乳がん(ステージ4)の「腹膜播種の特徴と治療の選択肢」

1. 乳がん(ステージ4)の特徴

乳がんのステージ4とは、がんが乳房やリンパ節を超えて、他の臓器や組織に転移している状態を指します。
転移が発生する主な部位は、骨、肺、肝臓、脳などですが、腹膜に播種(転移)するケースもあります。

2. 腹膜播種とは

腹膜播種(ふくまくはしゅ)とは、がん細胞が腹腔内に広がり、腹膜に点状に付着して増殖する状態を指します。この状態になると、以下のような症状が現れることがあります。

症状 詳細
腹水の貯留 腹腔内に液体が溜まり、お腹の張りや圧迫感を感じることがあります。
消化器症状 胃や腸が圧迫されることで食欲不振や便秘、下痢が発生することがあります。
腹痛 腹膜にがん細胞が広がることで炎症が起こり、痛みを伴う場合があります。

3. 腹膜播種の診断

腹膜播種の診断には以下の検査が用いられます。

検査名 説明
CT・MRI検査 がんの広がりや腹水の有無を確認します。
超音波検査 腹水の量や内部の状態を評価します。
PET-CT がんの転移の範囲を詳しく調べます。
腹水細胞診 腹水を採取し、がん細胞が含まれているかどうかを確認します。

4. 乳がん(ステージ4)腹膜播種の治療

腹膜播種がある場合、治療は難しくなりますが、以下の方法が考えられます。

治療法 説明
化学療法(抗がん剤治療) 乳がんの進行を抑えるために、ホルモン療法や分子標的薬、化学療法が選択されます。特に、ホルモン受容体陽性の場合はホルモン療法、HER2陽性の場合はHER2を標的とした薬剤が用いられます。
腹水の管理 腹水が大量に溜まると、呼吸困難や食欲不振を引き起こすため、以下の対策が取られます。
腹水穿刺(せんし):腹水を針で抜く処置を行います。
腹水濾過濃縮再静注法(CART):抜いた腹水を濾過し、再び体内に戻す方法。
利尿剤の使用:水分の排出を促進することで腹水の貯留を抑えます。
緩和ケア 進行がんの場合、がんの進行を完全に止めることが難しいため、症状の緩和を目的とした治療が重視されます。痛みや食欲不振に対する対策、精神的なサポートも重要になります。
臨床試験・先進医療の検討 標準治療が難しい場合、新しい治療法を試す臨床試験に参加する選択肢もあります。

光免疫療法について

光免疫療法は、がん細胞に選択的に集積する光感受性物質(薬剤)を投与し、特定の波長の光を照射することでがん細胞を破壊する治療法です。

特徴 説明
正常細胞への影響が少ない 標的のがん細胞だけを攻撃するため、副作用が少ないとされています。
繰り返し治療が可能 放射線治療や化学療法と異なり、回数の制限が比較的少ないと考えられています。
痛みが少ない 光を照射するだけの治療なので、侵襲が少なく、身体への負担が軽減されます。

まとめ

乳がん(ステージ4)の腹膜播種は、標準治療が難しいケースが多く、個々の症状や全身状態に応じた治療方針が求められます。
化学療法や腹水管理に加え、緩和ケアや臨床試験の活用も考えられます。
さらに、新たな選択肢として光免疫療法も検討できますが、適応には慎重な判断が必要です。
治療方法については、専門医と十分に相談し、最適な選択をすることが重要です。

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