膵臓がん(ステージ4)リンパ節転移とは
膵臓がんは、発見が難しく、進行の早いがんとされています。
そのため、診断時点ですでにリンパ節や肝臓などへの転移が認められることもあります。
ステージ4とは、膵臓の外にがんが広がり、遠隔臓器や遠隔リンパ節に転移がある状態を指します。
リンパ節転移とは、がん細胞がリンパ管を通じて周囲のリンパ節に拡がり、そこで増殖している状態です。
局所のリンパ節にとどまる場合もありますが、遠隔リンパ節に及ぶとステージ4と判断されることになります。
このような病状では、がんの根本的な切除が難しいとされることが多く、全身的な治療が検討されることになります。
ステージ4における治療の考え方
膵臓がんのステージ4でリンパ節転移がある場合、外科的な切除が困難とされるため、抗がん剤による治療が基本となります。
治療の目的は、延命や症状の緩和、生活の質の維持に置かれることが多いです。
使用される主な化学療法には、以下のような選択肢があります。
治療法 | 特徴 |
---|---|
FOLFIRINOX | 5-FU、イリノテカン、オキサリプラチン、レボホリナートの併用療法。体力がある患者様に検討されることがあります。 |
ゲムシタビン+ナブパクリタキセル | 副作用が比較的抑えられるとされる組み合わせで、幅広い患者様に用いられることがあります。 |
これらの薬剤は、全身に広がったがん細胞に働きかける治療とされます。
ただし、副作用として、白血球減少、倦怠感、吐き気、食欲低下などが現れる可能性があります。
そのため、治療の選択にあたっては、患者様の全身状態、年齢、基礎疾患などを踏まえて、医療チームと慎重に話し合うことが大切です。
支持療法と生活の質の維持
がんの進行に伴い、痛み、食欲不振、黄疸、消化不良などの症状が出現することがあります。
これらの症状に対しては、支持療法(サポーティブケア)と呼ばれる対症的な対応が行われます。
症状 | 対応 |
---|---|
痛み | オピオイドなどの鎮痛薬によるコントロールが検討されます。 |
黄疸 | 胆道の閉塞に対して、ステント留置による通過性の確保が行われることがあります。 |
消化不良 | 膵酵素補充や栄養補助食品の活用が検討されます。 |
また、進行がんに直面する中での不安や孤独、心理的な苦痛も大きな課題となります。
医師や看護師、心理士、家族などとの対話を通じて、心のケアを行うことが、治療の継続や生活意欲の維持につながるとされています。
選択肢としての光免疫療法
標準治療以外の選択肢として、光免疫療法という方法が一部の医療機関で提供されています。
この治療は、がん細胞に集まりやすい薬剤を投与した後、近赤外線の光を照射することで、がん細胞だけを狙って破壊するという仕組みです。
正常な組織へのダメージが抑えられる点が特徴であり利点の一つです。
治療内容や費用面も含め、主治医との相談を通じて、慎重に検討することが推奨されます。
当院の光免疫療法に関する情報は以下よりご確認頂けます。
まとめ
膵臓がん(ステージ4)でリンパ節転移がある場合、根治的な治療が難しいと判断されることが多く、全身治療と症状緩和を重視した対応が求められます。
抗がん剤治療を中心に、副作用への対応、日常生活の支援、心理的ケアなど、多面的なサポートが必要となります。
治療の選択肢として光免疫療法が選択肢に挙がることもありますが、すべての患者様に適応されるわけではなく、主治医との相談が欠かせません。
複数の医療機関の意見を聞きながら、ご自身にとって納得できる治療方針を考えていくことが大切です。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。