咽頭がん(ステージ4)の「腹膜播種の特徴と治療の選択肢」

咽頭がん（ステージ4）腹膜播種とは

咽頭がんは、咽頭と呼ばれる喉の部分に発生する悪性腫瘍であり、上咽頭・中咽頭・下咽頭に分類されます。
ステージ4になると、原発巣が周囲組織へ浸潤し、遠隔臓器への転移も見られるようになります。
特に腹膜播種が確認された場合、がん細胞が腹膜内に散布された状態であり、全身的な病勢進行が疑われます。
このような状態では、標準治療のみでの制御が難しいケースも多く見られます。

腹膜播種による症状とQOLの低下

腹膜播種は、腹部の臓器に直接がん細胞が付着し増殖するため、以下のような症状が生じます。

これらの症状は、日常生活に大きな制限をもたらし、患者様のQOL（生活の質）を著しく低下させます。

ステージ4咽頭がんの標準治療の限界

ステージ4に進行した咽頭がんは、原発巣だけでなく多臓器に転移が広がっていることが多く、治療の選択肢が限られます。
一般的には、以下のような治療が検討されます。

しかし、体力が低下している患者様には、化学療法の副作用が大きな負担となるため、治療継続が困難になる場合もあります。
治療の目的は延命だけでなく、苦痛を和らげ、生活の質を保つことにも重きが置かれます。

治療選択における大切な視点

咽頭がんが腹膜に播種した段階では、治癒を目指すよりも、症状緩和を含めた総合的な治療方針が重要です。
医師と相談の上、患者様とご家族の希望を尊重しながら治療方針を決定していきます。
生活をなるべく快適に保つために、緩和ケアの充実も欠かせません。

選択肢として光免疫療法

標準治療が難しいと判断された場合、選択肢として光免疫療法が検討されることもあります。
光免疫療法は、がん細胞に集まる性質をもつ薬剤と、特定波長のレーザー光を組み合わせてがんを破壊する治療です。
正常な細胞への影響が抑えられる点が特徴であり、副作用が比較的軽度とされています。
体力が落ちた患者様でも、医師の判断により適応されることがあります。
当院で提供している光免疫療法の詳細は以下よりご確認いただけます。

2025.03.01

先端医療がん光免疫療法

光免疫療法の適応部位一例 Applicable parts 光免疫療法の...

まとめ

咽頭がん（ステージ4）で腹膜播種が認められた場合、標準的な治療では限界があることが多く、QOLを保つことが治療の柱となります。
ご本人様の意向とご家族の希望を踏まえた上で、症状緩和を重視した治療計画を立てることが大切です。
選択肢として光免疫療法も検討されることがありますが、個々の病状によって適応は異なりますので、担当医とよくご相談ください。

院長 小林賢次

【当該記事監修者】院長 小林賢次

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