前立腺がんステージ4 副腎転移の概要
前立腺がんは高齢の男性に多く見られるがんであり、初期はほとんど症状がないことも少なくありません。
進行に気づかずに発見が遅れることがあり、発見時にすでに転移を認めるケースもあります。
ステージ4と診断されるのは、がんが前立腺を超えて広がり、他の臓器に転移している状態です。
最も転移しやすい部位は骨ですが、まれに副腎へ転移する例も報告されています。
副腎はホルモン分泌に関与する臓器で、腎臓の上部に位置しています。
副腎転移は進行がんの一つの表れであり、診断と治療の難易度が上がる傾向があります。
副腎転移で現れる可能性のある症状
副腎への転移があっても、初期には無症状であることが多いです。
しかし、腫瘍が大きくなると周囲の臓器を圧迫し、様々な症状が出現することがあります。
症状 | 内容 |
---|---|
背部痛や脇腹の痛み | 副腎周囲の神経や組織が圧迫されることで生じる場合があります。 |
ホルモン異常 | 副腎皮質ホルモンのバランスが崩れることで、代謝や血圧に変化が出ることがあります。 |
倦怠感や体重減少 | 進行がんに伴う全身状態の悪化や悪液質が関係することがあります。 |
ステージ4前立腺がんの治療選択肢
前立腺がんの治療は、がんの進行度と転移の有無、患者様の年齢や体力などを総合的に判断して決定されます。
副腎転移を含むステージ4では、全身療法が中心となります。
治療法 | 概要 |
---|---|
ホルモン療法 | 前立腺がんはアンドロゲン依存性のため、男性ホルモンを抑える治療が基本になります。 |
化学療法 | ドセタキセルなどを使用し、ホルモン療法が効かなくなった場合に検討されます。 |
放射線療法 | 副腎を含む局所への照射や、症状緩和を目的とした治療に用いられることがあります。 |
支持療法 | 疼痛緩和、栄養管理、精神的ケアなど、生活の質を保つための治療です。 |
標準治療が難しい場合の考え方
副腎転移がある場合、局所治療が難しいとされることもあり、標準治療での効果が限定的になることもあります。
また、患者様が複数の治療をすでに受けており、身体的負担に耐えられないと判断される場合もあります。
そのような状況では、治療の目的を「延命」から「症状の緩和」や「生活の質の維持」に切り替えることが検討されます。
一人ひとりの病状や希望に応じたバランスの取れた方針が求められます。
選択肢としての光免疫療法
標準治療が難しい場合の一部において、光免疫療法という手段が検討出来る可能性があります。
この治療法は、がん細胞に集積する光感受性物質に、近赤外線を照射することでがん細胞を選択的に破壊することを目指すものです。
副作用が比較的少ないとされ、局所への影響も限定的になる可能性があります。
以下より当院の光免疫療法に関する詳細をご確認頂けます。
まとめ
前立腺がんステージ4で副腎転移がある場合、標準的な治療が難しくなる可能性があります。
そのような際には、患者様の全身状態や希望をふまえた治療選択が重要です。
ホルモン療法や化学療法を軸にしつつ、生活の質を保つことも大切にされます。
また、希望される方には光免疫療法などの選択肢も存在しますが、慎重な検討と医師との十分な相談が求められます。

【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。