手遅れと言われた胃がんの詳細と光免疫療法
1. 胃がんの概要
胃がんは、胃の内壁（粘膜）の細胞が異常増殖することで発生する悪性腫瘍です。
初期段階では自覚症状が乏しく、検診や偶発的な検査で発見されない限り、進行してから診断されることが多いのが特徴です。
「手遅れ」と診断される胃がんは、通常、がんが胃壁の深部に浸潤したり、肝臓、肺、腹膜、リンパ節などの遠隔臓器に転移したステージⅣの状態を指します。
この段階では、根治を目指す治療が難しくなり、予後が不良となる場合が多いです。
胃がんのリスク因子には、ヘリコバクター・ピロリ感染、喫煙、過度な塩分摂取、加工食品の多量摂取、遺伝的要因、慢性胃炎などが挙げられます。
2. 胃がんの進行と「手遅れ」の状態
胃がんは進行度に応じてステージⅠからⅣに分類されます。
初期（ステージⅠ～Ⅱ）では症状がほとんどなく、進行するにつれて腹痛、食欲不振、体重減少、吐血、黒色便、腹部膨満感などの症状が現れます。
「手遅れ」と診断されるステージⅣでは、がんが胃壁を越えて周囲の組織や臓器に浸潤したり、遠隔転移（特に腹膜播種や肝転移）が発生している場合が多いです。
この段階では、以下のような特徴があります。
●手術の困難性：がんが広範囲に広がり、完全切除が難しい。
●標準治療の限界：化学療法や放射線療法は延命や症状緩和を目的に行われるが、根治が困難な場合が多い。
●予後の厳しさ：5年生存率は早期発見（ステージⅠで約90%以上）に比べ、ステージⅣでは5～10%程度に低下する。
3. 胃がんステージⅣの症状
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 腹痛・不快感 | がんの浸潤や腹膜播種による腹部膨満感や持続的な痛み。 |
| 食欲不振・体重減少 | 胃の機能低下や消化器系の圧迫により食欲が減少し、体重が急激に減少。 |
| 吐血・黒色便 | がんによる胃粘膜の損傷や潰瘍形成により出血が起こる。 |
| 腹水・黄疸 | 腹膜播種や肝転移により腹水がたまったり、胆管圧迫による黄疸が発生。 |
| 倦怠感 | がんの進行や栄養不良による全身の衰弱。 |
これらの症状は、がんの進行に伴い日常生活に大きな影響を及ぼし、QOL（生活の質）を著しく低下させます。
4. 標準治療の限界
ステージⅣの胃がんでは、以下のような標準治療が行われますが、根治が難しい場合が多いです。
●化学療法：フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、S-1などの薬剤を使用。延命や症状緩和を目的とするが、副作用（吐き気、脱毛、骨髄抑制など）が問題となる。
●分子標的治療：トラスツズマブ（HER2陽性の場合）やラムシルマブが使用されるが、効果は限定的な場合がある。
●緩和的放射線療法：出血や疼痛の緩和を目的に局所的に行われる。
●緩和ケア：痛みや栄養状態の管理、心理的サポートを通じてQOLを維持。
また、腹膜播種や多発転移がある場合、治療効果が得られにくく、耐性や副作用により継続が困難になることもあります。
5. 光免疫療法とは
光免疫療法は、「手遅れ」と言われる標準治療が困難なステージⅣの胃がん患者様に対して、新たな治療の選択肢として注目されています。
この治療法は、がん細胞に選択的に結合する光感受性薬剤を投与し、特定の波長の近赤外光を照射してがん細胞を破壊する手法です。
特徴として以下のようなことが挙げられます。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 光免疫療法の仕組み | 光感受性薬剤ががん細胞に集積し、近赤外光の照射により活性化。がん細胞を直接破壊し、免疫反応を活性化する可能性がある。 |
| メリット |
|
| 適応の注意点 | すべての患者様やがんの状態に適応するわけではなく、病変の位置や大きさ、全身状態に応じて専門医が判断する。 |
光免疫療法は、他の治療法と組み合わせることで、相乗効果も期待できます。
以下より当院の光免疫療法の詳細をご確認頂けます。
6. 光免疫療法：治療と緩和ケアの融合
光免疫療法は、末期胃がん患者様の治療と緩和ケアを同時に実現する可能性を秘めています。
がん細胞を選択的に破壊することで腫瘍の縮小や進行抑制を目指しつつ、腹痛、腹水、消化器症状などの緩和にも寄与します。
この治療法は以下のような利点を持ちます。
●症状の軽減：腫瘍の縮小により、腹部膨満感や痛みが軽減される場合がある。
●QOLの向上：副作用が少ないため、患者がより快適に日常生活を送りやすくなる。
●家族との時間：活動的な生活を維持することで、家族との時間を充実させられる。
7. まとめ
「手遅れ」と言われるステージⅣの胃がんは、転移や浸潤が進み、標準治療での根治が難しい状態です。
化学療法や分子標的治療、緩和ケアが主なアプローチですが、治療効果やQOLの維持に限界がある場合があります。
光免疫療法は、がん細胞を標的とした低侵襲な治療法として、進行胃がんの新たな選択肢となり得ます。
ただし、適応には慎重な判断が必要であり、専門医との相談を通じて最新の情報に基づいた治療計画を立てることが重要となります。
当院の光免疫療法は、標準治療と併用可能なため、胃がん治療中の患者様でも一度ご相談ください。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。
