目次
胆嚢がんとは
胆嚢がんは、胆嚢に発生する悪性腫瘍です。
日本では比較的まれながんとされています。
初期段階では症状がほとんど出ないため、進行してから発見されることが多いのが特徴です。
主な症状には、右上腹部の痛み、黄疸、発熱、体重減少などがありますが、これらは他の病気でも見られるため、診断が難しい場合があります。
ステージ4とは
胆嚢がんのステージ4とは、がんが胆嚢を越えて周囲の臓器や血管、リンパ節に広がり、さらに遠隔転移が認められる状態を指します。
この段階では、手術による根治が困難であり、全身療法が主な治療となります。
腹膜播種とは
腹膜播種とは、がん細胞が腹腔内に散らばり、腹膜に転移する状態です。
胆嚢がんが進行すると、胆嚢の壁を越えて腹腔内にがん細胞が漏れ出し、腹膜に付着・増殖することがあります。
この結果、腹水がたまり、腹部膨満感や消化管機能の低下を引き起こします。
腹膜播種の診断方法
検査方法 | 内容 |
---|---|
腹部CT検査 | 腹膜や腹水の状態を詳細に確認する |
腹部超音波検査 | 腹腔内の異常をリアルタイムで観察する |
MRI検査 | 軟部組織の詳細な画像を得る |
PET-CT検査 | 全身のがんの広がりを評価する |
腹腔鏡検査 | 直接腹膜を観察し、がんの広がりを確認する |
腹膜に小さな結節が多数認められる、または腹水中にがん細胞が確認されることで、腹膜播種と診断されます。
腹膜播種を伴う胆嚢がん治療の難しさ
腹膜播種がある場合、標準的な外科手術は適応できないことが一般的です。
がん細胞が広範囲に散らばっているため、完全に切除することが困難であり、再発リスクも高まります。
また、化学療法でも腹膜全体に散らばったがん細胞に薬剤が行き届きにくく、十分な効果が得られないことが問題です。
加えて、全身状態が悪化している患者様にとって、強い副作用が負担になる場合もあります。
現在行われている治療法
治療法 | 概要 |
---|---|
全身化学療法 | ゲムシタビン+シスプラチン併用療法など |
緩和ケア | 痛みの緩和や腹水コントロールを目的とする |
腹膜灌流化学療法(HIPEC) | 温めた抗がん剤を腹腔内に循環させる治療法 |
臨床試験 | 新しい治療法への参加 |
化学療法はがんの進行を一時的に抑えることが期待されますが、根治を目指すものではありません。
症状緩和を重視した緩和ケアも重要な役割を果たします。
選択肢としての光免疫療法
標準治療が難しい胆嚢がん(ステージ4)で腹膜播種が認められる場合、光免疫療法がひとつの選択肢となることがあります。
光免疫療法は、がん細胞に選択的に集まる薬剤を投与し、その薬剤に特定の波長の光を照射することでがん細胞を破壊する治療法です。
正常な細胞への影響を抑えながら、狙ったがん細胞だけに作用できる点が特徴です。
腹膜播種がある場合でも、局所的に存在するがん細胞に光を照射することで、がんへのアプローチを試みることが可能なケースがあります。
また、体への負担が比較的少ないため、全身状態が不安定な方でも治療を検討できる場合があります。
ただし、すべての患者様に適応できるわけではなく、腹膜播種の範囲やがんの進行状況を十分に考慮したうえで慎重な判断が求められます。
治療を検討する際は、担当医師と十分に相談することが重要です。
当院の光免疫療法について詳しくは、以下のページをご覧ください。
治療選択において重要な視点
視点 | 内容 |
---|---|
全身状態 | 体力や臓器機能の状態を考慮する |
生活の質(QOL) | 日常生活をなるべく維持する |
治療メリット・デメリット | 副作用と効果のバランスを検討する |
家族との相談 | 本人と家族で意向を共有する |
緩和ケアとの連携 | 症状を和らげるケアを重視する |
無理な積極治療よりも、症状をコントロールしながら穏やかに過ごす選択肢も大切です。
まとめ
胆嚢がん(ステージ4)で腹膜播種がある場合、標準的な外科手術による根治は困難であり、化学療法や緩和ケアが治療の中心となります。
治療効果は限定的であることが多いため、患者様自身の希望や全身状態を踏まえた治療選択が重要です。
また、従来の治療法に加えて、光免疫療法といった選択肢も登場しており、治療の幅が少しずつ広がっています。
信頼できる医療機関で十分に相談し、自分に合った治療方針を選んでいくことが大切です。
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【当該記事監修者】院長 小林賢次
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