皮膚がん
皮膚がんは、あまり馴染みのない部類のがんですが、調べてみると「皮膚がんって種類が多いのはなぜ?」と疑問を抱く方も少なくないでしょう。
ここでは、皮膚がんの概要について述べさせて頂きます。
皮膚の構造
皮膚は外側から、表皮、真皮、皮下組織の3つに分かれ、更に汗腺、脂腺、爪、毛といった皮膚付属器が加わっています。
更に表皮は、外側から角層、透明層、顆粒層、有棘層、基底層の5層に分けられ、特に透明層は手掌と足底のみにあります。
基底細胞付近には、メラニン色素を作り出す色素細胞(メラノサイト)があります。
また、真皮はコラーゲン等の繊維組織から構成されており、微小な血管網や神経を有していて、皮膚の毛や脂腺、汗腺等の皮膚の付属器も真皮から表皮にかけて存在します。
皮膚は、全身を覆っており、外部からの様々な刺激(紫外線、各異、ウイルス等)から保護する働きを有しているため、皮膚には抵抗力を強める機能が備わっています。
皮膚がんはなぜ種類が多いのか
皮膚の構造でも述べた通り、皮膚は「表皮」、「真皮」、「皮下組織」、「皮膚付属器」に分けられ、それらを作る細胞の場合、どの細胞から生まれるがんも全て皮膚がんといわれるため、皮膚がんの種類は非常に多いのです。
次に、「皮膚がん」とは何かについて明確にしていきます。
皮膚がんとは
皮膚がんとは、DNAの損傷の修復が間に合わずに発生してしまった細胞の制御不能な成長によって起こり、皮膚を構成しているいろんな種類の細胞が慢性的な刺激によって引き起こされているのが一般的です。
この慢性的な刺激については、ヤケドや怪我、紫外線の曝露、放射線治療といった外部刺激が挙げられます。
一般に皮膚がんは、表皮に発生するがんのことを指し、代表的なものは①有棘細胞がん②基底細胞がん③悪性黒色腫(メラノーマ)です。まれなものとしてメルケル細胞がんが挙げられます。
皮膚がんの種類は多いにも関わらず、皮膚がんの罹患率は日本人については10位に入らない低さで、皮膚がんは、希少がんに分類されます。但し、基底細胞がんは、日本人が発症する皮膚がんの中で最も多く、希少がんには含まれません。
さらに皮膚がんには人種による罹患率が変動し、例えば白人の場合、日光(紫外線)によくあたる部位に3大皮膚がん(悪性黒色腫(メラノーマ)、有棘細胞がん、基底細胞がん)ができやすく、これは決して少なくはありません。
このため皮膚がんは希少がんといっても、日本人にとっては希少がんであるという皮膚がんと、ワールドワイドに見ても希少がんだとみなされるといった2つの側面を有しています。
また、皮膚がんの前駆症についても十分な注意が必要です。
前駆症(前がん病変)は、『ボーエン病』・『ページェット病』・『日光角化症』・『放射線角化症』・『白板症』・『ウイルス性腫瘍』・『色素性乾皮症』が挙げられます。
また皮膚がんは、転移を起こすことがないとされている基底細胞がん、放っておくとがんが発症する可能性のある前がん病変、そして一般的に転移する速度が早いとされる悪性黒色腫(メラノーマ)やメルケル細胞がんといったようにがんの進行度も様々です。
皮膚がんは発見できる?
皮膚がんは、症状が表在し視覚されるため、内臓のがんや血液のがん等と比べても、初期の段階で発見することが可能ですが、皮膚がんは痛みやしびれといった知覚しやすい症状がでることがあまりないので、いわゆる進行がんなってから治療が開始されるケースも少なくありません。
皮膚がんの発見のためには、ダーモスコープという器具を用いて、悪性黒色腫(メラノーマ)なのか普通のホクロなのかを判断し、またどのような皮膚の腫瘍なのかを診断します。この治療をダーモスコピー検査といいます。
(ダーモスコープとは、ハロゲンランプや発光ダイオード(白色光)を用いて病変部を照らし、偏光フィルタで光の乱反射を抑え、真皮上層まで10~30倍まで拡大して皮膚病変を観察する特殊なルーペのことを指します。)
【当該記事監修者】院長 小林賢次
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