1. 肺がん（ステージ4）とは
肺がんのステージ4は、がん細胞が肺以外の臓器に転移した状態を指します。この段階では、がんが血液やリンパを介して広がり、骨、肝臓、副腎、脳などに転移することが多いです。
特に骨転移は、患者様の生活の質（QOL）に大きな影響を及ぼすため、適切な対策が重要です。
2. 骨転移の特徴と症状
肺がんが骨に転移すると、以下のような症状が現れることがあります。
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 骨折のリスク | がん細胞が骨を破壊することで骨がもろくなり、軽微な外力でも骨折しやすくなります（病的骨折）。 |
| 脊髄圧迫 | 脊椎に転移すると、腫瘍が脊髄を圧迫し、下肢のしびれや麻痺、排尿・排便障害を引き起こすことがあります。 |
| 高カルシウム血症 | 骨の破壊が進むことで血中のカルシウム濃度が上昇し、倦怠感、食欲不振、意識障害などの症状が出ることがあります。 |
3. 標準治療の選択肢
ステージ4の肺がんは完治が難しいとされますが、適切な治療によって症状の緩和や生存期間の延長を目指すことが可能です。
| 治療法 | 説明 |
|---|---|
| 薬物療法 |
分子標的薬： EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座などがある場合、それに適した分子標的薬が使われます。 免疫チェックポイント阻害薬： PD-1/PD-L1阻害薬（オプジーボ、キイトルーダなど）が使用されることがあります。 化学療法： がん細胞の増殖を抑える抗がん剤が用いられます。 |
| 放射線治療 |
骨転移による痛みの緩和や、病的骨折の予防を目的として行われます。 特に脊髄圧迫がある場合、放射線治療が早急に必要になることがあります。 |
| 骨修飾薬（ビスフォスフォネート、デノスマブ） |
骨の破壊を抑え、骨折のリスクを低減するために使用されます。 デノスマブ（ランマーク）は骨の吸収を抑える効果があり、高カルシウム血症の改善にも役立ちます。 |
4. 緩和ケアの重要性
ステージ4の肺がんでは、がんそのものの治療だけでなく、症状を和らげる緩和ケアが重要になります。
| ケアの種類 | 説明 |
|---|---|
| 痛みの管理 | モルヒネやフェンタニルなどの医療用麻薬を適切に使用することで、痛みをコントロールできます。 |
| リハビリテーション | 骨転移による運動機能の低下を防ぐため、リハビリが推奨されることがあります。 |
| 栄養管理 | 食欲低下に対応し、適切な栄養摂取を心がけることが重要です。 |
光免疫療法について
光免疫療法は、がん細胞に集まる特殊な薬剤を投与し、特定の波長の光を照射することでがん細胞を破壊する治療法です。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 特徴 |
がん細胞を選択的に攻撃： 正常細胞への影響が少ないため、副作用が軽減される可能性があります。 局所的な治療： 肺がんの転移部位に直接アプローチできる場合があります。 他の治療との併用が可能： 化学療法や放射線治療と組み合わせることで、治療効果を高めることが期待されます。 |
| 対象となる患者様 |
光免疫療法はすべての肺がん患者様に適用できるわけではなく、病状や転移の状況に応じて適応が決まります。 特に、標準治療が難しい場合や、副作用を軽減しながら治療を進めたい患者様に検討されることがあります。 |
| 期待される効果と限界 |
短期間で効果を発揮する可能性： 光照射によって速やかにがん細胞を破壊できると考えられています。 骨転移への適用： 転移部位に直接光を届ける必要があるため、適用範囲は限定的ですが、一部のケースでは利用可能とされています。 |
まとめ
肺がん（ステージ4）で骨転移がある場合、痛みや骨折リスクの管理が重要です。
標準治療として薬物療法、放射線治療、骨修飾薬の使用が推奨され、緩和ケアも不可欠です。
光免疫療法は一部の患者様への選択肢となり得ますが、適応や効果については専門医と十分に相談することが大切です。
【当該記事監修者】院長 小林賢次
がん治療をご検討されている、患者様またその近親者の方々へがん情報を掲載しております。ご参考頂けますと幸いです。
