でも、リンパ節への転移は基本的に起こらないけれど、進行がんになると危険度が高まります。
とはいえ、大腸がんは他の臓器がんと比べ、進行が遅いとされています。
大腸がんにおいて、組織の状態による分類として、『腺がん』、『扁平上皮がん』、『腺扁平上皮がん』に分けられ、大腸がんの殆どが腺がんです。
腺がんは、細かく分類すると『乳頭腺がん』、『管状腺がん』、『低分化腺がん』、『粘液がん』、『印環細胞がん』、『髄様がん』に分類されます。(組織型分類と呼ばれるものです。)
大腸がんの原因
Causes of colorectal cancer
ここでは、大腸がんの危険因子について解説していきます。
大腸がんの発がん要因は、生活習慣と関わりがあるといわれており、飲酒や喫煙、肥満は大腸がんの発がんリスクが高まります。
また、大腸がんは遺伝も要因とされています。
上述したがんの危険因子と合わせて、食道がんの危険因子について詳しくみていきましょう。
(1)遺伝
遺伝性の大腸がんの占める割合は,大腸がんの全体からみて約5%であり、その中の大腸がん患者のおよそ3割は遺伝的な要因があると考えられています。
大腸がんの遺伝因子からくる代表的な例は、家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis,FAP)やリンチ症候群が挙げられます。
遺伝因子によって、大腸がんの発がんリスクは異なり、併発する腫瘍の種類や頻度も様々です。
また、非遺伝子性の大腸がんよりも若年で発症する傾向にあるといわれています。
(2)環境
①食事
大腸がんの危険因子として一番挙げられるのは食事です。
高脂肪で高カロリー、低食物繊維の食事は、大腸がんの発がんに関与すると考えられています。
戦後に日本人の食生活が欧米化し、牛肉や豚肉といった赤身の肉つまり高脂肪分の摂取量が増大したことが直結していると考えられています。
肉類の中でも、特に赤肉(動物性蛋白)の高摂取は大腸がんのリスクを高めることにつながると考えられています。
②腸内環境
腸内細菌の多くは大腸内に存在し、大腸は食べ物が消化された後のを残り物から大便をつくりだす器官で、ここに悪玉菌が増えることで、腸そのものの免疫力が低下します。
大腸の免疫力が低下することで、大腸はポリープやがんのできやすくなってしまうのです。
特に女性はホルモンバランスの変化によって腸内環境にも影響が起こりやすいため、大腸がんの発がんリスクが高く、2019年においては、日本人のがんによる死亡数で、大腸がんにおいて女性はトップでした。
③喫煙、飲酒
遺伝や高脂肪分の摂取量に比べると喫煙や飲酒による大腸がんの発がんリスクが高まるといった報告は少なく、関連性も明確でありませんが、両者に発がん物質が含有されていることや幾つかの報告例から何らしかの因果関係はあるものと考えられています。
さらに、肥満や運動不足といったことも大腸がんの発がんリスクを高める因子として挙げられます。
(3)慢性炎症
炎症性腸疾患(特に潰瘍性大腸炎)に長期間罹患している方は、大腸がんのリスクが高いといわれています。
大腸がんの症状や注意点
Symptoms and precautions for colon cancer
大腸がんは、大腸の右側における大腸がん(横行結腸がん、上行結腸がん、盲腸がん)と大腸の左側における大腸がん(下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がん)に大別することが可能で、上述した左右での初期にみられる症状と進行期にみられる症状、更に転移の際等にみられる症状について解説していきます。
(1)大腸の右側における大腸がん(横行結腸がん、上行結腸がん、盲腸がん)の症状
大腸がんにおいては、横行結腸がん、上行結腸がん、盲腸がんについても他臓器のがんと同様に、発症が早期の段階では、無症状また自覚症状が殆どないことが多いです。
またこれらの大腸がんは、内容物が液体であるため、通過障害が起こりづらく、便の性状変化に気づきにくいことから症状を自覚することは難しいでしょう。
また、大腸の左側における大腸がんと比較した際に、がんが進行するまで症候がそこまで出ないことも特徴です。
がんが進行すると腹部腫瘤や出血、出血による貧血等がみられるようになります。
(2)大腸の左側における大腸がん(下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がん)の症状
大腸がんにおいては、下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がんについても他臓器のがんと同様に、発症が早期の段階では、無症状また自覚症状が殆どないことが多いです。
しかし、大腸の右側における大腸がんと比較すると、これらの大腸がんは内容物が液体であるため、通過障害が起こりやすく、便の性状変化に気づきやすいことから症状を自覚することは可能でしょう。
また、これらの大腸がんは進行につれて比較的早期の段階で症候が現れやすいです。
症状としては、血便、腹痛、便柱挟小化、下痢や便秘、狭窄による腹部の膨満感が挙げられます。
中には、痔などの病気と症状が似ていることもあって放置してしまう方が多いですが、知らない間にがんが進行してしまう恐れがあります。
上記では分類していますが、大腸の右側における大腸がん(横行結腸がん、上行結腸がん、盲腸がん)でも、通過障害による症状が現れることもありますし、一方の大腸の左側における大腸がん(下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がん)においても出血による貧血が生じることもあります。
また、通過障害が重度の場合、腸閉塞(イレウス)を引き起こすこともあり、便が出なくなったり、腹痛、嘔吐等の症状が現れます。
また、リンパ節や肝臓、大腸など別の臓器に転移することもあり、大腸がんの転移が先に発見されることもあります。
転移した際には、転移した各部位の様々な症状が出現します。
上記の症状が一つでもみられる場合は勿論、各症状が長期間続いていると感じる場合には、早期に消化器科(胃腸科)や肛門科などの医療機関を受診するようにしてください。
大腸がん情報記事監修者
Article supervisor
当該大腸がんに関するページは院長 小林賢次監修にて作成しております。
氏名:小林賢次
経歴
- 1991年3月 京都大学法学部卒業
- 2000年3月 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
- 2000年5月 同愛記念病院 臨床検査科
- 2002年5月 NTT東日本関東病院病理診断部
- 2011年6月 新八重洲クリニック 院長
- 2019年1月~ 東京がんクリニック開院
出身大学
- 京都大学法学部卒業
- 富山医科薬科大学医学部医学科卒業
当院へのご相談の流れ
Consultation process for our clinic
ご予約
大腸がんに関するご相談を頂く際の流れをご案内致します。
当院は完全予約制を採用しておりますので、大腸がんに関するお悩みで初めてご来院される場合は、お電話またはメールにて予約をお願いします。
ご来院
当院は完全予約制となっておりますので、大腸がんに関するお悩みで初めてご来院される場合は、お電話またはメールにて予約をお願いします。
メールでのご予約の際は、予約状況を確認した後、担当者よりお返事をさせて頂きます。
※出来るだけ早めのご予約を頂けますとスムーズに日程調整が可能です。
受付
初診時には、問診票を記入して頂きます。
大腸がんに関するお悩みや治療状況など、些細なことは何でもご記入ください。
例
・血便
・下血(赤黒い大便)
・不規則な下痢と便秘
・残便感
・お腹が張る
・腹痛
・貧血
など
インフォームドコンセント
記入して頂いた問診票を参考にしながら、医師と医療スタッフが患者様のお悩みや現在の状況をお伺いします。
正確な判断を行うためにも、隠し事をせず何でもお気軽にご相談ください。
また、当院で行っている大腸がんの治療法もメリット・デメリットを含めて説明致しますので、ご不明な点などありましたらご質問ください。
当クリニックの説明だけでは不安を感じる患者様は、他の病院・クリニックに意見を求める「セカンドオピニオン」もご検討頂けます。
同意書の記入
当院での治療内容や効果、リスクなどをご理解して頂いた上で、当院で大腸がん治療を受診される場合には、同意書にご記入をして頂きます。
また、治療に必要な費用についても事前に明瞭にご説明させて頂きます。
▶がん治療における保険診療または自由診療とは?に関してはこちらを御参考ください。
今後の大腸がん治療計画について
当院では、一人ひとりの症状に合わせて、患者様に最も効果の期待できる治療法・日程にて大腸がん治療を進めていきます。
そのため、患者様の生活スタイルに沿ったご来院スケジュールなどをご提案しますので、無理なく大腸がん治療を継続して頂くことが可能です。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。