卵巣がん(ステージⅣ)の特徴
卵巣がんは初期に自覚症状が少なく、診断が遅れることが多い疾患です。
ステージⅣは、がん細胞が卵巣を越えて遠隔転移した状態を指し、肺、肝臓、リンパ節、または腹膜への転移が一般的です。
特に腹膜播種(ふくまくはしゅ)が発生すると、がん細胞が腹膜全体に広がり、腹水貯留を伴うケースが多く見られます。
腹膜播種とは
腹膜播種は、がん細胞が腹腔内に散らばり、腹膜に付着・増殖する状態です。
これにより、以下のような症状が現れることがあります。
症状 | 詳細 |
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腹水の貯留 | 腹部の張りや急激な体重増加が見られる。 |
食欲不振 | 消化器官の圧迫による食欲低下や吐き気。 |
腸閉塞 | 腸の動きが妨げられ、便秘や嘔吐が起こる。 |
腹部痛 | 腫瘍の増大や腹膜の刺激による疼痛。 |
治療方法 | 詳細 |
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① 手術 | 腫瘍減量手術(腫瘍を可能な限り切除する手術)が推奨されますが、腹膜播種が広範囲に及ぶ場合、完全切除が困難なことがあります。この場合、手術の適応は限られ、化学療法が主な治療となります。 |
② 化学療法(抗がん剤治療) | 卵巣がんの標準治療として、プラチナ製剤(カルボプラチン、シスプラチン)+タキサン系薬剤(パクリタキセル、ドセタキセル)が使用されます。 分子標的薬(ベバシズマブ:血管新生阻害薬やPARP阻害薬:オラパニブなど)も特定の患者様に適用されます。 しかし、腹膜播種が進むと、抗がん剤が腹膜全体に十分に行き渡らない場合や、長期使用による薬剤耐性の問題が生じることがあります。耐性が生じると治療効果が低下し、代替治療の検討が必要となります。 |
③ 緩和ケア | 標準治療が困難な場合、症状緩和を目的とした緩和ケアが重要となります。
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光免疫療法という選択肢
卵巣がんの治療において、新たな治療法である光免疫療法が選択肢となる可能性があります。
この治療法は、特定の光に反応する薬剤をがん細胞に集積させ、レーザーを照射することでがん細胞を選択的に破壊する方法です。
光免疫療法の特徴 | 詳細 |
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正常細胞への影響が少ない | 標的とするがん細胞だけを狙うため、副作用が軽減される。 |
手術が難しいケースに適応可能 | 腹膜播種のような拡散したがんにも適用可能性がある。 |
繰り返し治療が可能 | 低侵襲で耐性ができにくいため、再発時にも治療が可能な場合がある。 |
まとめ
内容 | 詳細 |
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ステージⅣの卵巣がん | 遠隔転移や腹膜播種を伴い、治療が複雑になる。 |
腹膜播種の影響 | 腹水貯留、腸閉塞、食欲不振、腹部痛などの症状が現れ、治療効果が制限されることがある。 |
標準治療 | 手術、化学療法(プラチナ製剤+タキサン系薬剤、分子標的薬)、緩和ケアが主だが、病状により効果が限定的な場合がある。 |
光免疫療法 | 治療法の一つとなり得る可能性があり、特定の条件を満たす患者様に適応可能。 |
治療選択 | 患者様の状態に応じた治療方針を、専門医と相談して決定することが重要。 |
卵巣がんステージⅣ・腹膜播種の治療は進化を続けており、標準治療に加えて新たな治療法の可能性も広がっています。
最適な治療を選択するため、専門医との十分な相談が不可欠です。
当院の光免疫療法は標準治療と併用可能なため、現在、卵巣がん(腹膜播種)の治療を受けられている方でもお気軽にご相談ください。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
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